UXalliance
ユーザエクスペリエンスユニット インターナショナルビジネスマネージャー ハモン リーバ私は、ミツエーリンクスのユーザビリティチームにおいて、国際コミュニケーションと海外ビジネスを担当しており、その関係で当社のUXalliance(以下、UXa)活動に広く携わっています。当社のユーザビリティ関連サービスのページを閲覧された方の中には、そのページの多くにUXaのバナーが掲示されていることにお気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、このバナーの意味まではご存じないかもしれません。そこで、このコラムでは、当社がこの国際組織に加盟していることの意義についてご説明したいと思います。
UXallianceとは
このコラムを執筆している時点で、UXaの加盟国はアジア(中国、日本、韓国)、北米(カナダ、アメリカ)、南米(ブラジル、チリ)、ヨーロッパ(チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、オランダ、ポーランド、ロシア、スペイン、スイス、イギリス)の各国とニュージーランドの全19カ国にまで拡大しています。現在の加盟企業の専門領域は、ラボユーザビリティテストから民族誌的調査、Web解析、アクセシビリティまで多岐にわたっており、またその得意分野も、Webサイトやモバイルデバイスから家電製品、コールセンターまで多様な技術にまたがっています。そしてもちろん、eコマースから自動車、行政機関まであらゆる範囲のマーケットを網羅しているため、どのような研究課題にも幅広く対応し、情報共有やさまざまなレベルでの協力ができる体制になっています。
UXaへの加盟が認められるのは1カ国につき1社のみで、候補となる企業には、サービス品質と設備、UXaへの貢献の可能性に基づいて厳しい審査が行なわれます。しかも、各加盟企業には1年に2回、春と秋に開催されるミーティングに代表者を派遣することが求められます。この対面ミーティングは、協力とオープンなコミュニケーション、密接な関係性が単なる理想にとどまらず実際の成果として達成されている要因の一つとして大きな役割を果たしています。実際、加盟企業が集う場には「家族の集まり」といった親密な雰囲気があり、そのことがこのミーティングを効果的なものとしています。この種の、専門的でありながらオープンで友好的な環境は、知的好奇心の共有と、共同による問題解決を育む豊かな土壌となるからです。
ミツエーリンクスとUXallianceとの関わり
ミツエーリンクスに対してUXaの会員からアプローチがあったのは、2007年3月のことでした。ユーザビリティコンサルタントのグローバルネットワークへのミツエーリンクスの加盟を検討するために、UXaの代表者が当社オフィスを訪問したいという趣旨のメールが送られてきたのです。ミツエーリンクスは、UXaが加盟を検討している多くの企業のうちの1社であるという話でした。当時、UXaの会員は他のコンサルタントと組んで日本でユーザビリティテストを実施した経験はありましたが、UXaへの加盟を打診する日本企業をまだ決定していませんでした。しかし、UXaは日本でこのマーケットをおさえることが重要であると確信していたため、適切な加盟企業の選定を始める必要に迫られていました。
当時、当社はまだUXaのことを詳しく知りませんでしたが、もちろんこの要請を受け入れ、自信をもって当社とその従業員、各設備を紹介しました。この時紹介した設備には、マジックミラーや同時通訳のための録音システム、そして当時の日本ではまだ珍しかったTobiiアイトラッキングシステムなどを備えた最新のユーザーテストスタジオも含まれていました。UXaに貢献しうる能力を高く評価された結果、当社はアムステルダムで開催される次回の対面ミーティングに参加し、全会員に対してミツエーリンクスの詳しい企業情報をプレゼンテーションするよう求められました。これは当社にとって他国の代表者について知る絶好の機会であり、また当社のことを他の企業に知ってもらうためのチャンスでもあることから、私たちはその要請を快諾し、間もなく準会員として認められ、その後公式パートナーに認定されたのです。
UXallianceの役割
UXaの会員は、主として国際的なユーザーエクスペリエンス調査を共同で実施しており、現在までに250件の国際プロジェクトを実施し、20カ国で15,000名の被験者に対して調査を行なってきました。UXaの会員は迅速かつ簡単に連絡を取り合ってプロジェクトの予定を共有することができるほか、メーリングリストを通じてユーザビリティの専門家や実務担当者の国際パネルにアクセスすることができるので、世界中の事例やアイデアを得ることが可能です。たとえば、いちはやくリモート・ユーザーテスト技術に触れることができ、 この技術を日本市場に導入できたのは、UXaにおける(特にUserZoomを所有しているスペインのコンサルティング会社XperienceConsulting社との)協力関係のおかげでした。
最近では、ミツエーリンクスとUXaのパートナーが協力して『The Handbook on Global User Research』(Robert Schumacher編)を執筆、同書は海外でユーザーエクスペリエンスの調査を行なう際の実務的かつユニークである側面において指導に役立っています。また、当社はWorld Usability Day 2009でも“Global-Local Monitor”という調査に関してUXaと協力しています。これは、グローバルな航空会社のWebサイトが各国の言語と文化に応じて適切にローカライズされているかどうかを評価するための調査で、このプロジェクトではユーザーエクスペリエンス分野の70名を超える専門家が17カ国から調査に参加しました。こうしたグローバルなプロジェクトこそ、UXaによって実現できた、大規模かつ大きな成果を挙げた事例と言えます。
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