盛り上がるLPOの実情
エディトリアルユニット 上原 佳彦約1年前、私はある人から「LPO(ランディングページ最適化)ってどうですか?」と、尋ねられました。その人は、Web業界を取り巻く流れの中で、ランディングページが持つ役割は将来的に大きくなるのか? それとも小さくなるのか? ということを確認したかったようです。その当時、雑誌やWeb関連のポータルサイトにおいて、「LPO」という言葉が露出し尽くされ、すでに一段落したと感じていた私は、「LPOは、ここから下り坂ではないでしょうか」と答えました。
しかし、それ以降「ランディングページを最適化したい」という依頼は増え続け、その勢いは徐々に強くなりながら現在も継続しています。その中には、「すでに出稿しているリスティング広告の効果を高めたい」という企業からの依頼もあれば、「SEM自体をはじめて実施する」という企業からの依頼もあります。実際に1年前と比べると、ランディングページの制作依頼数は倍近くまで増加しました。私の読みは見事に外れたのです。
先日開催された、とあるWebマーケティングのイベントにおいても、多くのWeb関連企業が次なる一手としてLPOを挙げていました。私は、私の周囲でランディングページの勢いが盛り上がっていくのを感じるたびに、1年前の自分の発言をなかったことにしたい、という気持ちになります。
ランディングページの制作依頼数が増加した要因
ところで、ランディングページの制作依頼数は、なぜこの1年間で大きく伸びてきたのでしょうか? 私個人の見解としては、以下のような流れがあったと考えます。
- 数枚から数十枚のランディングページを制作し、それらを何度も検証してターゲット別に候補を絞り込み、効果のあるページだけを残す方式を採っていた、かつてのLPO。最適解を得るためには、膨大な検証期間と制作費用を必要としていました。しかし現在では、これまでの案件で実施した検証経験によって培った「ユーザーが行動しやすいページ作り」のノウハウを活かして、少ない制作枚数であっても、最適解に近い効果を得られるようになりました。
- このことによって、これまでLPOが避けられてきた大きな要因である、「検証対象の数に比例してかさむ制作費用」や「最適解を得るまでにかかる期間の長さ」が改善されました。このことによって、気軽にランディングページを用いたマーケティング戦略を導入できるようになったといえます。
- LPOの敷居が低くなったことが、ランディングページの存在を見直すきっかけとなり、その必要性を深く感じるようになった企業が増えたと推測できます。つまり、これまで費用面などの問題からLPOの導入を控えてきた企業や、即効性を求めるあまりLPOを検討していなかった企業が、ランディングページを絡めたマーケティング戦略を考え始めたということだと考えています。
1.の部分を補足しますと、現在でもLPOにおいて、TOPイメージ、文中に使用する写真、キャッチコピー、レイアウト、基調色、ボタンの色など、さまざまな要素をテストしながら、それぞれ細かく検証していくことが、最適解を得るための一番着実な方法であることに変わりはありません。ただ、これまでのノウハウを投入することによって、ランディングページの最適解に近い効果が比較的簡易に得られるようになったこと。そして、費用対効果が出やすくなったこと。これらの要因が、多くの企業の背中を押したのではないでしょうか。
ユーザーの行動を考慮したうえで、新規に制作する
こうした流れのおかげか、リスティング広告からのランディングページを、企業Webサイトのトップページや製品コンテンツのインデックスページに設定しただけ、というケースは激減しました。ただ、複数ページに分かれていた特長や機能などの情報を、1ページに集約しただけのランディングページが、まだまだ数多く見受けられるのも事実です。企業側のいいたいことだけ並べ立てても、ユーザーは行動を起こしてはくれないでしょう。
企業側が期待する行動へとユーザーを導くためには、記載する情報をしっかりと整理して、分かりやすさ、読みやすさをユーザーに提供することが、コンバージョンの向上へつなげるための必要条件です。これは暴論かもしれませんが、キャッチセールスにおける「話しかける役」がランディングページ、「口説き落とす役」が社内の営業スタッフという役割分担をするくらいの、開き直りが必要なのかもしれません。
「数で勝負」するものではなく、「質で勝負」
これまでWebサイトの良し悪しを、単純にPV数で推しはかるケースが少なくなかったように思います。しかし、ユーザーを特定のページへ流入させる技術がこれほど成熟した現代にあっては、PVがユーザーにとってのWebサイトの良し悪しを決める指標にはならなくなりました。
ランディングページにおいても、1000人のユーザーが見に来て10のコンバージョンがあったページより、100人が来て10のコンバージョンがあった方が費用対効果は高いといえます。ランディングページは、「数で勝負」するものではなく、「質で勝負」すべき施策であると思います。より多くのユーザーを誘導することはもちろん大事ですが、その数よりも「何が特長か」、「どんなメリットがあるのか」、「これを利用すると自分はどうなるのか」が、ユーザーに簡単にイメージしてもらえるようにページの中身を精査することの方が、コンバージョンの確率を高めていくことにつながるはずです。
ここではページの都合上、コンバージョン向上のためのノウハウを細かく記載することは控えます。もし、ランディングページの制作・改善に興味をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください。
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