拡張し続けるWeb技術 〜AC Meetingに出席して〜
デジタルコンテンツグループ 藤田 拓南仏、地中海を臨む街カンヌ。この地で開催されるカンヌ映画祭において日本の映画が受賞していることもあり、カンヌの名前をご存知の方も多いと思います。今回、弊社がメンバーとして加入しておりますW3C(World Wide Web Consortium)のAC Meetingが、このカンヌ近郊のマルディーユで開かれ、私も出席させていただきました。ヨーロッパのリゾート地としても名高いカンヌの気候は湿度が低く心地いい暑さで、会議中も休憩中も時差による疲れを全く忘れさせるほど快適なものでした。
1994年に創設されたW3Cは10周年目を迎えています。その10年の間にWeb関連の技術は大きく拡張されてきました。WebのきっかけともいえるHTMLはXML化され、利用するデバイスはPDA、携帯電話、家電と大きく広がっています。「Leading the Web to Its Full Potential...」をスローガンに掲げるW3Cはその言葉通り、「それまで」の状況と「それから」の可能性を踏まえ数々の勧告を生み出してきたといえるでしょう。
「今」に目を向けてみますと、かつてWeb技術について当然のように語られていたことが当てはまらなくなりつつあります。少し前までWebアプリケーションはインターフェースの操作ステップ的に弱いと考えられていました。しかし、XHTML/CSS/JavaScript/Serverの組み合わせにより、目的結果までの認知的ステップが減ることによりそういった弱点が解消され、それどころかXMLデータのやり取りを利用することにより、提案的なスタンスまで取り入れる強力なアプリケーション開発が可能です。また、かつて扱うことがなかったベクター画像もSVGといったXMLを利用することにより実装が可能となり、現在その技術は携帯電話等に組み込まれはじめています。
今回のAC Meetingでは、こういった「今」の技術についても語られ、かつ、これから社会に更に実装されていくであろうSemanticWebについても積極的に議論されていました。また、携帯端末のWeb技術を扱うMWI(Mobile Web Initiative)の発足、といった最近のリリース内容についても取り上げられ、W3Cの活動はますます広がっていくことでしょう。こういった場に出席することにより、改めて弊社の「今」のスタンスや「これから」の方向性を再考することができ、とても有意義だったと感じております。
弊社が提供するサービスの中でW3C的な要素が強いものとしましては、W3CのWAIが発表しているアクセシビリティガイドラインWCAGの実装をお手伝いさせていただく「WCAG準拠サービス」、またW3Cの勧告に従い、HTMLによる文書構造の再設計、およびそれを損なうことなく視覚デザインをCSSによりコントロールすることによりWebサイトをコーディングする「Web標準 準拠サービス」があります。こういったサービスを展開することによりW3Cが示す方針の普及のお手伝いとなれることは大きな喜びでもあります。また、これからはW3Cのその他の技術に目を向けつつ、かつ今まで以上に、W3Cの活動にアクティブに関わっていきたいと思っています。
今回で2度目のAC Meetingへの出席となったわけですが、いずれも企画・および進行がスムーズで、会議の議題に集中することができ、大変助かります。こういった会議、またその他運営のサポートしてくださっているW3Cのスタッフの方々、特にいつも細かい心配りで弊社へのご連絡やさまざまな設定を行ってくださっている慶応のW3Cスタッフの方々にはこの場を借りて深く感謝申し上げます。
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