ソーシャルメディアとWebコンテンツ
クリエイティブディレクションユニット 橋本 敬早いもので、2011年も残すところ1カ月を切りました。今年はソーシャルメディアの存在感が以前にも増して大きなものとなりました。その影響力はみなさまも実感されていることと思います。
ソーシャルメディアの隆盛は、積極的に情報を発信するユーザ(消費者)にとってはもちろんのこと、私たちのようなコンテンツ制作に携わる者にとっても非常にエキサイティングな出来事だと感じています。この状況を手放しで喜び、受け入れるのは危険なことではありますが、これまでの様々な仕組みや価値観を見直し、新たに作り上げていくことができるのは何とも刺激的なことです。
今回は、ソーシャルメディアにより変化しつつあるWebコンテンツのあり方について整理してみたいと思います。
変化しつつあるWebコンテンツのあり方
ソーシャルメディアの広がりとともに、コンテンツ制作においてもソーシャルメディアとの連携を高めようという動きが強くなり、コンテンツに対する考え方やアプローチにおいても変化が生じていると感じています。これまでのプロモーション型コンテンツは、製品やサービスを中心に据え、ターゲットとなるユーザを設定したうえで、それをどのように表現すればユーザに届くのかといった文脈で考えてきました。この時は、コンテンツとユーザとのコミュニケーションは個別のものだったため、価値観にぶれが生じることは少なかったと言えます。
しかし、ユーザ同士がつながっているソーシャルメディアでは、従来のような訴求方法では信頼を得ることが難しくなっています。企業が一方的に発信する情報よりも、ユーザ同士のつながりによって得られた情報を重視する傾向があるからです。企業による情報よりも、ユーザによる数多くの口コミ情報の方が信頼されやすいことは想像に難くありません。逆に、ユーザによる口コミ情報がポジティブなものであり、それが拡散すれば、大きな力を得ることになります。このことから、これから必要となるのは、ユーザを中心に据え、製品やサービス、そして、それらを扱う企業への共感や信頼を醸成するためのコンテンツと、それを後押しするソーシャルメディアの力ということになります。ソーシャルメディアとWebコンテンツが相互に補完することで、より大きな効果を生み出すものと考えられます。
ソーシャルメディアとWebコンテンツの連携に期待すべきもの
従来のWebコンテンツであれば、申し込みや資料請求や問い合わせといったコンバージョンが指標となることが多いかと思いますが、ソーシャルメディアとWebコンテンツの連携に期待すべきものは、ユーザとのエンゲージメントだと考えています。ソーシャルメディアでユーザの声に耳を傾けユーザを深く理解するとともに、コンテンツにより企業の姿勢や取り組みを表現し、また製品やサービスの情報を発信し続けることで、共感を生み信頼を獲得しながら、ユーザとの関係性を構築していけるものと考えます。もちろん、これは一朝一夕に実現できるものではなく、時間をかけながら築いていくものです。
私自身も昨年あたりからいくつかのプロジェクトの中で、ソーシャルメディアとWebサイトのコンテンツをどのように関連づけると相乗効果を上げることができるかに取り組んできましたが、残念ながら未だに明確な答えが出ていません。多くのプロジェクトが最終的なゴールとするものは、短期的に単純な指標を追うだけでは判断することができないものであり、継続的な施策をうちながら、中長期で見ていく必要があると考えています。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。