【海外UXイベント紹介】User Friendly 2018(中国最大のUXイベント)
UXエバンジェリスト 金山
User Friendlyは、UXPA China(User Experience Professionals Associationの中国支部)が主催する中国最大のUXイベントで、2004年から毎年開催されています。15回目にあたる今年は11月30日(金)~12月2日(日)の3日間、上海の国際コンベンションセンターで開催されます。テーマは「消费升级,体验赋能(Consumption Upgrade, Experience Empowerment)」で、(顧客の)体験を強化して消費拡大を狙ったものになっています。
イベント参加者は1,000人程度で、UXPA2018の参加者が約600人でしたから規模的には本家をはるかにしのいでおり、中国におけるUXの注目度の高さが伝わってきます。地元中国の参加者が大半のため、ほとんどが中国語なのが難点ですが、キーノートは通訳が入ります。 毎年、著名なスピーカー(昨年はアラン・クーパー氏)が登壇しています。昨年(2017年)の熱気にあふれた様子はビデオで公開されていますので、イベントの雰囲気が分かります。
本記事では、User Friendly 2018のWebサイトをチェックし、キーノートを中心に著者が面白そうだと思った内容をピックアップしてご紹介いたします。
セッションの種類と数
イベント中に予定されているセッションは、キーノート:6、フォーラム:3、ワークショップ:33、シンポジウム:2、UX基礎コース:2 となっています。ワークショップの数が断然多く、実務ですぐに使える実践的なノウハウ・テクニックを学ぶニーズが高いと感じられます。一方、初学者の底上げのための基礎コースが整備されてきていることも注目すべき点です。中国におけるUXの歴史はそれほど古くはありませんが、急速に発展し続けていることがうかがい知れます。
キーノートスピーカー
以下、6人のキーノートスピーカーについて、(所属)と『発表タイトル』を見て行きましょう。
- グァン・ユソン(Baiduデザイン体験委員会委員長、ユーザーエクスペリエンスセンター長)『愛の技術と魂』
- Dominic Penaloza(チーフイノベーションオフィサーWeWork)『新しいリテールとオンデマンドユーザーエクスペリエンスのコンセプト - 生き残りを喜ばせる』
- カリン・ジーファー(エグゼクティブクリエイティブディレクター)『AIの分野における設計上の課題を解決するためのツールを構築する人工知能と音声UI、UI、アプリケーションデータ』
- 李暁(世界的に有名な宇宙設計会社、Gensler元元地区設計ディレクター)『空間デザインの新しいスタイル - 空間デザインに対する経験的思考の影響』
- ラミーナッサル(人工知能設計者)『新しい小売の未来をデザインする』
- ヴィヴィアン・ゴメス(ユーザーエクスペリエンスデザインディレクターヒューマンファクター研究デザイン)『ユーザーエクスペリエンスと人工知能』
ユソン氏は、Baiduにおける経験設計のマネジメントを担当しています。2017年11月、Baidu人工知能インタラクティブデザイン研究所が設立され、学部長となったとのことです。UXとAIに関する取り組みが聴けそうです。
Penaloza氏は、チーフイノベーションオフィサーの名前が表すように、イノベーションを起こすために、数々のサービス(社会サービスプラットフォーム、SNS、英語学習サイトなど)を立ち上げてきました。WeWorkでは、UXと技術を組み合わせたイノベーションを担当しています。
ジーファー氏は、人、ビジネス、インフラシステムを専門とする経験豊かなデザインストラテジストです。デザイナーであり、データ駆動のビジネス戦略家であり、実装のスペシャリストでもあります。Apple、GE、インターコンチネンタルホテルズグループ、ウォルマート、プロクター・アンド・ギャンブル、モダンアートのボストン美術館など、さまざまな業種の企業、大学、都市建設、米軍と政府部門と協力してきました。AIとUXについて、UIの設計まで踏み込んだ話が聴けそうです。
李氏は、オフィス分野のデザインディレクターです。目に見え、よりオープンで柔軟な方向に中国のオフィスデザインの開発を促進し、今は、環境デザインの分野で"経験思考"に取り組んでいます。
ナッサル氏は、エンジニア、デザイナーであり、独立したコンサルタントです。デザイン思考と人工知能を結集して、ユニークで新しいデジタルユーザーエクスペリエンスを作り出しています。キーノートでは、人工知能とサービスデザインを組み合わせて、魅力的で有意義な顧客体験を創り出す方法を探るとのことです。
ゴメス氏は、ユーザーのニーズ、テクノロジ、ビジネスの交差点を深く理解することで、開発者がデザインに基づいて効率性を向上させることができると考えているハンズオンユーザーエクスペリエンスデザインのエキスパートです。現在Googleのユーザーエクスペリエンス開発の専門家であるWorld Usability Conferenceのスポークスマンであり、オーストリアのUXQCC(User Experience Quality Certification Center)の取締役に就任しています。
キーノートでは、ユーザー体験とデザインの専門家が人工知能でどのように作業すれば、(既存のスマートテクノロジに追いつくのではなく)将来的に製品ソリューションの成熟した設計プラクティスとソリューションを構築する方法を紹介します。参加者は、AIおよびUXの融合に備えて、人間の知性、運用基準、ベストプラクティスの動向について学習することができます。
User Friendly 2018が開催される上海は、欧米で開催されるUXイベントに比べて移動が楽なので、キーノートを聴くためだけに参加しても意味がありそうなので、おススメです。