VOCとは何か?
代表取締役 髙橋 仁先日、スタッフがこんなことを質問をしてきました。
「実家に帰った時、おふくろに小さいときの自分の性格を聞いたら、比較的気が短かったといっていました。自分では我慢強く、気長な人間だと思っていましたが、全く違った回答にショックを受けました。本当にそうでしょうか?」
自分が捉える自分と、他人が捉える自分との間には実に大きなギャップが存在することを改めて感じました。
企業活動においても、同じことが言えます。「お客様を理解していると思っていたが、実は理解していなかったんだ」というようなことはよくある話です。多くの企業が企業戦略に顧客中心主義を打ち出し、「お客様の声をしっかりと聴き、企業活動に反映することが、生き残り・成長の鍵となり、その活かし方が重要だ。」として社内変革を図ろうとしています。しかし、声は発してもなかなか行動までにはたどり着かないというのが現実のようです。またその手法が分かりにくいということもあります。今日はこのことに関連した言葉である「VOC」について触れてみたいと思います。
VOCとは?
VOCは、「Voice of the Customer」の略であり、顧客の要求、競合他社の活動、市場の変化などを継続的に追跡する戦略を意味します。一言でいえば「顧客の見方、ニーズを反映したデータ(苦情、アンケート結果、コメント、市場調等)」のことになります。別名「顧客の声システム」と言われる場合もあります。
なぜ、VOCが重要か?
製品/商品、あるいはサービスを顧客が購入するという行為は、顧客が求める価値に自社が応じることができて選ばれた結果ということがいえます。しかし、購入の結果、全てに関して満足しているわけではないという事実があります。さらに情報社会が成熟してきますと、顧客があらゆる情報を入手できる段階に達し、企業や製品/商品、あるいはサービスに対する認識の変化が非常に早くなることが考えられます。このように顧客のトレンドがもしかすると昨日と違う可能性がある局面において、半年や一年前のデータを信じて企業戦略、マーケティング戦略を続行するということは、極めて危険な企業行為と言わざるを得ません。
このように顧客の事実の変化を捉えることが可能なVOCは企業活動にとって重要な役割を演じるという訳です。
VOCを捉えるツールの一つとしてインターネットが有効だと以下の理由から考えられます。
- コストが非常に安くつく
- 継続的な測定が可能であり、データベース化することによって、市場、顧客の些細な変化も読み取ることが可能
- 収集から、集計までの時間がほぼリアルタイムであり、分析→アクションという次工程までの時間短縮が図れる
「お客様の声」と「VOC」はどこが違うか?
「つまりお客様の声を聞くことでしょう?」と言われるでしょう。その通りですが、違いは何かといえば、VOCは企業活動において、目的をもって、継続的改善活動を前提にした、戦略的に組み込まれたシステムということでしょう。このシステムに正解があるかと言われれば、そうではなく、自社に適合したシステムを自ら問いながら開発することが必要になります。
ポイントは?
とは言ってもポイントはあります。それらを紹介します。
- 顧客のトレンドは、常に変化するという前提のもとに、継続的に「顧客の声」が収集できるシステムを構築する
- 売上の大部分は、一部の顧客によるものだという前提にもとに、主要顧客を明確に定義することに注意を払う
- 下記2つの顧客要求は何か?を捉えることに常に努力する
- アウトプット要求 — これは、顧客が手にする成果物への要求
- サービス要求 — 顧客が手にする成果物を受け取るまでの、サービス(プロセス、時間等)の要求
- 収集されたデータから顧客要求をより明確化するために、3つのカテゴリーに分類する
- 不満要因
- 満足要因
- より高い満足を与える要因
VOCによって得られたこれらのデータを元に、現状のパフォーマンス評価、さらに今後のアクションプランあるいは具体的改善への道を探ることになります。
来週は、インターネット上でVOCを捉えることが可能なアンケート設計における注意点について、さらに次の週には顧客要求の中から改善すべき最重要項目を特定するときの使用する、品質機能展開(QFD)というツールに関して解説していきたいと考えています。
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