「ユーザの定義」を再考しよう!
代表取締役 髙橋 仁ミツエーリンクスには、「HCD」という部門があり、主にログ解析、ユーザビリティ、アクセシビリティのコンサルティングや研究をやっています。
3ヶ月に一回、弊社のサイトも分析結果の報告を受けます。100ページ以上に及ぶ報告書は、非常に精度がよく、改革には非常に有効だと自負しています。反面、厳しい指摘もあり、Webマスターや私は泡を食ってしまうこともたびたびです。先日この報告会で、ふっと気付いたことがあったので、今回はこの件について触れてみたいと思います。
ユーザの定義は間違いないか?
報告を受けている時に、私と報告をするスタッフの間でギャップを一点感じました。「ユーザの定義」の部分です。ミツエーリンクスのWebサイトのユーザ定義は、「ミツエーリンクスのステークホルダーである、顧客企業様、求人応募者、従業員、ビジネスパートナーに対し、弊社をより詳しく理解いただくために、サービス、活動、社としてのスタンスを情報公開し、コミュニケーションの活性化を図ると共に、ステークホルダーに有益な情報提供を図るものです。」とサイトポリシーに明記しています。このことはスタッフはよく理解しています。
しかし、この情報だけでは不足だということが今回理解できました。情報の発信側は、自社のユーザの範囲を規定しているだけでなく、その中でも「メインユーザ」を定義し、それらのメインユーザが必要としている情報を伝えようとしています。「サイトを訪問してくれる全てのユーザ」ではなく、「訪問していただきたいユーザ」の為にWebサイトは出来ているということです。
この大切な部分を(私が)しっかり伝えないと、分析者は、「サイトを訪問してくれる全てのユーザ」を対象に分析をはじめてしまうため、改善提案に若干のギャップを感じる場合もあるということです。これは私の反省項目です。
ユーザは誰か?
認識しなければならないことは、「訪問していただきたいユーザのためのサイトになっているか」、また、「そのユーザが満足しているか」、さらに、「そのユーザが再訪してくれるか」ということであり、訪問する全てのひとに満足を提供することではありません。少なくても企業戦略を念頭におき、サイトを公開する場合、ユーザの対象を「全ての訪問者」と定義することは殆ど無意味な行為です。
さらに、ユーザの視点がどこにあるかを考える場合、「自身の視点」と、「企業(情報発信側)の視点」と、「実際のユーザの視点」はそれぞれ異なるということを理解すべきです。
このギャップの存在を理解することこそ、ギャップを埋めるアクションプランへ進むことができるのです。
ISO13407(人間中心設計−ユーザビリティ)によれば、真のユーザビリティは、 真のユーザに確認するしかないという根本思想があるのはそのためだと私は認識しています。
「ユーザの定義」を再考しよう!
殆どの企業は、すでに最低でも2−3年はWebサイトを運用しています。現状を把握するために、十分なデータを抽出可能です。
現状のユーザは誰か? 我々にとって本来あるべきユーザは誰か? ユーザの要求は何か? このことを問い続ける行為こそ今後より高いゴールを目指すために必要です。この時期に自社のユーザの定義を再考してみてはいかがでしょう。Webサイトに活かすことができる、思わぬ発見と新たなアイデアが創出できる可能性が高いと考えます。
事実を捉え、セグメントしていきますと、次第にユーザの正体が特定されていきます。次回は、ユーザの特定と商品の訴求方法に関して「イノベータ理論」と「プロダクトコーン」の視点から、解説を試みたいと思います。
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