運用効率を高めるガイドライン
フロントエンド・エンジニア 酒井 三四郎お客様からよく聞く悩みのひとつに、運用しているうちにサイト全体の統一感が薄れてしまう、というのがあります。多くの場合、サイト開設時点でガイドラインが存在しなかったことによる、運用ルールの不明瞭さが一因としてあります。そのような悩みを解消するべく、ミツエーリンクスではサイトのリニューアルを行なうと同時にガイドラインを策定し、公開コンテンツとあわせてご納品することが多くあります。その一方で、ガイドラインが存在していながら、効率的な運用ができていないというご相談を受けることもあります。
もちろん、サイト運用の効率はガイドラインの有無だけで決まるものではありません。とはいえ、運用においてガイドラインの存在は非常に重要なものです。では、制作者にとって、運用効率を高めるためのガイドラインの内容はどうあるべきなのでしょうか。
厳格な指標としてのガイドライン
これまで、さまざまな制作ガイドラインを読む機会がありました。いずれにも共通していたのは、サイトの仕様について非常に厳格に書かれているということです。選択すべき文書型や文字コードはもちろんのこと、企業ロゴの扱いや利用できる色のレギュレーション、年月日や電話番号の書き方に至るまで、たいへん細かく定義がなされています。
そうしたガイドラインは、「こうしなくてはいけない」という厳格な規則として策定されており、グループ企業のサイトを新規に構築する際などは重要な参考資料になります。しかし、既存コンテンツの運用という視点で見ると、「こうしなくてはいけない」といった規則ばかりでは、不足している情報があります。それは「サイト全体がどのように作られているか」ということです。
サイトを俯瞰できるガイドライン
新規コンテンツの追加を含む更新業務において、サイトの統一感を失わないようにするうえで制作者が最も必要とするのは「サイト全体がどのように作られているのか」「他のカテゴリのコンテンツはどのように作られているのか」といった俯瞰的な情報です。具体的な例を挙げて言い換えますと、「サイト全体で利用するCSSファイルやJavaScriptファイルなどの共通リソースはどこに配置すべきか」という指針ではなく、「どのファイルを読み込めばサイト全体のトーン&マナーを守ったコンテンツ制作ができるのか」という情報が、運用効率を向上させることに繋がります。
既存コンテンツを構成している情報のうち、運用に携わる制作者にとってニーズの高い情報の例を挙げてみます。
- CSSファイルやJavaScriptファイルなどで読み込むべき共通リソースの一覧と個々の役割
- 用意されているテンプレートのパターンと使用ルール
- 用意されているモジュール(情報を用途ごとに細分化したパーツ)の一覧と使用ルール
こうした情報をガイドライン、あるいはガイドラインからすぐに参照可能なリソースに整備しておくことで、既存コンテンツとの整合性を維持しながら、制作者は効率のよい制作を行なうことができます。
加えて、運用効率を高めるガイドラインを作るうえで重要なのは、特定の個人だけが理解しているルールや、複数人が曖昧に把握しているノウハウをきちんと文書化することです。既存ページを丸ごと、ないしその一部を流用したりすることでしか運用を維持できないような状況がありましたら、まずは関係者の頭の中にしまい込まれたままの情報を洗い出してみてはいかがでしょうか。
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