みんなで作り上げるスキルマップ
インタラクションアーキテクト 黄
普段、私が所属しているチームでは、プロトタイプ制作やアプリUI開発、動画プレイヤー制作、Webコンテンツ制作、新規サービス開発など、様々なカテゴリのスキルを必要とする場面が多いです。新規サービスを開発したり、お客様にコンテンツを提案したり、スタッフの教育を考えたりするためには、常にチーム全体が持っているスキルやそのレベル感を把握する必要があります。
そこで活用できるツールの一つがスキルマップです。
スキルマップは、あるグループ単位において、技術レベルがどのくらいなのか、各技術についてのスタッフ一人一人の能力や力量はどのくらいかを見える化されているものです。
スキルマップがあると、そのグループをマネージメントするにあたって今後の目標や足りない部分の教育などについての計画が立てやすくなります。また、スキルマップをオープン化することでスタッフのモチベーションを向上させたり、新しい目標に挑戦する意識を持たせたりすることもできます。
しかし、このスキルマップの各項目に対して、チームのスタッフがどのくらいのレベル感を持っているかをみんなで納得する形で評価することはとても難しいです。
この間、スキルマップのレベル感を決めるツールとして、プランニング・ポーカー・カードを活用してみましたので、その内容を紹介します。
ちなみに、プランニング・ポーカー・カードは「?、0、1/2、1、2、3、5、8、13、20、40、100、無限」が書かれたカードで、アジャイル開発プロセスでは見積もりを作る際にタスクの工数をチームの全員一斉に出しあって工数感の認識合わせをするためのツールです。
スキルマップに乗せるスキル項目を決める
初めてのスキルマップを作る際には、チームですでに行っているスキルを項目として設定します。運用していく内に、新しい項目を追加したり、全員ができるようになったスキルを調整したりする工夫が必要ですね。
レベル感を決める
まず、レベルを何段階に分けるかを決めなければなりませんが、今回は、以下の5つに分けました。
- Lev1 : 今後取得したい(・)
- Lev2 : 助けがあればできる(△)
- Lev3 : 一人でできる(○)
- Lev4 : 得意(◎)
- Lev5 : エース(★)
※スタッフのモチベーションを考慮したこのラベルは、「スキルマップ作成のすすめ」のものを参考にしました。
元々は「できない」もレベルに入るべきですが、今回はすでにできているスキルを対象にします。
対象にしたチームのスタッフは4人で、私が司会者(参加しているスタッフでも構いません)をやりました司会者はかけ声かけたり、話す順番を決めたりする役です。
カードの振り分け
今回は、レベルを5段階に分けましたので「1、2、3、5、8」の5枚のカード(異なる数字ならどんな数字でも大丈夫です)を各スタッフに振り分けました。みんながカードとレベルの関連づけを分かりやすくするために、低い番号は低いレベルに高い番号は高いレベル(カード番号1はLev1を、カード番号8はLev5)を示すように設定しました。
各項目に対しての考えを話し合う
同じ言葉だとしても会社ごとに、チームごとに、個人ごとに、それを受け入れている思いや認識が異なる可能性があるため、スキルマップに書かれている各項目に対しての思いをスタッフごとに発言して共有しました。相手に対しての非難を除いて、なぜそう思うようになったかを議論することは良いでしょう。
みんなでレベル感を選定
各項目に対してみんなの意識がある程度まとまったと思われましたので、同じ項目に対しての各スタッフの評価を始めました。
私がスタッフのひとりを指定すると、先ほどみんなで認識合わせした項目内容を元に、そのスタッフがどのくらい活躍したか、または可能性を持っているかを最大30秒間考えるようにしました。判断が付いた人からカードの裏面が上にくるようにして出して行く感じです。
全員(該当スタッフも)のカードが揃ったら、掛け声で一緒にカードをひっくり返して内容を確認しました。
カードの番号がばらついた場合は、大きく異なるスタッフ(複数人いたらその複数人に)に、なぜそう思ったかを発言させて、お互いの基準を合わせていきました。ある程度ばらつきが少なくなるまで繰り返して、みんなが納得できる(または、理解できる)そのスタッフのレベル感を決めていきました。
やってみて思ったこと
今回の機会を通して、普段同じチームで働いたとしても、みんなの思いや認識や目標が少しずつ異なる場合があることを実感しました。クリエイティブをチーム目標の大事な一つだと考えているのでとても嬉しいことですが、この特徴を生かしながら、チームの大きい目標に向けて一緒に働くためには、常にみんなの声を聞いて、共有して、理解して、認識を合わせていくことが一番手っ取り早い方法だと感じました。