真実の瞬間(Moments Of Truth)
代表取締役 髙橋 仁先日、スタッフの業務日報の中に非常に興味深いテーマが書き込まれていました。ついつい返信を書いてしまいました。今日はその内容を紹介します。
1日の感想(スタッフの業務日報から抜粋)
401k(確定拠出年金)という比較的新しく、まだ市場も未成熟な商品とその提供企業のイメージアップを目的とした提案の企画書を現在作成中。
401kという商品そのものはどの商品も基本的にはおなじ。要はそれに付随するサービスが差別化のポイントになるわけで、その意味で顧客接点の1つであるWebの存在は重要。
1つには販売前のコミュニケーション・ツールという側面があるし、商品そのものが継続的運用の発生するものであるから販売後においても、顧客と企業の接点=顧客の企業経験が発生する。しばらく前に「サービスマネジメント」という本を読んだのだが、顧客の企業経験を「真実の瞬間」という言葉で捉え、顧客にとってはそれが最悪の瞬間にも最高の瞬間にもなりうることを論述している。
当然、前者であれば、顧客は二度とその企業とつきあわないだろうし、一方、後者であれば、顧客はずっとその企業とつきあおうと心に決めるかもしれない。直接的な人との接点が低い(ロータッチ)なWebにおいては、最高の瞬間を演出するのはむずかしいかもしれない。
逆に、最悪の瞬間を顧客に与えてしまうかもしれない。顧客経験を「最高の瞬間」に近づけるために、Webでできることは、他の場面で従業員が心置きなく、顧客に接することができるよう、支援することかもしれない。
「私の返信」
「真実の瞬間(Moments Of Truth)」という言葉は、ヤン・カールソン(スカンジナビア航空元CEO)が提唱した言葉ですね。正確にいうと、「・・・企業に対して、何らかの印象(肯定的、中立的、否定的)を抱くきっかけとなる出来事、あるいは、プロセス内でそのような出来事が生じる時点のこと。」ですね。
ポイントは、「・・・きっかけ(の出来事・時点)」
例えば、航空会社を例に取りましょう。
素晴らしいサービス、システムがその企業に存在していても、ほとんどの顧客はそれを体感したり接したりすることは出来ません。なぜならば接する環境がないからです。顧客は何によって、その企業を判断するでしょう?
航空会社であれば、チェックアウトカウンターで接する従業員の対応、サービス等によってその企業全体イメージを捉えているはずです。顧客が企業の印象を捉える瞬間は、実はほんの僅かな時間と、一握りの従業員によって左右されてしまうのです。
上記では、顧客が企業の印象を捉えるきっかけとなる時点(あるいは出来事)は、チェックアウトカウンターの従業員と接する瞬間であり、ここが「真実の瞬間(Moments Of Truth)」といわれる部分です。
そこがCTQ(Critical To Quality = 最重要項目)であり、そこを直せば、全体(の8割)が改善されることになります。
「真実の瞬間(Moments Of Truth)」の使い方は、イメージを上げるためにサービスを改善するポイントは何かを捉えたいときに活用すると効果的です。とくに、顧客と接点が多いサービス業に適しています。
さらにシックスシグマ的に解釈しますと、 顧客の要求は、
- アウトプット要求(最終製品/サービス)
- サービス要求(最終製品/サービスを受けとるまでのプロセス内で発生するサービス)
の2つがありますが、(顧客の)サービス要求を特定するときに役立つと解釈しています。
「真実の瞬間(Moments Of truth)」は私達のサービスにおいても、顧客企業様への提案書作成においても考慮すべき重要なキーワードだと認識しています。
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