【海外UXイベント紹介】UXPA2019(トピック:Design Psychology)

UXエバンジェリスト 金山

本記事では、UXPA2019のプログラムをトピック別に紹介していきます。今回のトピックはDesign Psychology(デザイン心理学)です。人間の心理を把握してデザインに生かすためのコア領域に関するトピックです。大きく「基礎的知識やスキル」と「応用/適用分野」の2つに分けてご紹介していきます。

基礎的知識やスキル

UX Psychology - Five Things Every UX Professional Should Know About Psychology and Brain Science
UX心理学―すべてのUXプロフェッショナルが心理学と脳科学について知っておくべき5つのこと

講師のスーザンさんは著名なUXコンサルタントで、以下の2冊が有名な著書です。UX心理学のセッションでは、計200の指針の中から最も基本的な5つが示されることでしょう。

24日のプレカンファレンスでは、UX心理学の講師スーザンさんから1日ワークショップで行動デザインを学ぶことができます。

Behavioral Design Workshop
行動デザインワークショップ

顧客が行動を起こすにはどのように働きかけたらよいか習得することができます。

その他、行動デザインワークショップでも扱われる「認知バイアス」に焦点を当てたセッションや「共感」を製品開発に取り込むための1日ワークショップもあります。

Cognitive Biases in UX: We're all Human.
UXにおける認知バイアス:われわれは皆、人間である

認知バイアスは、人間が介在するシーンで発生するので、いろいろな場面で応用できる知識になります。国内のソフトウェア開発現場でも認知バイアスを取り入れたレビュー手法が提案されています。「作成者の認知バイアスに着目したレビュー手法の提案

40 empathy exercises for every phase: discovery, design + continuous development
あらゆるフェーズで使える40の共感エクササイズ:発見、デザイン、そして継続的な開発

製品開発のライフサイクルも意識して、どの段階でどのように「共感」を取り入れたらよいか学べる演習です。参加者は自分自身のデザイン上の課題を持ち寄り、対話形式でエクササイズが進められます。終了時には、共感演習ツールキットがもらえるそうです。

応用/適用分野

Visualizing Data for Presentations, Dashboards and UIs
プレゼンテーション、ダッシュボード、UIのためのデータの視覚化

「ビッグデータ」から「ビッグインサイト」を導き出すためのデータ視覚化手法を学ぶ半日ワークショップです。講師のトーマスさんは、データ視覚化コミュニティにおける数少ないUXプロフェッショナルのひとりです。

Let Me Tell You A Story: The Power of Storytelling in UX Design
あなたの話を聞かせてください:UXデザインにおけるストーリーテリングの力

ストーリーテリングは、2006年のUXPA(当時はUPA)カンファレンスのテーマでした。優れたストーリーテラー(Stephen Denning、Walt Disney、Steve Jobsなど)のやり方をベースに、どの状況でどんな物語のタイプを選べば効果的か学ぶことができます。

UX fundamentals for adapting science-based interfaces for non-technical audiences
非技術系ユーザー向けに科学ベースのインタフェースを適応させるためのUXの基礎

もともと専門家向けに技術情報を提供するために構築されたインタフェースを、高校生や博物館の訪問者のような非技術系の新しい視聴者に適応させる課題について説明します。

The Art of the Implicit Intuitive: Adventures in BBIF Persuasion Design
暗黙の直感的な芸術:BBIF説得デザインの冒険

ユーザーの信念、期待などを活用して、行動の変化をどのように促すかに焦点を当てます。ブランドと行動を橋渡しする方法として、BBIF(Brand-Behavioral Interaction Framework)が紹介されます。

InstaBrain: Snap Into The Minds of Generation Y and Z Customers
InstaBrain:ジェネレーションYとZの顧客マインドにスナップイン

ジェネレーションY(1980年前後から2005年ごろにかけて生まれた世代)とZ(2000年代に生まれた世代)の顧客の背後にある心理学を探求し、これらの世代の顧客のためにより良いWebサイトとアプリをデザインする方法を学びます。

Topics in Ethics Roundtable
倫理に関する円卓会議

人工知能(AI)がさまざまなシステムで活用されるようになり、人種差別的なTwitterボット、人間のふりをする音声UI、スマートスピーカーが個人的な会話を妨害することなどが問題になってきています。対話型ラウンドテーブルセッションで、それらの問題に対して倫理面な側面から切り込み、議論されます。

最終日(27日)の2つのセッションは、アクセシビリティ関連になっています。

Accessible design across UX industries: tips, tricks, and pitfalls from researchers and end-users
UX業界におけるアクセシブルデザイン:リサーチャーやエンドユーザーからのヒント、秘訣、落とし穴

アクセシビリティに関するパネルディスカッションです。パネリストは、業界側とユーザー側の2つのグループから構成され、それぞれの立場からの意見交換が行われます。

Enhancing the User Experience for People with Disabilities: Top 10 Web Accessibility Issues
障害者のためのユーザーエクスペリエンスの向上:Webアクセシビリティの問題トップ10

Webアクセシビリティに焦点を当て、問題点と解決策について紹介されます。

まとめ

今回、UX専門家としてビジネス領域で活躍するためにも重要な「デザイン心理学」に関するセッションを紹介しました。基礎的なものから各種応用/適用分野がありますので、お仕事に関連しそうなセッションがあれば、受講を検討されてはいかがでしょうか。早期割引の締め切りは、本記事が投稿されてから約1週間後になります。

次回以降、残りのトピックについてもご紹介していく予定です。

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