アクセシビリティからアプローチするスマートデバイス対応
R&D本部 アクセシビリティ・エンジニア 中村 浩佳需要が高まるスマートデバイス対応Webサイト
スマートフォンやタブレット端末の普及と共にスマートデバイスからWebサイトを利用するユーザー数が急増しています。アクセス手段がこれまでのデスクトップPCからモバイル端末にシフトし始めていることから、モバイル端末での利用を考慮したWebサイトの提供が急務となっています。弊社においてもスマートデバイス向けWebサイト構築のお問い合わせや、そのアクセシビリティ対応についてのご相談をいただく機会が増えてきました。
間口を狭めないためのアクセシビリティ
スマートフォンやタブレット端末向けWebサイトのアクセシビリティ対応では、一体何を行えばよいのでしょうか。スマートデバイス向けWebサイトとデスクトップPC向けWebサイト、共通して重要なのは「特定デバイスに依存せず、多くの利用環境から理解・操作可能な情報提供を行う」ことだと考えています。
例えば、スマートデバイスの操作は画面を複数の指で触ることでコントロールするマルチタッチ操作が主流となっていますが、だからといってタッチ操作でしかコントロールできないコンテンツを作成するのは避けなければなりません。スマートデバイスを利用する多くのユーザーは困らないかもしれませんが、スマートデバイスの使用方法は人により様々です。デバイスを単体で使用するユーザーもいればキーボードを接続して使用するユーザー、スクリーン・リーダーをはじめとした支援技術を組み合わせて使用するユーザーもいます。ユーザーの間口を狭めないためには、Webサイト設計を行う際にタッチスクリーンとハードウエアキーボード、最低2種類の入力インターフェースからの操作を可能にしておくことが望ましいでしょう。
アクセシブルな手法の選択
特定デバイスからの利用しやすさを追求することは決して悪いことではありません。しかし、その方法は十分に吟味し、状況に応じて代替手段を用意しておくことが必要です。スマートデバイスの使い勝手を向上させる施策は、マルチタッチインターフェースでの操作性を考慮した設計、小さな画面でも利用しやすいレイアウト、簡潔で理解しやすいテキストライティング、モバイルの通信環境を考慮してファイルサイズを軽量化するためのCSS3活用など多々存在しますが、いずれも導入の際はそれが他環境においてもアクセシブルな手法となっているか見定めながら構築を進めることが望まれます。そうすることで、スマートデバイスでの利便性に優れていながら、より多くの環境との互換性を保ったアクセシブルなWebサイトを提供することが可能となるでしょう。また、昨今では高齢者向けスマートフォンが登場したり、iOSやAndroidをはじめとした各種スマートデバイスにアクセシビリティ機能が搭載されたりと、視覚・聴覚・身体機能などが低下した高齢者や障害者がスマートデバイスを操作・活用しやすい環境が整えられ始めています。利用者の幅もより一層広がりを見せていることから、今後はこうしたアクセシビリティ機能の利用を妨げない実装を行うことも重要になるでしょう。
「アクセシビリティモバイル対応」サービスを強化
弊社においてもアクセシビリティを踏まえたスマートデバイス対応のニーズに応えていくために、先日「モバイルアクセシビリティ診断」と「モバイルアクセシビリティ構築支援」、二つのサービスをアップデートいたしました。「モバイルアクセシビリティ診断」サービスでは、まずは現状調査を行いたいというお客様向けに既存Webサイトに対し、スマートフォンやタブレットからの閲覧時にアクセシビリティの問題が無いか診断を行うサービスです。また、「モバイルアクセシビリティ構築支援」サービスではサイト構築初期(要件定義・画面設計・デザイン)からアクセシビリティ専任スタッフをアサインし、画面設計者、デザイナー、実装担当者と連携しながら各工程の監修を行うほか、実装後の個別ページに対してもアクセシビリティ検証を行い、随時アクセシビリティの観点からの改善提案・実装指示を行うことで、アクセシブルなWebサイト構築をサポートいたします。包括的なアクセシビリティ監修を行うことで、より多くの環境や利用者からのアクセスに柔軟に対応できるスマートデバイス対応のお手伝いができればと考えております。
CEATEC JAPAN 2012出展のおしらせ
10月2日(火)から10月6日(土)までの5日間、アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展のCEATEC JAPAN(シーテック ジャパン)が幕張メッセで開催されます。当社では、昨年に続き、アクセシビリティ PLAZA(ライフ&ソサエティゾーンの5B79)にて、モバイルアクセシビリティ対応サービスとアクセシビリティチェックツールWorldspace日本語版の展示・説明を行う予定です。CEATECにお立ち寄りの際は、ぜひ当社ブースにも足をお運びいただければ幸いです。
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