データから見るスマートスピーカーの抱える課題とは?
インフォメーション・アーキテクト 前島
Google Homeに次いでAmazon Echoも11/8に日本での発売が開始されました。
みなさん購入されましたでしょうか?
先行しているUSにおいてもこの2社のマーケットシェア争いは激しく、Voicebot社や、Consumer Intelligence Research Partners(CIRP)社による調査データによると、2016年末時点ではAmazon Echoが93%、Google Homeが7%であったものが、2017年6月には82%対18%に、2017年9月には74%対26%と、USでは日本とは逆に後発であったGoogle Homeの伸び率がグラフから見てとれます。販売台数はAmazon Echoが2000万台、Google Homeが700万台と予測されているようです。
ユーザーはスマートスピーカーをどのように使っているの?
ではAmazon EchoやGoogle Homeを購入したユーザーは実際どのような使い方をしているのでしょうか?
Dashbot社の調査データによると、約57%のユーザーが1日に複数回利用しており、1日に少なくとも1回は使用するユーザーが約17%であるため、少なくとも約74%のユーザーが毎日1回はスマートスピーカーを利用していると回答しています。
また、どのようなサービスを利用しているのかというと、音楽を聴くために使用するユーザーが70%以上と最も多く、次いで天気を知る、情報を尋ねる、が主な使用用途となっています。
サードパーティのサービスは53%のユーザーが1~3つのみを使用。23%のユーザーが4~6つを使用すると回答しています。
新しいサービスを見つけるチャネルの割合は約半数のユーザーがソーシャルメディア経由で新しいサービスを発見しており、次いで公式ストアや友人によるものになるようです。メールや広告によるユーザーへのリーチは比較的弱いこともわかります。
限定された利用方法と新しいサービスの発見という課題
これらのデータから、スマートスピーカー自体の利用頻度は高いものの、ユーザーは早くも限定的な数の限定的なサービスの利用に留まってしまっていることがひとつの課題といえます。以前のブログ「会話によるユーザー体験の変化 ~Conversational UXというチャレンジ ~」にて取り上げた「6割以上のスマートフォン利用者が毎日利用するアプリは5個以下である」というスマートフォンアプリのユーザーによる利用実態にも通ずるものがあるのかもしれません。
次にユーザーが新しいサービスを知る経路も、広告やメールではなくソーシャルメディアや友人による割合が高く、企業側にとっては自社によるボイスサービスが発見されづらくなっていることが課題であると言えます。
スマートデバイスを購入し、まず天気を聞いてみた、調べものを通じて会話の精度を確かめてみた、とりあえず音楽を聴いてみた、というユーザーに対して、引き続き継続的に利用されるよう次の発見や体験を如何に提供していくのかが市場全体の課題であるといえるでしょう。