Web2.0環境におけるユーザー行動の3つのS
マーケティング・エンジニア 棚橋 弘季いま、BlogやSNS(ソーシャルネットワークサービス)、RSS/Atom Feedの利用を中心に、ユーザーの新しいインターネット利用形態ができつつあります。かつて情報の受け手であったユーザーは、BlogやSNSという利便性の高いWebパブリッシングツールを得て積極的な情報発信者になりました。また、情報を閲覧するスタイルも、これまでのようにお気に入りのサイトを思いついた時に訪れたり、検索エンジンを使って必要な情報を見つけたりするだけでなく、ソーシャルブックマーク・サービスやオンライン型RSSリーダーなどの情報共有ツールをうまく使い、より効率的に情報の発掘を行っています。こうしたユーザーの行動の変化は、Web2.0と呼ばれる新しいインターネット環境をより快適に効率的に過ごすためには欠かせないものだといえるでしょう。では、Web2.0という環境下でのユーザー行動はどう特徴づけられているのでしょう? 今回は、新たなインターネット環境がもたらしたユーザー行動について考えてみるとともに、本日リリースいたしました「3Sマッチング型Web構築サービス」についてご紹介できればと思います。
情報供給量 > 情報消費量
総務省の発表によると、2005年9月末時点でBlogおよびSNS(ソーシャルネットワークサービス)の登録者数は、それぞれ、Blog:473万、SNS:399万となっており、現時点ではさらに増加していると推測できます。登録者のすべてがアクティブとは考えられませんが、同年3月末時点の数値を参照すると、Blogについては335万の登録者に対して95万(28.4%)のアクティブユーザー(月1回以上更新しているユーザー)がいたと報告されています。そこから推測すると、現在ではすでに150万人を超えるユーザーがアクティブにBlogを更新していると考えてよいのかもしれません(総務省の予測では2006年3月末時点で201万人がアクティブ)。
150万人のユーザーが頻繁にBlogを更新することによる情報量の増加は驚異的なものがあります。日本の企業数は約150万ですが(総務省統計局平成16年事業所・企業統計調査より)、おそらく一部のメディアを除いた企業が発信する情報量よりはるかに多い情報を、一般ユーザーがBlogを通じて発信することになるでしょう。
情報発信量が幾何級数的に増えるのに対して、情報を消費する側のアテンション(注目)が限られている状況はアテンション・エコノミーと呼ばれます。情報が供給過剰となるアテンション・エコノミー下においては、情報利用の主導権は供給側から需要側に移ります。当然、今までもSEOやリスティング広告を使って苦労して、ユーザーを自社サイトに集客していた企業にとっては、さらに厳しい状況になることが予想されます。
情報淘汰の新しいアルゴリズム
一方、玉石混交の膨大な情報の中から自分が必要とする情報を取捨選択するユーザーの側も大変です。なにしろ情報はこれまで経験したことのないスピードで日々大量に生産されるのですから。
これまでのスピード感ならGoogleをはじめとする検索エンジンが優れたアルゴリズムによって、キーワードにマッチした粒よりの情報を提供してくれました。検索エンジンが玉石混交の情報を淘汰してくれることで、私たちは必要な情報を手にすることができました。しかし、今日の大量に生み出されるBlog記事の中から旬な情報を探し出す用途には既存の検索エンジンはまったく不向きで、それだけに頼っていたら多くの有益な情報を見逃しかねません。
そうした検索エンジンによっては到達しえない情報に出会うためには、まったく別のアルゴリズムが必要とされます。そのアルゴリズムとは、例えば、Blog検索によって常にあるキーワードに関する最新のBlog記事をRSSで受け取ることだったり、自分にとって有益な情報を提供してくれることが多いブロガーのBlogのRSSを登録することだったり、ソーシャルブックマーク・サイトで人気のブックマーク記事をチェックすることだったりします。ユーザーの情報閲覧スタイルの変化の背景には、こうしたインターネット環境全体で見た場合の情報生産性(量とスピード)の向上があるのです。
3つのS(Search、Subscribe、Share)
さて、こうしたWeb2.0時代のインターネット環境におけるユーザーの情報閲覧スタイルの特徴をまとめると、Search(検索)、Subscribe(購読予約)、Share(情報の共有)の3つに分類することが可能です。この3つのSは下図のように互いに結びつきをもっており、全体で情報の淘汰を行い、価値ある情報を見つけやすくしてくれます。
もし貴社がターゲットとするユーザーとのコミュニケーションを重視するのであれば、これまでのようにユーザーのSearchだけに最適化(SEO)を行うのではなく、他の2つのユーザー行動(Subscribe、Share)に対しても同様に最適化を行っていくことが重要になります。
3Sマッチング型Web構築サービス
さて、本日リリースいたしました「3Sマッチング型Web構築サービス」は、まさにこうしたユーザー行動の3Sとのマッチングを重視することでユーザーエクスペリエンスの向上を目指す、次世代のWeb構築サービスです。検索により情報を集めるユーザーにも、RSSリーダーで更新情報をチェックするユーザーにも、ソーシャルブックマークや自身のBlog、SNSで他のユーザーと情報の共有を行いたいユーザーにも、ユーザーが求める形で情報提供が行えるよう、3Sに最適化したサイトを構築することで、顧客企業様とユーザーの関係性の構築、維持をサポートいたします。
具体的には、対象ユーザーや情報のカテゴリーにあわせた複数Blog機能、情報カテゴリー別のRSS/Atom Feed発行機能、ワークフロー管理をはじめとするCMS的管理機能などをもった企業サイト向けのWebパブリッシング・システムを、顧客企業様のご要望やご予算、運用体制に応じた形で構築いたします。実装に際しては、非常にフレキシブルな機能拡張性をもった米国pMachine社のExpressionEngineをベースにし、貴社オリジナルのテンプレートをWeb標準準拠により作成。コンテンツカテゴリーに応じた作業者の権限管理やワークフローに準じたステイタス管理機能もあわせて設計〜実装いたします。
サービスについて詳しくお知りになりたい方は、お問い合わせページよりお気軽にお問い合わせいただければと思います。
また、Web2.0時代の企業サイトの構築/運用、Webマーケティングについては、より詳しく情報を「実践!Webマーケティング:Blog」の方で随時、公開しておりますので、興味のある方はご参考にしていたければと思います。
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