Webマーケティング もっとユーザーフレンドリーに
ビジネス開発チーム プランナー 棚橋 弘季最近、Webマーケティングという言葉で指し示されるものが以前と変わってきているような気がしています。そんな風に感じるのは、私たちのお客様の多くが本当に真剣に自社のWebサイトをマーケティング活動における重要なツールとして認識していらっしゃっていて、Webサイトでマーケティング的効果を出すためにはどうしたらいいかを私たちにご相談いただける場面が増えてきたからだと思います。そんな現場を肌で感じたお話も含めながら、今回はWebマーケティングについて考えてみたいと思います。
Webマーケティングの主流はSEO/SEMに
Webマーケティングの現場にいますと、これまでのバナー広告やメール広告などから、SEO/SEMへとWebマーケティングの手法の主流が移ってきているのをはっきり感じます。多くのお客様がSEO/SEMに関して何らかの提案を求められるように変わってきています。これは、インターネットユーザーを自社のWebサイトに呼び込む手段として、SEO/SEMが最も効果的な手段として一般的に認識されてきたと考えてよいでしょう。
それにともないWebサイトを設計する際の考え方も変更を迫られています。これまでの単にWebサイト内でのユーザビリティだけを考え、トップページを基点としたヒエラルキー型のユーザー導線を設計する発想だけでは不十分となり、自社のWebサイトの外部である検索エンジンまでを考慮したユーザー導線設計を、ユーザーフレンドリーな形(「検索エンジンフレンドリー」ではありません)で実現できるよう、サイト設計を行う必要があります。
私たちは、こうしたトップページを頂点としたヒエラルキー型のWebサイト構成からの脱却を図るため、SEO/SEM的視点も加味したマトリックス型Webアーキテクチャの設計手法を軸に、自社の価値、機会、信頼を高めようとするお客様のWebマーケティング・プラン策定のサポートをさせていただいています。(詳しくは、コラム「Webサイト構築、マトリックス型Webアーキテクチャのすすめ」をご覧ください)
ユーザーフレンドリーを優先することが、Webマーケティング成功の秘訣
Webマーケティングにおいて、重要なキーワードは「ユーザーフレンドリー」だと考えます。これはそもそもマーケティング自体が顧客中心の考え方であることを考えれば当然のことでしょう。
しかしながら、現実のWebマーケティングは決してユーザーフレンドリーなものとはいえません。メールマガジンなどのプッシュ型の訴求にしてもそうですし、未だカタログサイト的な形式を脱却しきれていないコーポレートサイトの構成に関してもそうでしょう。SEO対策に関する考え方にしても、「どうすれば検索エンジンの上位に表示されるか」という議論に終始してしまっている場合が多いように思います。
しかし、ユーザーの気持ちを無視したマーケティング施策は決して成功しません。例えば、SEO対策などで、検索エンジンで上位表示されたとしても、該当するページが単に検索エンジンで上位表示することだけを考えた無意味なキーワードの羅列やリンクに終始したものなら、ユーザーの心を捉えることはできないでしょう。それでは決して企業が求めるユーザーの具体的なアクション(購買や問い合わせ、資料請求など)にはつながりません。
Webマーケティングを成功させるためには、ユーザーの気持ちを考えたユーザーフレンドリーな施策が必要です。例えば、ユーザーフレンドリーなSEO/SEM施策でWebマーケティングを成功させるためには、以下を考慮する必要があるでしょう。
- 実際にユーザーがどんなキーワードで検索を行うかを知る
→ユーザー視点での検索キーワード最適化によるサイトへの集客機会の向上
具体的には:キーワードの最適化/ログ解析等による継続的モニタリング - ユーザーがどんな情報を求めているかを知る
→サイトを訪れたユーザーをもてなす情報提供=サイトイメージの向上
具体的には:検索エンジンからの入り口となるページのコンテンツ内容/サイト内関連情報へのリンクの最適化
Webマーケティングの常識をいったん忘れること
では、具体的にどういった手順でWebマーケティングのための計画を進めればよいのでしょうか?
私はプランナーという立場で仕事をしていますので、お客様からお仕事の引き合いがあった際には、最初の訪問から営業担当と同行して、お客様からのオリエンテーションを受けることがよくあります。まずはどういった目的でWebサイトの構築/リニューアルをお考えになったのか、サイト構築/サイトリニューアルにあたり、どのようなご要望を持っておられるのかをお客様から直接伺います。
その際、私は、マーケターの鉄則としてお客様の言うことをそのまま鵜呑みにしてはいけないと思いながら、お話を伺っていたりします。もちろん、お客様のご要望に耳を貸さずに、こちらの一方的な提案を押し付けようなどと思っているからではありません。お客様のご要望が必要以上に自社サイトの現状や既成概念としての知識などに縛られてしまっていて、あらかじめ余計なフィルターがかかってしまっている可能性が高いからです。それでははじめからWebマーケティングの可能性を狭めてしまっているようなものです。
先にも書いたとおり、Webマーケティングの常識はこれまでとは大きく変わってきています。以前のWebマーケティングにとらわれていては、せっかくの機会を逃がしてしまうことにもつながります。
そのためにもお客様には、まずはじめにWebマーケティングの常識を忘れていただくことが重要だと思っています。
Webマーケティングを計画するための手順
Webマーケティングを計画する際の手順をご説明する前に、もう1つ認識していただきたいのは、Webマーケティングの重要なポイントが"Web"ではなく"マーケティング"であるという点です。これまでのWebマーケティングといえば、"Web"に重点を置ききすぎて、それが"マーケティング"であることが忘れられていた感がありました。それが、最初にWebマーケティングの常識を忘れていただく、もう1つの理由です。
マーケティングという「買ってもらえる仕組みづくり」の中で、自社のWebサイトがユーザーのどのような状況でのどのような用事に役立つかを考えれば、Webサイトに何が必要で、どのように構築し運用することが必要かは自ずと見えてくるはずです。ターゲットという言葉も、ユーザー属性や製品属性から考えたのでは、適切なマーケティングプランが見えづらくなりますが、どういう状況のどんな人にWebサイトが発信する情報が役立つかを考えることで、必要な情報の種類、情報の発信の仕方も見えてくるようになります。
これがWebマーケティングを計画する際にまず行うことです。マーケティングを担当されている方ならすでにそれがマーケティング・プロセスにおけるリサーチ、セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニングといったプロセスとまったく同様のものであることがご理解いただけるでしょう。その後のプロセスも一般的なマーケティングプランを立てる際の手順と変わりません。具体的なアクションプランがWebであるという以外は、Webマーケティングもマーケティングなのです。Webマーケティングは、ここに来てようやくマーケティングの本来的な考え方に回帰してきたといえるでしょう。
Webマーケティング戦略を立てる際には、アクセスログ解析などの定量情報や営業部門やコールセンターを通じて得られる顧客の声などの定性情報を活用しつつ、5W1Hの視点でユーザー要求に関する事実を捉えながら、Webサイトで何が必要かに関する初期仮説を立てることが何より重要です。5W1Hを活用したWebマーケティングのプランニングについては、メソッド「5W1H (+1H)」を参照いただければと思います。
より具体的なWebマーケティング計画の立て方に関しては、個々のお客様の置かれている状況によって異なると思います。お困りの方は、ぜひ一度、私たちにご相談いただければと思います。
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