Webサイト運営に求められる制作スキルの変化
デザイナー 杉本 拓Webサイト運営の役割
数年前までのWebサイト運営に求められる役割は、構築時に作成されたガイドラインに沿ってサイトを維持する事が中心でした。
最近は構築時に文書構造と見栄えを切り離したWeb標準に準拠し、CMSを使って膨大なコンテンツをテンプレートとして管理するサイトが増えた為、運営フェーズであってもクライアントサイド技術やビジュアルデザインを部分的に見直す事が比較的容易になり、運営の役割は定期的に効果の上がっていないコンテンツを再構築するなど、顧客企業様のプロジェクトを多角的に分析・検討し、支援することへと変化しています。
また社内に目を向けますと、インターネットを通じて様々な技術やツールが次々に登場していることで「Webデザイナー」の仕事が「ビジュアル・デザイナー」、「フロントエンド・エンジニア」、「アクセシビリティ・エンジニア」等に分業化されるとともに、Webサイト運営の担当者も顧客企業様のビジネスを支援し、施策を考えることのできるスペシャリストになるための変化が求められています。
様々なWebサイト運営施策
顧客企業様の戦略によって、どのような施策を実施するのかは異なりますが、最近の事例を少しだけご紹介させていただきます。
- フィーチャーフォンやスマートフォン等のデバイスへの対応
- CSSによるビジュアルデザインのみの変更
- Adobe Flashをデバイスに依存しないようJavascriptで再設計
- Googleリッチスニペットに対応するための部分的なHTML文書構造の変更
- クライアントサイド技術を中心としたサイトパフォーマンスの改善
- Blog、Twitter、Facebook、YouTubeの企業のコミュニケーションツールとしての導入
- 静的な地図のGoogle Mapsへの変更
- コンバージョン率を上げるための入力フォーム最適化
- サーバーサイド技術の代わりにAjaxを導入し、エクセルで商品ページを更新できるように変更
- 外部に提供するための素材のダウンロードページをCMSを使って導入
運営コストを削減するものからコミュニケーションツールとしてソーシャルメディアを活用するものまで様々ですが、特にWebにイノベーションを興してくれそうなサービスを導入する事例が増えてきているように思います。ここで挙げただけでも、Webサイト運営の担当者には実にさまざまな施策の提案が求められることがわかります。
組織としての取り組み
顧客企業様のサイトを安定的に運営するために、専任のプロジェクトチームはデザインやコーディングの技術的なガイドラインのみならず、表記ルール、入稿フォーマット、ワークフロー、サイトの方向性、サイトの沿革、コンテンツ更新履歴、提案内容、ミス・トラブル情報、チェックシート等を顧客企業様ごとにナレッジとして蓄積しています。
そして提案力や対応力を身につけるために社内Blogを通じて最新のトレンドや書籍、技術情報を制作者同士で情報交換したり、社内wikiを通じて個人が興味をもっている事などを日常的にまとめ知識を深めたり、また「教育」「効率化」「品質向上」といった課題をメンバーに登録してもらい優先順位を付け部署全体で目標達成できるようにも取り組んでいます。
これらの様々な取り組みが結果として顧客企業様のご要望に組織として応える事に繋がるようになれば幸いです。
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