デバイスの多様化とユーザー定義の重要性
ディレクター 大木 恵美利用シーンの多様化
ユーザー定義はとてもむずかしい、と毎回実感します。
そのサイトは、誰がどんなシーンで使うのか?どんな気持ちになってほしいのか?
Webサイトを企画・構築する上で、必ずディスカッションされる項目です。
お客さまの戦略に基づきペルソナ/シナリオ法を用いたり、時には外部調査の結果をもとにしたりして、ユーザーフローを定義していくのですが、デバイスの多様化により、その複雑さは一気に増しています。
デバイスが異なれば当然利用シーンが異なります。
シンプルなところでは、電車の中やカフェでの利用、会場へ向かう途中の歩きながらの利用など。
もちろん、これまでもPCで同様の利用はありました。
しかし、モバイルデバイスとは使い方もユーザーの気持ちも異なりますし、最近はPCをほとんど利用したことのないユーザーもいるでしょう。
"マルチデバイス"という単語が飛び交うようになって久しいですが、ここ1〜2年のスマートフォン・タブレットの爆発的な普及により、あっという間に現実のものとなりました。
現実に即したものにするためには、私たちが長らく行っていたPC主体のWebサイト構築から少し頭を切り替える必要がある。頭では理解していたつもりでしたが、それを肌で感じた1年でした。
コンテキスト設計
モバイルデバイスの普及により、一人ひとりのインターネットに接する時間は増えているハズです。
それは隙間時間の積み重ねでもあります。
「いかに隙間時間を活用してもらうか=いかに短時間でリーチできるコンテンツを提供できるか」
に意識を向けることも大切になります。
あれもこれも、と詰め込まず
- 伝達、訴求
- コミュニケーション
など「ここだけは外せないポイント」を絞っていく工程が、これまで以上に重要となります。
ここはぜひ、オーナー様にもご理解いただきたい部分です。
そのためには、「想定する利用シーン」がブレないよう、ユーザー定義をプロジェクト関係者の共通認識にしておく必要があります。おのずと各デバイスに期待する役割も明確になります。
これまでの携帯電話(フィーチャー・フォン)では自然と分別できていたことですが、スマートフォンの場合は曖昧になりがちなのかもしれません。
「モバイルファースト」「Responsive Web Design」というと、どうしても効率化の追求や制作技術を連想してしまいがちですが、重要なのはコンテキストの設計だと感じています。
単に複数のデバイスで「同じように見られる」というだけではなく、利用シーン(場所や時間軸)に適した伝え方や優先順位も求められてくるからです。
逆に、スマートフォンの利用だけを中心に考えることにも違和感があります。
今後もますます利用シーンの多様化が予想されますが、制作技術もさることながら、サイトの性格を十分に考慮したコンテキストの設計を目指していきたいと思っています。
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