トヨタのフィロソフィー
代表取締役 髙橋 仁トヨタの生産方式に数年前から興味があり、いつか勉強してみたいと思っていました。そのために、先日、名古屋からコンサルティングの社長にお越しいただきました。私の場合、評論家タイプのコンサルティングでは納得がいかないので、長年トヨタに勤務されておられた方を条件として知り合いに探してもらい、やっと実現しました。今回はこのことについて少し触れてみたいと思います。
もともとトヨタ方式には仮説をもっていました。それはISO的なプロセス管理手法とシックスシグマ的な問題解決手法を融合したものではないかということです。さらに、ISOもシックスシグマもその源流はトヨタにあると今まで思っていました。この仮説がどの程度正しいのかとにかく知りたかったというのが今回お会いした目的です。
トヨタはフィロソフィー、シックスシグマは思考プロセス、ISOは行動プロセス
専門家からも「君は面白いことを言うね」と言われますが、一言で言うならばシックスシグマは思考プロセス、ISOは行動プロセスと私は思っています。今回トヨタのお話をお伺いして最も印象的だったことは、トヨタは上記の2つとは異質なものをもっているということです。「トヨタはフィロソフィー」が前提に存在しており、それを全社員が信じて実践し続けているからこそトヨタ生産方式の強さがあるのではないかということです。
プレゼンテーションを受け、実に多くの感銘を受けました。
「普通のことを普通にやり続けているのがトヨタです」、また、「トヨタ生産方式に関して多くの書籍が出ていますが、最近まで読んだことがなかったんです」、という言葉が非常に印象的でした。田口メソッド(品質工学)が重要視していることの一つに「全社員が同じ方向を向いて、同じツールを使うこと・・・」がありますが、トヨタ(のひと)は、まさに、それを実践しており、かつ体に染み込んでいるという印象でした。
また、「主義」という言葉が多く使われていました。たとえば、「仕事」という言葉一つとってみても、その意味が定義されており、一般企業が使う仕事の定義とは異質のものでした。さらに、一つ一つが本質的であり、実に納得感がありました。
一例をあげます。
一般的に「トヨタの強さは現場にあり」と言われており、徹底した現場主義を貫いています。それは三現主義「現地、現物、現実」というキーワードによって定義づけされています。
最初はその重要性が理解できませんでしたが、そこに潜むメリットはあまりにも深く、かつ本質的です。私風に解釈しますと次のようになります。
通常、ある問題が起こった場合、関係者は会議室に集合し、事実を確認し、問題解決策を探ります。その場における最大の難関は「事実の確認」であり、関係者全員に共通の認識をもってもらうことです。ところが、関係者全員が違うことを言うのが通常です。人は視点や見る角度、立場によって捉え方が違うため、事実の解釈がそれぞれ違うのです。したがってなかなかまとまりません。多数決というわけにもいきません。ここが問題解決の遅れる原因であり、誤った対策を講じてしまう出発点です。
ところが、問題が発生している(した)現地に全員集合したらどうでしょう。そこには「問題」そのものしかありません。「事実」しか存在していないのです。したがって、最大の難関である事実確認をするプロセスを省くことができるのです。即、問題発生の要因と解決策を全員で考えることができるのです。三現主義は実にシンプルな表現ですが、最初から全員同じ方向に向いて行動できるという意味では、実に本質的な解決手法です。また、人によって事実に対する解釈の違いがないため、誰が悪いとか良いとか、というような人間関係の縺れを生じさせる要因も作りません。
ミツエーリンクスはなぜ、トヨタのフィロソフィーを学ぶか?
社会環境は、便利になる反面、リスクが増大しています。自由が進化すると共に企業の社会的責任やコンプライアンスの要求が加速します。社会変動が激しく、一気に成長しやすい環境ではありますが、持続可能が難しい時代です。
このような時代背景をふまえて、私達の業界において、重く圧し掛かるある責務を感じます。
弊社は、今後3年がかりでトヨタのフィロソフィーを学ぶことにしました。今まで培ってきたISO、シックスシグマに、トヨタのフィロソフィーを組み込むことによって、21世紀の情報社会が私達の業界に要求する、「可用性・完全性・機密性」を保持した制作オペレーションシステムを作り上げることが可能だと直感するからです。
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