Adobe Max Japan2017参加報告
プロデューサー 宮野
11月28日にパシフィコ横浜で開催されたAdobe Max japan2017に参加してきました。いくつか参加したセッションの中で興味深かったものをご紹介します。
Keynote
どれも興味深いトピックだったが基調講演の最後におこなわれたベータ版のチラ見せが最も驚かされました。今回のアップデートでAI機能の「Adobe Sensei」による制作支援機能がピックアップされていたが、今後はこれがさらに進化していくというのです。具体的には考える、創造する以外の作業をシームレスにsenseiに頼ることができるようになります。
例えば写真選定の場合、人物の向きをでフィルタリングしてくれるのでユーザーはスライダを動かすだけで最適な一枚をすぐに選ぶことができます。さらに写真を決めたら、今度は勝手にパスで抜いてくれたり、イメージに近いフォントを選んでくれたりと想定される次の作業を考え対応してくれるのそうです。さらにボイスでこれらの作業を命令することもできていました。
こういった単純作業のわりに時間がかかっていたことが解消できるので、さらにクリエイティブに時間を費やすことができるようになります。しかし裏を返せば求められる創造性が高くなるということであり、技術ではなく発想がさらに重要になってくるとも言えるのではないでしょうか。また、あるクオリティでの均一化が予想されるので、それに縛られない発想やプラスαの付加価値が製作者には求められいくと考えられます。
アドビ ビデオ製品、IBCアップデートの概要[vd1]
古田 正剛 氏│アドビ システムズ
このセッションではビデオ製品のアップデートに関するトピックが紹介されていました。今回、ビデオ製品の最大のトピックはVRビデオへの対応のようです。話を聞いていて、これで動画、音声ともに一通りVRに対応できるようになった印象を受けました。やはりVRニーズは今後も高まっていきそうですね。
また、作業効率化については主にAEやPremiereでの細かな配慮が増えた印象でした。特に「チームプロジェクト1.0」というクラウドにプロジェクトを保存してAE、PR、ME、AUなどをすべて1つのプロジェクトで管理できる機能は制作拠点に依存しないシームレスな制作対応が求められる現場では非常に有用そうでした。
細かいですが個人的にはAfterEffectsでシェイプのコントロールポイントごとにスクリプトで動きをつけられるようになったことが嬉しいアップデートでした。これで各点ごとに制御できるので1つのシェイプで複雑な動きができるので、悪夢のような量のキーフーレーム制御から開放されそうです。
事例に基づくデザインの法的保護最前線[pl3]
松井 宏記 氏│レクシア特許法律事務所
このセッションではデザインについての権利を守る弁理士の視点から製作者がおさえておくべき権利について解説していました。「なんとなくパクっている」という主張だけでは裁判に勝てません。どんな法律・権利に違反しているかを明確に主張することが最も重要である、というお話です。
産業財産権のなかで大きく我々に関わってくるのが以下の2つです。
- 意匠権ーデザインについての権利
- 商標権ーブランドについての権利
不正競争防止法や著作権もありますが、これらでは期間や対象が限定的であるため、実際には権利を守りきれない可能性が高いのです。
世界中の企業が様々なテクニックを駆使して「意匠権」と「商標権」を最大限、活用しています。(最近では音、色、動き、位置、ホログラムといったものまで保護されるそうです!)
彼らと対等に戦っていくためには、私達も権利についてきちんと理解して武器として使っていく必要があります。逆にこういった情報を知らないと意図しないところで自分たちが権利侵害をしてしまう懸念もあると感じました。
所感
私の立ち位置からグラフィック側のセッションにはあまり参加しなかったのですが、そちらも非常に盛り上がっていたそうです(Twitterでトレンド入りしていました)。普段、最も使用しているソフトウェアのポリシーや考え方を知れたという意味でも非常に良いイベントでした。
来年もぜひ参加したいと思います。