テーラリング(仕立て直し)という新しいキーワードとの出会い
代表取締役 髙橋 仁素晴らしいと思える「言葉」には、何歳になってもめぐり合えるものです。そしてそれは常に突然です。そうした言葉の中に「テーラリング」があります。ちょっと難しいテーマではありますが、この言葉に触れてみたいと思います。
こんなところでめぐりあえるとは・・・
現在弊社は、『CMMI(Capability Maturity Model Integration)』 というソフトウェア能力成熟度モデルのLEVEL3認定を目指し活動をしています。 大手ソフトウェアベンダーが数年かけて取り組むような難易度の高さを持つCMMIをどうして?と思われる方も多いと思われるかもしれませんが、弊社のようにプロセスマネジメントが社風まで達した企業にとっては実はさほど理解に苦しむことはありません。むしろ受け入れやすいシステムといえるでしょう。
CMMIのモデル自体は、ISOとシックスシグマをプラスして2で割ったようなものだと言っても理解できないかもしれませんが、知識ベースではなく、生き物ともいえる企業活動にこれらのシステムを実際組み込んできた私の認識ではそうとしか思えません。さらに、成熟度モデルという新しい概念がありますが、ISO13407でモデル自体は学習済みですので、CMMI導入にとって新しい概念を把握する必要は特にないという判断です。現在、実際の現場でどのように組み込むかということに研究が進められています。
実は、CMMIの会議(コンサルティングティング企業と弊社スタッフ)で、この「テーラリング」という素晴らしい言葉に知り合ったのです。
「やっぱりそうか!」と歓喜の大声を発してしまい、その場にいたスタッフに笑われてしまいました。
「テーラリング」の何が凄いのか?
CMMIに限らず、ISO等、プロセスマネジメント手法を社内に導入しようとするとき、まず不安になるのが、マネジメントシステムは自社にとってメリットがあるか? ということです。
つまり、マネジメント手法が定義している事項をそっくりそのままの状態で、社内を動かさなければならないかもしれない、という一種呪縛にかかってしまうのです。これでは一歩も前に進むことができなくなります。
これは私自身が3年前陥ったことですので、よく分かります。ここから抜け出すには考え方を変える必要がありました。
つまり、「マネジメントシステムに従って社内プロセスを動かすという盲目的な捉え方ではなく、社内システムの変革にマネジメントシステムの良いところを活用し、自社にあわせてアレンジメントすることだ」という捉え方です。
大切なことは、顧客満足であり、成果物の品質であり、その結果としての企業の業績であることは間違いありません。結果が最も大切です。しかし、ばらつきの少ない良い結果を導きだすのは、安定したプロセスが存在しない限り不可能です。同時に言えることは、定義したプロセス通り行えば、顧客満足、成果物の品質、企業の業績が上がるかといえば、誰も保証するものではありません。
良い結果を出すためのプロセスマネジメント手法の最終形は、企業であれば、そのサイズ・状況によって仕立て直す(テーラリング)ことであり、案件プロジェクトにおいても、そのサイズ・状況により仕立て直す(テーラリング)することなのです。
CMMIはこのことを明確にうたっているというところが素晴らしいと思いましたし、いままでモヤモヤとした気分がすっきりした瞬間だったのです。
凄さの中に内在するキーワード
本題からすこし外れますが最後に、「凄さの中に内在するキーワード」について触れてみます。上記で、テーラリングを評して「凄い」と思った反面「考えてみれば、当たり前のことだった」というのが感想です。それは多くのマネジメントシステムにおいても同じことでした。「なるほど、考えてみれば当たり前のことをいっている」なのです。
この人は凄いという局面においても、大概、考えてみれば、当たり前のことを当たり前にやっていることに感動していたりします。よい音楽にめぐりあったときもそうです。多くの人が同時に感じる共通の感性をうまく表現しているだけだったりします。よいソフトウェアにめぐり合うときもそうです。これは凄いと思う中に、「考えてみればあたり前だよなあ」と思ったりします。
凄いものは、決して誰もが考えつかない3歩先ではなく、足元にしっかり存在しているようにも思えます。難しいのは自分の足元に目を据えて考えてみる時間がないだけかもしれません。
「凄さの中に内在するキーワード」に「考えてみればあたり前」があると思うのは私だけでしょうか?
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