新型インフルエンザA(H1N1)への対策
衛生管理者 内田 久美子弊社では2004年からOHSAS18001の枠組みを利用し、「従業員の心と体の健康」をテーマに労働安全衛生に取り組んできました。
その中で今回は新型インフルエンザA(H1N1)に対する弊社の取り組みについてお話しようと思います。
感染症への取り組みのきっかけ
弊社が感染症への対策に取り組み始めたのは2008年度になります。それ以前も、インフルエンザの予防接種の義務化などは行なっていましたが、スタッフがインフルエンザ以外の感染症にかかった際の対策などは特に行なっていませんでした。その状態のなか、スタッフの一人が結核に罹患するということがありました。対応手順がない中で保健所に連絡するなどの対応を行ないましたが、事例がなかったこともあり、慌ててしまいました。このことを教訓に、落ち着いて対応ができるよう、翌年の2008年度より感染症に感染した場合の手順を策定しました。
新型インフルエンザA(H1N1)の対策
上記の経緯があり、感染症に対しての対策は「感染時の連絡体制の整備」「マスク・うがい薬の備蓄」「感染時の手順の周知徹底」の3点に重点を置き、取り組んできました。
しかし、今回発生した新型インフルエンザA(H1N1)は、ウイルスに対する免疫がなく、感染力が強いということで、急遽ミーティングを開催し、今後の対応方針を決定しました。その結果、当初関東圏内では人から人への感染が見られなかったことから、まず感染予防に力をいれることにし、下記の事項を実施しました。
1.新型インフルエンザA(H1N1)の感染経路と予防策を社内に周知する
スタッフの数名と話したところ、新型インフルエンザA(H1N1)がどのように感染するのかということと正しい予防法が知られていませんでした。そこで、新型インフルエンザA(H1N1)の正しい知識を知るものが多くないという想定のもと、厚生労働省のホームページを参考に、まずは全社員向けにメールと社内のモニタを利用し正しい知識の共有を図りました。
2.海外旅行予定者の把握、出張先の把握
初めに新型インフルエンザA(H1N1)が確認されたのはGW前ということもあり、プライベートで海外に渡航するスタッフがいることが想定されました。海外に行ったスタッフが罹患し、社内で感染が広まるという事態を避けるために、海外旅行者の把握が必要だと考えました。
そこで、海外旅行予定者に対して、行き先、期間の報告を義務付けました。対象者には帰国後には発熱がないか確認を行い出社するよう、また、もし発熱していたら最寄りの発熱相談窓口に連絡をし、指示を仰ぐように個別にメールで注意を行ないました。
また、日本国内で感染が認められてからは、出張先の把握を行ない、上記同様個別にメールで注意を呼びかけています。
2009年6月1日現在、関東圏内に人から人の感染は見られず、日本全土をみても新型インフルエンザA(H1N1)の感染は収束傾向にあると報じられています。しかし、新型インフルエンザA(H1N1)に対するワクチンが完成していない現在の状態では、まだまだ感染が広がることも考えられます。弊社でも警戒はゆるめず、引き続き感染防止に取り組んでいきたいと考えています。
継続的改善
2008年度より感染症についての対策に取り組んでいたことにより、今回の新型インフルエンザA(H1N1)の発生について、スムーズに対策を立てることができました。一つの事例が次のアクションにつながるということを肌で感じることができ、ますます継続的改善の重要さを実感しております。
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