HCD-Netフォーラム2018参加レポート(3) ~オープニングパネル「HCD-Netの現在と未来」~【ナレッジ共有】
UXエバンジェリスト 金山
今回の記事は、HCD-Netフォーラム2018のオープニングパネル「HCD-Netの現在と未来」から【ナレッジ共有】を取り上げます。
テーマ3: プロたちのナレッジ共有の場
知識を持つだけではなく、実際の現場で実践して成果を出すためのノウハウを共有するにはどうしたらよいか話し合われました。
大野氏からの言葉の要約
資格を持ったプロ同士が、事例を共有する場があってもよい。それは、サロン形式もあれば、優れた論文発表の場もある。日本の学会は、細分化され過ぎていて、横の連携がもっとあるとよい。
「プロたちのナレッジ共有の場」に求められるもの(こと)とは?
共有したい・すべきナレッジとは何か、どうすれば共有できるのかについて、意見が出されました。
分野が広がっていった時にコア(共通点・違い)は何か、何を共有できたらよいのかを考え、場の作り方をこまめに設計する必要がある。浅い話ばかりではなく、濃い・深い情報が集まる・交換されるような場になるようにすべきなので、コアな情報をどれだけ出せるかがポイントとなる。クローズドな集まりにしたり、参加者の水準を合わせたり、飲み屋さんでこっそり(オフレコで)などの工夫が考えられる。
従来の活動にみられた「プロたちのナレッジ共有の場」の事例(ストーリー)は?
ナレッジ共有の実際の取り組みが紹介され、もっと広げるためのアイデアも出されました。
利用品質メトリックの談話会を開催(計5回)し、事例や周辺の話をLTで共有・議論してきた。談話会参加者の8割がたはHCD-Net会員だが、より多くの方に参加してもらいたい。情報を得たいと思ったら、まず自分から発信するべきだが、囲い込みが起きているためか、なかなか発信される機会が少ないと感じている。身近な事例がないと腹落ちしないが、そのような事例は出しづらいのではないか。例えば、サービスデザインなどのビジネスに近い領域だと競合してしまうので、ノウハウを共有しづらい面はある。逆に、テクニックに関する話は共有しやすい。社内展開する際、業種・領域が近くないと伝わらない場合が多い。逆に近い事例だととても有効で、中身もしっかり理解される。自分自身が社内展開する際は、課題と領域を広めにして事例をたくさん作った。会社の成長戦略のビジョン策定にデザイン思考を取り入れる活動も行っている。
これから新たな「プロたちのナレッジ共有の場」とするために必要な活動は?
成功事例をもっと発表しやすくするために、アワードを積極的に活用するアイデアが出されました。
会社の宣伝になるのであれば、社外発表して共有することも前向きになるのではないか。現状では、リスクを冒してでも公開するメリットがない。であれば、箔がつくし社内的にも評価されるアワードがメリットになるのではないか。HCD-Netの価値・存在感を高める必要がある。そのためには、今まで内向きの活動が多かったと思われるが、もっと外向きにアピールしていくべきである。明日(12/1)のセッション(UXデザインを始める本)のフィッシュボール(金魚鉢)ワークで、悩みを持った人を囲んで周りからアドバイスする。プロが日頃の業務で悩んでいる点は、飲み会などで気づく。それらのナレッジ・知恵を集められないか。それらの知恵のマッチングができるとよい。皆の悩みが見える場や仕組みを作るとよい。
まとめ
座学や演習で学ぶだけでなく、実務でやってみて得られたノウハウはとても貴重です。業界全体を活性化するためにも、プロ同士のナレッジが共有される場の提供が望まれます。
次回から、基調講演の3セッションについてレポートする予定です。