【海外UXイベント紹介】UXPA2019(トピック:Tools & Techniques:調査)

UXエバンジェリスト 金山

本記事では、UXPA2019のプログラムをトピック別に紹介していきます。今回のトピックはTools & Techniques(ツールとテクニック)です。本トピックに関するセッションは19個もあるので数回に分けてご紹介していきます。最初は調査関連のセッションをとりあげます。

調査に関するセッション

Survey Design for UX Nerds
UX狂のための調査設計

本セッションは、効果的で偏りのない有益なアンケートを作成することで、ユーザーのニーズ、要望、好みなどについて知りたい方向けです。以下のことを学ぶことができます。

  • 一般的な調査設計の原則、人口統計学的な質問の仕方、主要な質問の種類とその使用方法(例:リッカート尺度、意味差、回答グリッド)
  • 回答者の募集方法、ユーザーニーズの特定と優先順位付け(例:MaxDiff法)
  • アンケートを使用して使用中の製品および新デザインやプロトタイプに関するフィードバックを取得する方法(例:「最初のクリック」に関する質問)
  • 携帯アプリに関するフィードバックを取得する方法(例:QRコードを使う方法)
  • 標準的な質問を使った調査(例:SUS(System Usability Scale)、NPS(Net Promoter Score)、UEQ(User Experience Questionnaire))
  • データ品質を最大化する方法(例:アンケートの回答スピードを抑制する仕組み)
  • 一般的なオンライン調査ツールの概要

Survey Analysis for UX Nerds
UX狂のための調査結果分析

本セッションは、ユーザーのニーズ、要望、欲望、好み、評価などについて知るために行った調査の結果を正確に分析して提示するために必要なすべてのことを実データによる演習を通して学べます。

  • 一般的なデータ分析のヒント(さまざまな種類のデータを使用してどのような分析を実行できるかなど)
  • 人口統計データの分析
  • 評価尺度、多肢選択問題、およびチェックボックスデータの分析
  • 誤差と信頼区間の計算
  • 逐語的コメントの分析
  • 標準的な質問(SUS、NPSなど)の分析
  • ピボットテーブルを使用してデータをスライスおよびダイシングする
  • データのどの違いが実際に重要かを判断するのに役立つ統計的テスト

Go Where Your Users Are: A Fresh Look at Contextual Inquiry Methods
ユーザーのいるところへ行く:文脈調査方法に新たな目を向ける

ユーザーの行動や生活を理解するための最善の方法は、実際に彼らの家や職場を訪問することです。訪問調査、文脈調査と言うと圧倒されるかもしれませんが、原則は非常に単純で、ユーザーの個人的な空間の中で謙虚な観察者になることです。本セッションの参加者は、以下のことを学べます。

  • 民族誌的および文脈調査方法論と調査への効果的な適用方法
  • パーソナル空間で実際のユーザーを観察することを目的とした調査計画の作成方法
  • 有用な議論と観察を可能にするために民族誌的訪問を実施するためのヒント
  • 民族誌の訪問を増やすための日記や他の手段の使い方および調査結果報告の戦略

Best Practices for Ethnographic Research, Lessons Learned in the Wild
民族誌調査のためのベストプラクティス - 調査現場で学んだ教訓

民族誌調査は難しいかもしれません。準備に最善を尽くし、変化に対してオープンであり続け、アプローチに対して柔軟であるべきです。本セッションでは、民族誌調査とそれが産業界でどのように行われているか説明します。参加者には、民族誌調査の実施、必要な準備と計画の立案(ステークホルダーとのスコープの合意形成、調査チームとリクルーターへの期待の設定など)に関する有用なヒントを提供し、ベストプラクティスを説明するために、調査現場での驚きの複数の例を共有します。満たされていないニーズを分かっていないことを認識し、調査結果を共有するためにインパクトのあるストーリーテリングの力をもって結論を下す方法について学べます。

Scaling research without scaling the team
チームを増員することなく調査を拡大する

デジタル製品チームは急速に成長しており、ユーザーから直接学ぶことへの要望が高まっています。リサーチャーの手が回らないときは、リサーチャー以外の人が対応しています。リサーチャーの役割が製品開発プロセスにおける調査のボトルネックになっている状態を脱し、リサーチャーがコーチとなり、より多くの意思決定者がユーザーと直接話すことができるようにする必要があります。急成長している中規模の新興企業で行われる調査の量とインパクトを成功裏に拡大するために3人のリサーチャーのチームとしてとった戦略を共有します。

  • 調査研修ワークショップやセルフサービスのリソースを通じて、ステークホルダーが自らの戦術的な質問に答えることを可能にする
  • ステークホルダーが過去の調査全体から新たな洞察に気づける知識ベースを構築し、調査から得られる発見を活用できる期間を延ばす
  • 調査業務を見直すためにいったん立ち止まり、体制を整えてから成果を出す

まとめ

調査は、UXデザインを始める起点になります。長年の蓄積からノウハウを学ぶことで、自らのビジネスや業務で活かせるヒントが得られることでしょう。次回は、評価をとりあげてセッションをご紹介する予定です。

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