#15「ミツエーリンクスの品質管理部ってどんな仕事をしているの?」
品質管理部マネージャーの小稗さんをゲストにお呼びして、品質管理の業務内容や、Webサイトの品質で品質管理部が大切に考えていることなどについて聞きました。
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- 古川
- みなさんこんにちは!ミツエーテックラジオは株式会社ミツエーリンクスのスタッフがWebデザイン、WebフロントエンドなどのWeb技術に関するニュースやツールなどをシェアしたりするためのPodcastです。司会は古川が務めます。
今回のテーマは「ミツエーリンクスの品質管理部ってどんな仕事をしているの?」っていうことなんですが、当社には、制作スタッフが作成したコンテンツの品質をチェックしている品質管理部という部署があります。今日は品質管理部のマネージャーの小稗さんをゲストにお迎えして、品質管理部の業務内容や、Webサイトを制作する上で品質管理部が大切に考えていることなどについてお話を聞いてみたいと思います。ということで、小稗さん、よろしくお願いします! - 小稗
- はい。よろしくお願いします。品質管理部の小稗です。今回はあまり馴染みがない、かもしれないWeb制作の品質管理について、ミツエーリンクスの取り組みをご紹介できればと思っています。
- 古川
- はい。品質管理部でいちばん偉い人に来て頂いてるのでめっちゃどきどきはしてるんですけど、さっそくなんですが、主に品質管理部がどんな仕事をしているのかについて教えてください。
- 小稗
- はい、ミツエーリンクスでは、お客様からオーダーをいただいてWebコンテンツを制作するサービスをご提供しているわけですけれども、品質管理部ではお客様にWebコンテンツをお引渡しする直前、納品の直前にコンテンツの品質をチェックしています。
- 古川
- うんうん。
- 小稗
- 社内ではこれを検品と呼んでいまして、品質管理部の主な業務はこの検品を行うこと、になっています。検品は、お客様のオーダー通りにコンテンツが作成されているのか、納品して問題ない状態にあるのか、という観点で行っています。ものづくりのプロセスの一番最後、最終工程で出番がやってくる、というのがミツエーリンクスの検品ということになります。
- 古川
- ミツエーリンクスの制作ワークフローとしては、まず制作者自身で品質をチェックする自己検品と呼ばれる工程を経て、その次にあたる工程が品質管理部による検品になるっていうことですよね。
- 小稗
- はい、そうですね。作り手による自己検品も大事ですね。
- 古川
- 制作者の立場としては、検品の大切さって身に染みて実感してるんですけど、小稗さんがあえて言葉で説明するとしたら、ミツエーリンクスってどうして検品を行うんですか?
- 小稗
- …どうして?改めて聞かれると、パッと表現しにくいですね。仮に検品を行わなかった場合は、たとえばテキストの書き間違いや意図しないリンク切れといった、制作者のケアレスミスが残ったまま納品、公開されてしまう可能性が高くなってしまうわけですね。
- 古川
- うん、確かに。
- 小稗
- ミスの内容によってはお客様の本業にマイナスの影響を与えてしまうことにもなりかねませんので、制作部門と異なる検品部門で第三者的にチェックを行うということを重要な手順と考えています。
- 古川
- なるほど。
- 小稗
- ですのでどうして検品をするのか、という回答は、お客様やユーザーに安心してサイトを閲覧、利用していただくために、コンテンツの出来栄えを確認するといったこと、それから制作によるミスを未然に検知する、といったところになりますね。「当たり前品質」というふうに呼ばれるような、そういった内容をチェックすることが中心になっている認識です。
- 古川
- 「当たり前品質」っていうと、たとえば家の水道の蛇口をひねったら水が出てくるくらいのレベルの、人が認識すらしてない「当たり前」みたいな品質のことですよね。
- 小稗
- そうですね。確かに蛇口をひねるくらいの当たり前さで我々は普段リンクを押しているかもしれないですね。
- 古川
- 確かにそうですね。
では続いてなんですけど、検品っていう工程について、具体的に何をやってるのか改めて教えてください! - 小稗
- はい、具体的には、ワイヤーフレームや指示書といった原稿にあたる情報と、それをもとに社内で作成されたWebコンテンツをブラウザで表示して見比べしています。意識して一般のユーザーに近い状態で検品を進めていますね。もう少し要素分解すると、テキスト、リンク、図版、メタ情報、文法エラー、ページのレイアウトといったものが検品の対象になってきます。お客様ごとにご要望は異なっていますので、検品担当者は、原稿の特徴や意図を把握しながら、制作者の作業に抜け漏れがないのかということを確認していきます。
- 古川
- 普通の検品はつまり情報の正確性のチェックって感じですか?
- 小稗
- うん、一言でいうとそうなりますね。ただ、原稿との見比べではない検品もありまして、アクセシビリティ、それから表示パフォーマンス、この2点がそれに当たります。
- 古川
- まずアクセシビリティの検品っていうのは、コンテンツがアクセシビリティのガイドラインに準拠しているかどうかをチェックすることですよね?
- 小稗
- はい、正確にはWCAG 2.1 Aに準拠しているか、というのが検品の基準になります。ページの情報にどういった方、どういった状況でもアクセスできるということを、この基準に沿って確認をしていきます。たとえば、マウスでしか操作できない情報が存在していないかですとか、リンク先の情報が推測できないようなリンクテキストになっていないか、といった項目があります。ページに表示する画像に代替テキストが指定されているか、というのも基準のひとつです。
- 古川
- WCAG 2.1に準拠することで、世界標準を満たしているコンテンツができるって感じですね。
- 小稗
- はい。ちょっと大仰な言い回しですけど、そうですね。
- 古川
- あともう1個の、表示パフォーマンスのチェックについても改めて教えてください!
- 小稗
- はい、こちらはGoogleが提供しているLighthouseというツールを使用してチェックをしています。Lighthouseによって、たとえばページの表示が完了するまでの時間を評価しています。その時間が長いほどユーザーが不満を感じて閲覧を止めてしまいやすくなりますので、ちゃんとページを見ていただけるように、最低限の表示速度が保てているか、まずい作り方によってスピードが遅くなっていないかといったことを確認します。
- 古川
- なるほど。
- 小稗
- LighthouseはGoogle Chromeに同梱されていますので、Chromeが動作する環境であれば誰でも使うことができます。動作環境による評価のバラつきというものをなくすように、社内でLighthouseを動かす専用のツールを用意していまして、社内のテスト環境にアップされたページを計測対象としています。これまでの経験則からそのテスト環境でスコア70以上、これが検品でOKを出す基準で、検品時は対象ページがスコア70以上になっているのかということを確認しています。制作者は手元のLighthouseで計測を繰り返しながらページを仕上げて、テスト環境にページをアップし計測ツールで最終チェックをしてから検品部門へ引き渡すと、こういう手順を取っています。ですので、検品部門では最終スコアの確認に役割を絞っているという状態です。
- 古川
- Webサイトの品質って、情報の正確性だけではなくてそのサイトを使うユーザーが不満を感じないための品質も含まれるので、今お話してもらった3点を中心に検品ではチェックするっていう感じですね。
- 小稗
- そうですね。先ほど「当たり前品質」という表現をしましたけれども、ユーザーの皆さんは何らかの目的をもってWebページを閲覧されているはずですので、できるだけそれを妨げることがないように検品でいろいろ確認をしていると、ご理解をいただければと思います。
- 古川
- はい。ここまで検品の具体的な内容についてお話を聞いたんですけど、 正直検品ってすごい大変だなと個人的には思ってるんですよ。 自分もWebサイトを作った後に、品質管理部がチェックしてくれるのと同じように自己検品を行うんですけど、このときめちゃくちゃ神経を実は使うんですよね。とくに数字のチェックって、間違えてたら大変なことになるじゃないですか。
- 小稗
- そうですね、金額やサービス名の検品というのは慎重さが求められます。お客様にとっても、ユーザーにとっても、損失が出ちゃう可能性があるので。
- 古川
- 私は金額とかをコーディングした後は3回くらいチェックします。
- 小稗
- あ、3回はちょっと多いかもしれないですね。短時間に3回続けてとかですと、先入観の高い状態になってしまうので、回数重ねても同じ箇所を何度も見逃してしまうかもしれないですね。
- 古川
- 不安な気持ちから何回も確認しちゃうくらい小心者なんで、私検品担当絶対無理です(笑)
- 小稗
- 無理ですかー(笑)でも自分も、さすがに検品し始めの頃はお客様とユーザーの皆さんにどんなご迷惑をかけるかとプレッシャーだらけではありました。
- 古川
- へー。いつもどっしり構えている小稗さんでもプレッシャーって感じるんですね。
- 小稗
- いや自分もふつうの人間ですので(笑)
- 古川
- 鋼の心の持ち主だと思ってました。
- 小稗
- 鋼の心(笑)まぁ、でも努めて冷静に振舞おうとは思ってますけどね(笑)
でも、検品業務の仕組みをつくっていく、一定の原則を設けていくことで無闇なプレッシャーっていうのは減った気がしてます。 - 古川
- なるほど。
- 小稗
- もちろんお客様のご要望はユニークですから、検品メニューも当然ユニークになるわけですけれど、それをどう自分たちなりに原則と例外に仕分けていくのか、それによってリスクの高い作業も含めて、対応できる幅というのは広がったと思っています。検品が大変な話でいうと、検品で大変にならないようにプロジェクトの早いタイミングから参加して、ディレクターや制作者といっしょに検品までの計画を立てることもありますね。品質は前工程で作り込む、という言葉がありますので、そういったものに沿っています。
- 古川
- なるほどです。普段、ごく普通にWebサイトを閲覧してるんですけど、裏ではいろいろなチェックがされているっていうのがよくわかりました。
- 小稗
- ありがとうございます。個人的には、そのごく普通にWebサイトを閲覧してもらっているっていうことが、何よりの励みですね。
- 古川
- というと?
- 小稗
- 間違いだらけだったり、肝心なリンクがつながっていないWebサイト、そういったWebサイトばかりですと、誰も率先してWebサイトを使いたいとか、つくりたいとか思わなくなるかもしれないなぁと思っていまして。 さっき、蛇口の例えにもつながりますけれども、たくさんのひとがWebサイトというものを特に疑うことなく使えている、そういう一般的な信頼感に、この検品業務は少なくともアプローチできてるんじゃないかなと思っていて。ですから、ごく普通に使ってもらっているっていうこと、これが大事ですね。
- 古川
- そういうユーザーの事前期待を裏切らないために、やっぱり検品ってすごく大切だなぁと思います。今日のお話を総括すると、検品は「あって当たり前」の品質をどのお客さまやユーザーにも一律で届けるための仕組み、ということでよいでしょうか。
- 小稗
- はい、そうですね、引き続き頑張りたいと思います。
- 古川
- はい、ということで、本日は品質管理部マネージャーの小稗さんをお呼びしてミツエーリンクスの品質管理についてお話しました!
最後に、ミツエーリンクスではスマートなコミュニケーションをデザインしたいUIデザイナー、UI開発者を募集しています。採用サイトではオンライン説明会やオンライン面接なども行っていますので、ぜひチェックしてみてください。 また、このPodcastはApple Podcast、 Google Podcast、Spotifyで配信していますので、お好みのプラットフォームでフォローいただけると、最新のエピソードをすぐに視聴できます!こちらもぜひご活用ください。それでは今日はこのへんで、ありがとうございました! - 小稗
- ありがとうございました!