「校正」と「Webコンテンツの検品」の共通点
品質管理スタッフ 小稗このBlogはWebコンテンツの検品業務についてお伝えすることを目的の1つとしているのですが、まだまだ一般的ではない業務内容という自覚があり、端的に説明する難しさを常に感じながらテーマ探しをしています。
先日、テレビのドキュメンタリー番組を観て「校正」という仕事との共通点が案外多いのではとの気づきを得ました。校正とは主に書籍などの印刷物の文章をチェックし正しく修正する仕事。もちろん言葉に対する深い専門性という点では比較のしようもないと理解していますが、「つくられたもののチェック」という点では当社の検品業務と通底するように感じました。
なお、以下の議論では『校正のこころ』という書籍を参照しました。番組で取り上げられていた大西寿男さんの著作です。実はまだ読み終えていないのですが、すでに多くの気づきを得ていますのでその一端をアウトプットしてみます。
引き合わせは原稿とWebページの突合作業に近い
上記の書籍によると、校正の作業は「引き合わせ」と「素読み」に分かれるとのこと。引き合わせとは原稿とゲラ刷に差がないか一文字一文字チェックしていく作業で、文字通りの「原稿照合」と修正内容が正しく反映されているか確認する「赤字引き合わせ」に分かれるそうです。
われわれの検品業務では、クライアントからお預かりした原稿と実装作業の終わったWebページの内容に意図しない差異がないか、というチェックを行っていますので、この突合作業は引き合わせの「原稿照合」に近い内容といえそうです。
また、検品の結果、作業場のミスやさまざまな疑問点を認めた場合は、実装作業を行ったスタッフにフィードバックし適宜修正を行う手順を踏んでいます。検品プロセスではその修正結果の再確認も行っていますので、こちらは「赤字引き合わせ」に類似しているように感じました。
「文字を"言葉として"読んではいけない」
また、引き合わせの際に「文字を"言葉として"読んではいけない」という注意点があるようです。上記の書籍から一部引用いたします。
...原稿やゲラの文字を"言葉として"読んでいると、うっかり見すごしてしまうたぐいのものです。(中略)文字を"言葉として"でなく、"文字そのものとして"、つまり文字を記号、図形として視覚的にとらえて瞬時に原稿とゲラの両者を引きくらべ、差異がないかどうか確認します。
この視点の切り替えはとても共感するところでした。Webページの検品の際、目視でテキストの正誤を確認する場合、どうしてもこの切り替えをしていないと検品業務のスピードと正確性が担保しにくくなってしまうという実感があります。ツールなどでデジタルなテキストの差分比較ではこうした切り替えはあまり必要とされない認識ですが、例えば画像内に記載されているテキストの確認はどうしても目視に頼ることになります。
私は検品業務上の必要性にせまられて「記号として」テキストをとらえる癖がついていたのですが、問題点を検知するための工夫としてはどうやら妥当なアプローチであったようで安心しています。
もう1つの校正の重要な作業である「素読み」のポイントや、校正者は原稿に対して決定権をもたないという考え方など、検品業務との比較で興味深い点をいくつも発見していますので、先の書籍を読み進めてから追ってとりまとめてみたいと考えています。