アクセシビリティの祭典 in MLC 2019 開催レポート(8月28日開催)
リードUI開発者 宇賀
皆さんこんにちは!テックラウンジ運営委員会の宇賀です🍣🍵
令和最初の夏が終わりを迎えます。皆さんは素敵な思い出が作れましたでしょうか?
当社では夏の恒例イベント、「アクセシビリティの祭典 in MLC 2019」を開催しました!
LT:アクセシビリティの祭典 in MLCとは?
NPO法人アイ・コラボレーション神戸さんが主催しているアクセシビリティの祭典にインスパイアされ企画されたイベントです。
アクセシビリティの祭典は、自治体・企業・制作会社・障害者支援施設などに属する方々、障害を持つ当事者など様々な立場の人が、新しいアクセシビリティ技術に触れて体感できるお祭りです。
テックラウンジ運営委員会では社内でも臨時イベントとして、年に1度アクセシビリティに関するお祭りを開催し、アクセシビリティに対する理解をより一層深めていきたいと考えています。
※ なお、アクセシビリティの祭典という名称で社内イベントを行うことについては、イベントの主催者より承諾いただいております。
タイムテーブル
当日はLT(ライトニングトーク)2本、トークセッションの3本立てで進行しました。
- LT:はじめましてアクセシビリティ
- LT:僕がアクセシビリティをどうやって勉強したか。
- トークセッション:アクセシビリティ部座談会!
それでは早速、当日の様子をご覧いただきましょう!
はじめましてアクセシビリティ
最初の登壇者は、アートディレクションチームのUIデザイナーTさんです。
当社に入社した時には「アクセシビリティ」という言葉すら知らなかったと語るTさん。これから新人デザイナーやアクセシビリティをまだよく知らない!という方向けに、デザインをする上でのアクセシビリティをお話しいただきます。
はじめて案件対応に従事したことで、Tさんは次の項目に気を付けなければならない気づきを得たといいます。
- なんで?を忘れない
- 自分の中の指針を探っておく
- 必ず人の目を通す
なんのためにやるのか?なぜそういうものが必要なのか?というところをもっと気にしてみたり、誰のためにそれをしているのかを考えることが大切とのこと。アクセシビリティは誰のためのものか?その「誰」を考えた時、そこに「自分」も含まれていることを理解しておく必要もあるというお話がとくに印象的でした。
デザインについては、自分がどういうデザインをしていきたいのかをよく自分で理解し、そのためには何が必要なのかをしっかり持って大きな流行に流されない意識を持つことが大切だともお話しされていました。最後は、アクセシビリティ考慮も含めてどこまで考え抜いても第三者目線にかなうものはないため、誰かにレビューをしてもらうことの重要性で締めくくられました。
LT:僕がアクセシビリティをどうやって勉強したか。
2人目の登壇者は、グローバルソリューションチームのMさんです。
Mさんには「どういう流れでアクセシビリティに対する理解が深まったのか」「価値観がどう変わっていったのか」についてを語っていただきました。 何もわからないゼロからの状態で、グローバルソリューションチームで働いている間にMさんのアクセシビリティに対する認識はどう変わっていったのでしょうか?
アクセシビリティとは、障害者対応のことであり当社が強みにしているモノである
Mさんが考える、アクセシビリティの定義の始まりはこれだったそうです。表面的な世界しか理解しておらず、アクセシビリティを知らないからこその定義とMさんは語ります。
アクセシビリティを深く知らない誰でもできる定義を自分の中に持ちつつ、実際に業務が進んでいくにつれてMさんの中でまた「アクセシビリティの定義」が変化していきます。
アクセシビリティとは、Webサイトがそもそも備えているべき「品質」の1つ
いろんな本を読み、学びを進めていくうちに「満足感は、究極的な品質特性といえること」という言葉に出会います。
これは、日本ユーザビリティ界で著名な黒須正明教授が述べているもので、Mさんはこの言葉に深く共感したといいます。つまりWebの品質とは「究極の目的は"ユーザの満足"」であると気づき、アクセシビリティの目指す先というのは「ユーザの満足」だと感じたそうです。
そうして学んでいるうちに、次はWebの生みの親であるティム・バーナーズ=リー氏が述べている次の言葉にも出会うことになったそうです。
The power of the Web is in its universality. Access by everyone regardless of disability is an essential aspect.
「Webのもつ力とはその普遍性にあり、障害の有無にかかわらずアクセスできることは、Webの本質的な側面のひとつである」これは当社がWebコンテンツに持たせるべき最重要品質はアクセシビリティであると定義する要因になった言葉でもあります。
Mさんはこの言葉で「Webというテクノロジーそのもの」が初めからアクセシビリティという品質を備えているものだということが理解できたと語ります。
アクセシビリティとは、ユーザーの満足度のための他の品質の土台となる品質の1つ
グローバルソリューション部で、Webサイトのグローバル化(≒多言語対応)についても学びだしたMさんは当社CTO木達から次のような話をされたそうです。
グローバル対応とは究極のアクセシビリティ対応である
アクセシビリティとは、全ユーザーが情報にアクセスできる品質の1つであるならば、言葉が違う海外のユーザーはWebサイトにアクセスできても実質的に情報にアクセスできているわけではありません。つまり、Webコンテンツのグローバル対応とはアクセシビリティの文脈の上で語れるものだという事実にも衝撃を受けたそうです。
そこから、自分の中でもっとアクセシビリティに関する知見を深めたいと思ったMさんは、さまざまなアクセシビリティのイベントに参加してみることに。その中で、自分がこれまで定義してきたアクセシビリティの定義が、アクセシビリティの目指す未来と同じなのかわからなくなり不安になった時期もあったと語ります。
最終的には業界内や会社としての定義はさまざま議論があるものの、自分の中で腑に落ちた定義を信じ、それを達成するために今できることをしていくことが大切なのだという話でLTは締めくくられました。
とりあえずすすめられたものをインプットしてみて、納得できる価値観に出会えればとりあえず自分の中に借りておき、そこから仮説を立ててそれが正しいか繰り返し検証するということを真摯に取り組んでいるMさんのお話に、会場には何か感慨深い空気が流れていました。
質疑応答の時間も大いに盛り上がりましたが、お時間なので今日はここまで...。
トークセッション:アクセシビリティ部座談会!
ラストは毎年恒例座談会です!
今回はアクセシビリティ部のメンバーが、「自己紹介」に始まり「アクセシビリティを知ったキッカケ」や「これまでに見た印象的なWebサイト」など全12のお題に回答していく形式です。
社内向けのネタトークから真面目なお話まで幅広いテーマに会場はじわじわと盛り上がり、アクセシビリティの祭典 in MLCは閉幕となります。
最後の「アクセシビリティをこれから始める人へのアドバイス」というテーマでは、「自分事」にどうやってしていくのかが重要だという話が印象的でした。無理に頑張ろうとするのではなく、表面的にちょっとでも気になる部分が見つけられればそこを取っ掛かりにしてゆっくり知っていくことがオススメとのこと。覚えることがたくさんあることもハードルを高めているかもしれないですが、それはアクセシビリティに限ったことでもないので気楽にやってもらうことが一番よいというお話もありました。
誰かには伝わるけれど、誰かには伝わらない。そんな寂しいことにならないためのアクセシビリティなので、それを忘れずにいろいろできることからチャレンジしていくことがやっぱり大切なようですね。
来年だってやるぞ!アクセシビリティの祭典 in MLC!
去年楽しみにしていた「新元号最初の夏」も無事に開催できました。
2020年の夏にもまた開催を予定しており、早くも来年が楽しみです笑
それまでの間も、楽しいイベントの開催とレポートの公開を続けてまいりますので、よければぜひ今後もテックラウンジBlogをよろしくお願いいたします!
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次回のテックラウンジは10月です!お楽しみに!