アクセス解析におけるイノベーション
マーケティング本部 データアナリシスユニット 西川 季宏イノベーションのジレンマ
クレイトン・クリステンセン教授が論じる「イノベーションのジレンマ」をご存じでしょうか?
Wikipediaなどにも簡単な解説が書かれているのでそちらもご参考いただきたいですが、誤解を恐れず、平たく言えば、「ある一定の状況の下では、優良な企業が、その優良さゆえに市場の優位性を失う」ということです。
このことが、アクセス解析の業界にも起きている、そう気付いたのは最近のことでした。
この状況について書きながら、今後あるべき姿を改めて(昔も今も大きな変化はない、ということでもありますが)考えてみたいと思います。
アクセス解析におけるイノベーション
アクセス解析において最初のイノベーションというのは、Webビーコン型のアクセス解析ツールの導入でした。大がかりなシステムインフラを利用せず、軽快にデータの取得が可能なため、当初あったサーバログ型のアクセス解析ツールの多くを駆逐してしまいました。
Webビーコン型のツールが主流になれば、当然次に起こるのはこれらのツール同士での争いです。この中で、機能がより充実するとともに、例えばSEOの効果測定やリスティング自動入札などと連携するようなツールも出てきました。
そこに登場したのが、Google アナリティクスというイノベーションの第二波です(特に2世代目のインターフェイスになって、状況が進展したように思います)。当時、無料ということばかりが大きな話題になりましたが、結果的にみてこのツールの出現によって起きた最も大きな変化は、アクセス解析をしようというサイトのすそ野が広がったこと、ではないでしょうか。
そして、Google アナリティクスの出現によって、より多くのサイトでアクセス解析ツールが使われるようになり、機能改良が行なわれた結果、はっきりしてきたことがあります。
それは、多くのサイトにとって、アクセス解析を活用するために必要な機能は、現在のツールで既に十分満たされているということです。言い換えれば、アクセス解析ツールの機能自体が、お客様のニーズの主眼ではなくなった、ということでもあります。
この状態は、まさにイノベーションのジレンマそのものです。すなわち、既存企業が既存顧客や同じレイヤーのお客様をターゲットとした機能改良を続けてニーズを大きく上回ってしまう一方で、もともと機能に問題のあった後発企業の製品が、既存企業の相手にしなかったお客様に選ばれ、改良を重ねる中で、既存企業のお客様を含め、大半のお客様のニーズを超えるようになってしまった、という状況です。
このまま「イノベーションのジレンマ」のシナリオ通りに進めば、既存企業はより利益率の高い上位市場に移行してゆき、後発企業がそれを追いかける、ということになります。その結果、ある程度のすみ分けができるようになるのか、さらに状況が進行するのかまでは予測できませんが。
次のニーズ
こうした状況で、弊社が行なうべきはお客様の次のニーズに対する準備だと考えています。
ここで、改めてお客様のニーズについて確認します。お客様のニーズは、結局のところ常に「把握」と「活用」にあったと考えています。このうち「把握」ニーズは、アクセス解析というメソッドの登場以降、ずっと改良され続けてきました。
一方で、「活用」に関しては、状況は混沌としています。活用して先に進む企業と、そうでない企業の差が大きくなっていると考えています。我々としては、アクセス解析の活用のため、もっと有効な提案をしたい、それによってお客様のWebサイトが活用されるようになってほしい、その思いで、これからも活動をしていきたいと考えています。
そのためにできること、そのひとつがGACP(Google Analytics Certified Partner:Google Analytics認定パートナー)の取得でした。
GACP(Google Analytics Certified Partner:Google アナリティクス認定パートナー)の取得について
GACPは、Google アナリティクスにおける高い技術力と実績を有する企業に対して、Googleによる十分な審査と、厳格な資格基準のもとに与えられる認定資格です。弊社にとって、お客様に最適なアクセス解析のあり方をご提案していくというスタンスはもちろん変わりはないのですが、この認定取得により、弊社がGoogle アナリティクスに対して果たすべき責任は非常に大きくなりました。
この認定取得による弊社のメリットとしては、世界中の認定企業のネットワークを通じたノウハウ共有により、ベストプラクティスを体得していくということ、認定取得というパブリシティから、より多くのお客様から引き合いをいただくことにより、これまで以上にご提案差し上げられる機会を増やすことの2つです。
特に後者については、Google アナリティクスユーザーの皆様にご利用いただけるような、気軽な交流のできる場を作りたいと考えています。その中で、ユーザーの皆様の悩みを共有しながら、Google アナリティクスを如何に活用できるかを共に考え、GACPとしての責任をしっかり果たすとともに、活用のための引き出しをより多くもっていきたいと考えています。
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