【海外UXイベント紹介】UXPA2019(トピック:Career Development)
UXエバンジェリスト 金山
UXPA2019の申し込みが開始されました。本記事では、UXPA2019のプログラムをトピック別に紹介していきます。今回のトピックはCareer Development(キャリア開発)です。
Career Development(キャリア開発)
トータル6つのセッションが、6月25日と26日の2日間で順次聴講できるように編成されています。順番も考慮されているようで、UXPAカンファレンスでの人脈形成から始まり、採用面接につながる履歴書の書き方、プロジェクトにおけるUX実務の話、独立して会社を運営するノウハウと続いています。
上記4つのセッションの合間には、豪華パネリストをそろえたパネルディスカッションが入ります。1つは、経歴30年~40年以上のレジェンドたちから学びます。もう1つは、現役で活躍中のUX実務家たちからキャリアアップについての話を聞きます。
それでは、6つのセッションをタイムスケジュール順にもう少し詳しく見ていきましょう。
Networking for Introverts: How Attending UXPA Can Help You Land a Job
内気な人向けの人脈形成術:UXPAへの参加が仕事を見つけるのにどれだけ役立つか
メインカンファレンスは、2日目の6月25日から始まります。最初にキーノートスピーチを全員参加で聴いた直後にこのセッションがあります。UXPA初参加の方にとっては、どのように他の参加者と交流して学び成長していけばよいのか、とても参考になると思われます。
Standing on the Shoulders of Giants: The History of User Research Understanding Our Past, Preparing for Our Future
巨人の肩に立つ:ユーザー調査の歴史 過去に学び将来に備える
UX関連業界を昔から引っ張ってきたレジェンドたちが顔をそろえる贅沢なパネルディスカッションです。著書、論文、講演、表彰など、輝かしい実績から、どんなに貢献が大きかったのかうかがい知ることができます。
- Rebecca Destello (レベッカ・デステッロ)
レベッカさんは、Facebookのリサーチマネージャーです。2007年から、ヘルスケア、政府機関、電子商取引、ソーシャルメディア、スタートアップなど、さまざまな問題領域の調査を主導してきました。ワシントン大学では、大学院生にユーザー中心設計、デザイン思考、リサーチ、ユーザビリティテスト、Webデザインを教えています。
- Tom Tullis(トム・タリス)
トムさんは、ヒューマンファクター、ユーザビリティ、ユーザーリサーチにおいて40年以上の経験を持つコンサルタント、作家、講演者です。『ユーザーエクスペリエンスの測定』の原著者としても知られており、2011年にUXPA Lifetime Achievement Awardを受賞されています。毎年、UXPAカンファレンスで登壇される傍ら、カンファレンスの様子をカメラに収められており、Flickr上でUXPA2018の写真もアップされています。
- Ginny Redish(ジニー・レディッシュ)
ジニーさんは、30年以上に渡りユーザビリティと明確なコミュニケーションのための情熱的なエバンジェリストです。彼女は最初のUPA(現在はUXPA)カンファレンスのキーノートスピーカーで、「ユーザビリティの母」と呼ばれています。『A Practical Guide to Usability Testing』や『User and Task Analysis for Interface Design』が著書として有名です。最近の著書は『Letting Go of the Words: Writing Web Content that Works』です。2013年にUXPA Lifetime Achievement Awardを受賞されています。
- Stephanie Rosenbaum(ステファニー・ローゼンバウム)
ステファニーさんは、ユーザーリサーチの先駆的企業TechEdの創設者/CEOです。UXの進化を40年以上に渡って支えてきたフィールド調査の伝道師です。彼女は過去のUPA / UXPAカンファレンスのほぼすべてに出席・発表し、SIGCHI、HFES、STC、SIGDOC、IEEEでも発表しています。ユーザーリサーチに関する何十もの論文や記事を書いてSTCのRainey賞を、2000年にIEEE Millennium Medalを受賞されています。
- Chauncey Wilson(チャウンシー・ウィルソン)
チャウンシーさんは、DEC社でユーザビリティエンジニア、Autodesk社でユーザーリサーチャー、UXアーキテクトを務められ、Bentley Collegeで教鞭もとられています。著書として、『User Experience Re-Mastered: Your Guide to Getting the Right Design』『Interview Techniques for UX Practitioners: A User-Centered Design Method』『Credible Checklists and Quality Questionnaires: A User-Centered Design Method』などがあり、近刊で『Handbook of User-Centered Design Methods』が予定されています。2015年にUXPA Lifetime Achievement Awardを受賞されています。
- Cliff Anderson(クリフ・アンダーソン)
クリフさんは、インターネット専用金融機関のシニアユーザビリティエンジニアです。30年以上のユーザビリティ調査経験を持ち、3000人以上のユーザーと接してきました。彼は、テクニカルライティングとインストラクショナルデザインの幅広い知識・経験も持っています。UXPAで発表している他、UNC、クレムソン、ジョージア、ウィンスロップで客員講師やニールセンノーマングループの講師も務めています。
First impressions: How to design your resume and craft a killer portfolio that will get you that interview
第一印象:履歴書と作品・実績集を魅力的にデザインして採用面談まで進むには
ネットワークを広げ、意中の会社が見つかった後、どのようにアプローチすればよいか、履歴書やポートフォリオ(作品・実績集)で何を伝えればよいかとそのデザイン、採用面談対応のヒントについて、採用側の視点から何を書いてほしいか説明があります。
Is the Grass Greener? A look at Roles and Transitions in UX Careers
隣の芝生は青く見える? UXキャリアにおける役割と変遷を垣間見る
6名のUX実務家によるパネルディスカッションです。現役で活躍中の方から、ビジネス現場においてUX専門家がどのような役割を担えばよいのか、さまざまな環境を経験したパネリストがディスカッションします。以下、どんなパネリストが登壇するか、簡単に挙げておきます。
- Christy Harper(クリスティ・ハーパー):HPで18年のキャリア。UX実務家からチームマネージャーに変わり、10人のUX研究者のグループを率いました。
- Cynthia Rando(シンシア・ランド):17年以上に渡るUXの実務家。NASAで働いた後、Sophic Synergistics, LLCの事業主に。
- 【モデレーター】Jeff Graley(ジェフ・グレイ):防衛および商業分野の両方において、ユーザー中心設計の16年の経験。
- Pieter Kruithof(ピーテル・クリトフ):IBM UXプロフェッショナル。15年以上の研究経験と5年間の設計経験。
- Melissa Meingast(メリッサ・メインガスト):ヒューレット・パッカードエンタープライズ マスターテクノロジスト。20年以上に渡るユーザーリサーチの経験。エクスペリエンスデザイングループのUXおよびHF(ヒューマンファクター)リサーチプログラムの管理を担当。
- Mohamed Sheik-Neinar(モハメド・シェイクネイナール):シナプス社でUX リサーチ15年以上の経験。入力デバイスに関して、担当者、チームリーダー、UXチームの人事マネージャーを歴任。
Forging Alliances with Project Management: A PM's View of UX
プロジェクトマネジメントで連携を強化する:プロジェクトマネージャーから見たUX
UX実務者が、プロジェクトマネジメントの観点も考慮しながら、どのようにして実際のプロジェクトの中で立ち振る舞えばよいのか、プロジェクトマネージャーの視点から解説されます。
Running a Successful UX Research Consultancy: Tips and Tales From Year One
成功を収めたUX調査会社の運営:初年度からのヒントと事例
このセッションは、全体の中で唯一、Advanced に分類されます。実際の起業経験から得られた知見について紹介されます。将来、独立を考えている方にとって実践的で有益な内容が学べると思われます。
まとめ
今回は、Career Development(キャリア開発)を取り上げて内容を見てみました。日本とはUX業界の事情が違う面はあるかもしれませんが、先進的な欧米でキャリアアップするためのヒントが得られそうな感じがしました。次回以降、他のトピックを取り上げ、面白そうなセッションを取り上げていきます。
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2019年2月1日【海外UXイベント紹介】UXPA2019(概要)