もっと良くなるアプリケーション開発のために
インタラクションアーキテクト 黄 聖實アプリケーション(正式名称:Application Program)とは、OS(Operating System、例:Windows、Mac OS、Linux、iOS、Androidなど)上で動作する、特定の機能を実現するために、プログラミング言語を利用して開発するソフトウェアのことで、「アプリ」と略して使う場合もあります。
上記の定義のように、アプリケーションの主な目的は「特定の機能を実現すること」です。
該当アプリケーションからユーザーがその機能を実現できたら、それは正しいアプリケーションということですし、より簡単に操作できたら、それはより良いアプリケーションということです。
つまり、より良いアプリケーションを開発することとは、ユーザーが求める機能を把握して企画し、その機能を簡単に利用できるように設計、実装することです。
しかし残念ながら、このような一方的な定義だけでは、アプリケーションマーケットは成立しません。なぜなら、求める機能がないアプリケーションを利用するユーザーがいないように、特別な目的や自分に戻ってくるメリットがないものを開発するアプリケーション提供者もいないからです。
提供する適切な目的と達成する目標を基に開発されたアプリケーションがユーザーに必要な機能を持った時に、初めてアプリケーションマーケットのサイクルは回り始めます。
当コラムは、企業がアプリケーションを開発する際に考慮するべきいくつかの内容をまとめた内容になります。
アプリケーション開発のための4つのステップ
1. 企業のためのアプリケーションを考える
企業活動には、広報、業務効率、顧客サービス、営業活動などさまざまなものがあります。アプリケーションは企業活動をサポートするものであり、どのようにサポートするのか、その目的を果たすことができるようアプリケーションの方針を明確にする必要があります。このために考慮する内容は以下になります。
- アプリケーションを開発する目的
- 最終的に達成する目標(コンバージョン内容)
- 費用
- アプリケーション運用とリスク管理についての方針
- 実現性、有用性、斬新さ、楽しさの4つのキーワードの優先順位
アプリケーションの目的を策定することはお客様側で行うことができますが、アプリケーションを通して達成する目標の詳細や費用、運用やリスク管理についての方針などの策定は、変化の激しい市場動向の分析とアドバイスが必要になるため、専門家に相談することをお勧めします。
2. ユーザーのためのアプリケーションを考える
基本的なアプリケーションの方針が決まったら、次はユーザーに提供する具体的な内容を決めます。そのために考慮したいのが次の項目です。
- 目標達成のためのターゲットユーザーの設定(例:20代女性向け、日本人向けなど)
- ターゲットユーザーの利用シーンの設定(例:外出時に、業務中に、日常生活でなど)
- ユーザー経験(User Experience、以下UX)の設計
- アクセシビリティ(Accessibility)の設計
- 目標達成のためのアプリケーションの要素とユーザー動線の設計
- プロトタイプ制作とユーザーテスト
ユーザーの動線が最初に決めた目標に向けて直線になるほど、目標達成の可能性は高くなります。適切なスケジュールの中で、UXとアクセシビリティ設計に応じて作成したプロトタイプを使ってユーザーテストを繰り返し、アプリケーションのスタートポイントから目標までできるだけ単純で分かり易く到達できるよう改善を行います。
3. 実装のための前提条件を策定する
ターゲットユーザーと利用シーンが決まったら、その設定で最も有効な実装方法を決めなければなりません。このために考慮する内容は以下になります。
- アプリケーションを利用するユーザーの環境はどうか(例:インターネット環境、デバイス環境など)
- 理解度を上げるために、マルチメディアを使った方が良いか
- 開発環境に制限はないか(例:社内イントラ用、特定の実装技術が必要など)
実装は前提条件をどのように策定するかによって適用するデバイス、作成するデザイン要素、実装技術などが変わります。費用の最小化のため、目標達成のために前提条件を最適化して策定する必要があります。
4. アプリケーションの評価と今後の計画を立てる
アプリケーションの実装が終わったら、本格的な広報と運用を通して、最初に決めた目標が達成できるように行動すると共に、必要であれば、今後の目標も設定します。目標がどこまで達成できたか、そして、次の目標はどうするかを判断する指標として考慮する内容は以下になります。
- ユーザーのアクセスログ解析を通したユーザーの動線分析とヒートマップ分析
- ユーザー評価に対するマイナーアップデート
想定したユーザー動線のとおりに流れたか、そうではなかったらどの部分でルーズが発生したか、想定外の場所からの流入や流出はなかったかなどが確認できます。また、ユーザーの評価をフィードバックとして補修すべき項目の優先順位を決めて細目にマイナーアップデートをすることでユーザーの信頼を保つことができます。
アプリケーション開発のサポーターとしてのミツエーリンクス
UX設計、アクセシビリティ設計、アクセスログ解析、コンテンツ制作など、ミツエーリンクスだからこそできるさまざまなノウハウとサービスを基にして顧客向けにアプリケーションの企画、開発、コンサルティングを行っています。今後とも継続的な技術の研究を通して、アプリケーション開発のサポーターとしていられるよう努力いたします。
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