バランススコアカード:Web活用の有効性
代表取締役 髙橋 仁バランススコアカードは、ハーバードビジネススクール教授のロバートS.キャプラン教授と、戦略コンサルティング会社社長のデビットP.ノートン氏が開発した新しいタイプの業績評価システムです。
1年前に、このコラムでバランススコアカードのWeb活用に関して紹介いたしましたが、先日コラムをお読みいただいた方からお問い合わせを頂きました。今回はもう少し触れたいと思います。
昨年秋、バランススコアカードがブームになりましたので、よくご存知の方が多いと思いますが、バランススコアカードは
- 財務的視点
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財務的に成功するために、株主に対してどのように行動すべきか
- 顧客の視点
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ビジョンを達成するために顧客に対してどのように行動すべきか
- 社内ビジネスプロセスの視点
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株主と顧客を満足させるために、どのようなビジネスプロセスに秀でるべきか
- 学習と成長の視点
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ビジョンを達成するために、我々はどのようにして変化と改善のできる能力を維持するか
(著者 ロバート S.キャプラン+デビッドP.ノートン訳者 吉川武男出版社 生産性出版)
の4つの視点で業績評価を行います。従来の業績評価とは違い、企業の将来的な業績予測も使い方によっては可能である点に特徴がありそうです。最近では、現代に有効なマネジメントシステムと言われています。詳しくは、http://www.sw.nec.co.jp/biz_hint/keyword/bsc/をどうぞ。
Web戦略とバランススコアカード
企業のWeb戦略が成功するか否かは、Webサイトがきれいであるとか、ユーザビリティがいいとか・・・・Webの構造や要素に関わるものではないということは理解いただけると思います。これらは重要な一成功要因にしかすぎません。企業活動におけるWeb戦略としては、それも必要だがそれだけでは不十分だということです。
Web戦略を成功させる最も重要なファクターは、企業の最上流に位置する、経営方針、企業戦略、マーケティング戦略を如何に正確に捉え、それをWeb戦略に反映させ、かつWebのもっている特徴を如何にoutput出来るかにかかってきます。
しかし、現実には企業のWeb担当者やWeb構築企業がそのコア部分を理解することは難しいと言えるでしょう。同時に、企業の経営層でWebを理解し、経営効果の可能性を理解できる人もそれほど多くはないと言うべきでしょう。
この2つのギャップが企業におけるWebサイトの成功を妨げており、いつまでたってもWebサイトがビジネスインパクトを提供するに至らない要因です。
この2つのギャップを埋めるツールとして、「バランススコアカード」は有効である、というのが私の主張です。
企業経営の本質とバランススコアカード
企業経営はそれほどシンプルに動いているわけではなく、どの企業も案外カオスの状態と言えるでしょう。雑誌に「成功要因には○○戦略があったから・・・」とヒーロー扱いで紹介されますが、実は、戦略→実行→成功ではなく、仮説実行→成功→戦略というのが殆どではないでしょうか? 戦略が後付けということです。(振り返ってみたら、戦略があったとでもいいましょうか)。逆に言いますと、それぐらいのスピード感(感じたことを実行)がないととてもワールドクラス(業界NO1)には程遠いとも言えるかもしれません。
また、企業経営層は、財務の視点(売上、利益、株主・・)、顧客の視点(顧客満足、顧客への価値、社会貢献・・)、社内プロセスの視点(IT化、リードタイムの短縮、業務の効率化・・)、学習・成長の視点(人材確保、教育、ナレッジ・・)等々いろいろな側面を同時に考えており、それらのバランスを取り、企業の置かれた環境の中でいまの重点項目を模索し、スコアリングの高いものを中心テーマに据え、実行し、持続的成長を図ろうとしていると思われます。
バランススコアカードは、企業戦略とWeb戦略を同期させるツール
Web戦略を策定する場合、比較的下層に位置するマーケティング戦略だけに注視するのではなく、企業戦略や経営のコアを捉えることが、重要ではないでしょうか。そこには難しい理論などなく、キーワードが存在しているだけです。その重要なキーワードさえ捉えてしまえば、Web戦略を実行フェーズに落とし込むときにアイデアが膨らみ、「何を実行すべきか」が自ずと出てきます。さらに経営の上流と同期が取れているため、経営層にも理解されやすいということになるでしょう。だまされたと思って一度バランススコアカードを活用してみては如何でしょうか?
バランススコアカードとシックスシグマを活用したWeb戦略の方法論を「インターネット戦略の構築法」と題してまとめてみました。興味のある方には参考になると思います。
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