#28「AWS re:Inventから見る技術トレンド2022」
AWS re:Inventとは年に一度、Amazon Web Servicesが主催しているグローバルカンファレンスです。今年発表されたKeynoteやアップデートの中から、押さえておきたい話題をいくつかピックアップして、コンパクトにおさらいしました!
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- 橋本
- こんにちは!ミツエーテックラジオは株式会社ミツエーリンクスのスタッフがWebデザイン、 WebフロントエンドなどのWeb技術に関するニュースやツールなどをシェアするためのポッドキャストです。
司会は橋本が務めます。今回のゲストは古川さんです!本日はよろしくお願いします! - 古川
- よろしくお願いします!
- 橋本
- 今回のテーマは「AWS re:Inventから見る技術トレンド2022」 です。さっそくですが、AWS re:Inventについてざっくり教えてください。
- 古川
- はい。AWS re:Inventは年に一度、Amazon Web Servicesが主催している、数日間にわたって開催されるグローバルカンファレンスになります。昨年は11月29日からの5日間、オンラインかラスベガスで現地参加ができました。 カンファレンスでは5つのKeynoteを中心に、新サービス発表とか、あと数多くのセッションが提供されたんですけど、同時にGameDaysやハッカソンなどのスキルアップイベントとか、あとDJブースとかバンド演奏などの余興もあったりしました。
- 橋本
- 昔は鶏肉早食い大会があったって聞いたことがあります。お堅い勉強会っていうより、お祭り騒ぎのようなワイワイした感じなんですね。
- 古川
- そうなんですよね。現地に行った日本人の方のレポートもいくつか拝見したんですけど、熱量が伝わってきて、やっぱり自分もいつか、行ってみたいなと思いました。
- 橋本
- では最初に、re:Inventの内容についてお聞きしたいと思います。
- 古川
- ぶっちゃけですね…re:Inventで発表されたアップデートをすべて紹介するのはちょっと量が膨大過ぎて無理なので、今回は気になったトピックをいくつか挙げてみたいと思います。まずはなんといっても新CEOのアダム・セリプスキーさんのKeynoteです。
- 橋本
- Amazon創始者のジェフ・ベゾスさんは昨年7月に退任されたんでしたっけ。
- 古川
- そうなんですよ。今回はCEO交代後最初のre:Inventだったので開催前からかなり注目されていました。Keynoteの中身なんですが、今年AWSは15周年で、re:Inventは10周年の節目の年だったので、冒頭はAWSの歴史を振り返りつつ、最初はクラウドの考え方について、全然理解されなかったけど、今やいろんな事業の業務遂行に必要不可欠な仕組みになっているという、AWSクラウドの現状からスタートしました。
- 橋本
- 当社もAWSパートナーとして、SaaS型のクラウドサービスをいくつかリリースしていますもんね。
- 古川
- そうですね。やっぱり今やクラウドはビジネスに欠かせない要素のひとつになってるように感じます。
ただ、Keynoteでは企業のIT支出の5%から15%がクラウドに移行したとアナリストが推定してるって言ってました。 - 橋本
- 裏を返せばまだ少なく見積もっても85%は移行してないことになるんですね。
- 古川
- アダムさんも、そこがビジネスチャンスで、ここからが始まりなんだよっていうようなことを仰ってました。
あとやっぱり印象的だったのが、「パスファインダー」っていう言葉が繰り返し使われたところですね。 - 橋本
- パスファインダー、とあるゲームでよく聞くんですけど、それってどういう意味でしたっけ?
- 古川
- えっとですね、「Path」と「Finder」と分けて考えるとわかりやすくて、道を見つける人、いわゆる時代や業界の開拓者って意味です。
- 橋本
- なるほど。そのフレーズが繰り返し使われてたってことだったんですけど、それはどういった意図があったんでしょうか?
- 古川
- 恐らくですが、この言葉に込められた意味っていうのが大きく分けて2つあって、1つ目がAWS自身がパスファインダーとして、クラウド黎明期から最先端で頑張ってきて、これからも先駆者としてクラウドの革新を続けていくっていうことと、もうひとつが、さまざまな業界に居るパスファインダーが、AWSのインフラの力を借りて、それぞれの業界を変革していくっていう意味があるんだと思います。
- 橋本
- なるほど…。そういえば、NASDAQが、証券取引市場をAWS上に移行していく予定だとニュースで見たんですけど、そういうことですかね?
- 古川
- そうですね。ITだけではなく他の産業と積極的に連携することで、AWSの市場を大きくしていこうという戦略を見た気がします。全体的に見ると目新しい派手なアップデートはそれほどなかったんですけど、決意表明とも取れる、AWS15周年の節目とか、あとCEO交代のタイミングにピッタリの内容だったなぁという感想です。
- 橋本
- なるほど。そのほかのKeynoteで気になるところってありましたか?
- 古川
- ほかにはAmazon CTOのヴァーナー・ボーガスさんがKeynoteで話してた「The Everywhere Cloud」というキーワードが印象的でした。
- 橋本
- 直訳すると「どこでもクラウド」ですかね?
- 古川
- そうです。AWSが15年以上前にクラウドテクノロジーを開拓したあと、クラウドインフラストラクチャは、地球上のほぼどこにでも、さらには宇宙まで到達するほど進化するっていうビジョンです。
- 橋本
- 宇宙もですか?スケールが大きいですね。
- 古川
- 宇宙については、AWS Space Acceleratorっていう、宇宙産業の課題をAWSクラウドで解決するためのサポートプログラムが実際に始まってたりするんですよ。今後数年間で、この流れがますます加速して、クラウドはグローバルに分散されて、地球上のほぼすべてのデジタルデバイスやシステムが宇宙などありとあらゆるところで接続される、っていうようなことをヴァーナーさんは自身のBlogでもお話されてました。
- 橋本
- すごい壮大な話に聞こえるんですけど、IoTや5Gの動きを見てると絵空事とは思えませんね。
- 古川
- そうですよね。
あと最後に「サステナビリティ」についてお話したいと思います。これは今後かなり重要なファクターになりそうな感じがしています。というのも、今回のre:Inventで、AWS Well-Architected FrameworkにSustainabillity Pillar、つまり持続可能性の柱っていう項目が追加されるというアップデートがありました。 - 橋本
- そのWell-Architected Frameworkってなんですか?
- 古川
- 簡単に言うとAWSを用いて作られてるシステムやサービスを評価するためのチェックリストのことをいいます。
このチェックリストにはセキュリティやパフォーマンス効率など、柱とよばれる5つのチェックのポイントがあるんですけど、そこにサステナビリティが追加されて、柱が合計6本になりましたっていうニュースになります。これは、世界的に注視されてるSDGsへの配慮がひとつにあると思います。 - 橋本
- なるほど。サステナビリティはエンドユーザーがクラウドサービスやクラウド事業者を選定するときの大きなポイントにもなっているので、そういったところを汲んだアップデートなんですかね?
- 古川
- そうですね。それと同時にAWSのパスファインダーとして行動責任を果たそうとしている姿勢の表れなんだなとも思います。昨年更新されたAmazon Leadership Principlesにもサステナビリティの項目が追加されてたようです。The Everywhere Cloudのビジョンを責任をもって実現しよう、っていう気持ちが見てとれるな、と思います。
- 橋本
- 最後にAWS Amplifyで注目のアップデートを紹介してもらおうと思います。
- 古川
- Amplifyはミツエーリンクスのビジネスドメインにかなり関係するサービスなんですけど、今回のre:Inventではほんとに衝撃が走るアップデートがありました。
- 橋本
- Amplifyは過去にミツエーテックラジオでも取り上げましたね。
- 古川
- そうですね。今回のアップデートなんですけどターゲットは「ステキなWebアプリケーション作りたいけどフルスタック開発者になるのしんどい…」と思ってる人向けです。Webアプリケーションを作りたいってなると、HTMLやCSSだけじゃなくて、サーバーサイドやAPIの知識とか、実にいろんなことを学習する必要があります。やっぱりこう、デザインの再現性からバックエンドまで、すべてをこなすってめっちゃしんどいですよね。
- 橋本
- まぁ正直しんどいですね。
- 古川
- そんな橋本くんを始めとする人におすすめしたいのが、「AWS Amplify Studio」です。Amplify Studioはいわゆるローコードツールで、これを使うことで、Figmaで作ったデザインと、コンテンツ管理機能などのバックエンド機能をブラウザからつなぎこんで、Reactコンポーネントとして出力して、それをコピペでWebアプリケーションに設置できるっていうツールになります。
- 橋本
- 話だけ聞くとすごいですね。ローコードツールってたくさんあったと思うんですけど、デザインデータの取り込みからバックエンドのつなぎこみまでを一気通貫でできるツールは今まで無かったんじゃないかと思います。
- 古川
- これ、使い方も簡単で「ブラウザ上でデータモデルを定義して、データを投入して、Figmaと連携して、UIコンポーネントとデータを接続する」っていう4ステップで完了してしまうんですよね。この感動はぜひ実際に試して感じていただきたいです。
- 橋本
- はい、今度試してみます。ちなみにこういう系のツールで出力されたコンポーネントを、後々コードベースでカスタマイズしたくなっちゃったりすると思うんですけど、そのあたりは可能なんですか?
- 古川
- うーん、それはできないんですけど、出力されたコンポーネントをもとに、コンポーネントを拡張する機能は提供されてます。
- 橋本
- ローコードツールでざっくり作って、後はコードベース微調整する、みたいな柔軟な開発ができそうですね。
- 古川
- そうですね。このツールが画期的なところを2つ挙げるとすると、1つ目は、開発者の作業がいくつか省略されることによって、独自なロジック開発とか、アーキテクチャ設計とか、そういうよりクリエイティブな作業にリソースを割けることになります。
- 橋本
- 最近ローコードとかノーコードツールが普及してきてますけど、それらが普及することで開発者の仕事がなくなるというわけではなくて、本当にやりたい仕事に注力しやすくなる、みたいな世界ができあがっていったら素敵ですね。
- 古川
- そうですね。続いて2つ目なのですけど、このツールを使うとデザインからすぐコード出力ができるので、デザイナーとの距離がぐっと縮まるっていうことが期待できそうです。そうすることで、結果お互いにフィードバックループを回しやすくなります。実験して、結果のフィードバックをもらって、また実験するっていうサイクルを高速で回すことによって、改善が加速されてより質の高いアプリケーションやサービスを構築することができます。
- 橋本
- なるほど。ちなみにAmplify Studioってもう普通に案件とかで使えるんでしょうか。
- 古川
- 今はこのサービスはプレビュー版でまだ実用には早いかなって感じがしますが、実証実験用とかに使うのであれば十分使えると思います。
- 橋本
- 完全実用できるレベルまで洗練されるのが楽しみなサービスですね。
ここまでお話を伺ってきましたが、いかがでしたでしょうか。自分としてはre:Inventについてかなり興味が湧きました。 - 古川
- それは何よりです。実は、KeynoteとかいくつかのセッションはAWS EventsのYouTubeチャンネルで見れるんですよね。日本語字幕がもうついてる頃合いなんで、よかったらぜひ見てみてください。
- 橋本
- はい、見てみます!
- 古川
- ちなみに、re:Inventで発表されたアップデートについて詳しく知りたい方は、AWS Japan公式のアップデート動画を視聴いただくのがよいと思います。また、サーバレスやWebフロントエンド関係のアップデートをピックアップした記事をミツエーリンクスTSD公式エンジニアブログで公開してますので、ぜひこちらもご確認いただければなと思います。
- 橋本
- はい、ぜひご確認ください。最後に、ミツエーリンクスではスマートなコミュニケーションをデザインしたいUIデザイナー、UI開発者を募集しています。採用サイトではオンライン説明会やオンライン面接なども行っていますのでチェックしてみてください。
また、このPodcastはApple Podcast、Google Podcast、Amazon Music、Spotify、YouTubeで配信していますので、お好みのプラットフォームでフォローいただけると、最新のエピソードをすぐ視聴できます!こちらもぜひご活用ください。「#ミツエーテックラジオ」でご意見、ご感想、こんなこと話してほしいというリクエストなどもお待ちしております。それでは今日はこの辺で!ありがとうございましたー! - 古川
- ありがとうございました!