Webアクセシビリティの知識を生かしていただくために
R&D本部 アクセシビリティ・エンジニア 辻 勝利「スクリーン・リーダーでのデモを交えた話は大変参考になったが、これを社内でどのように共有すればいいのかわからない」。
これは、5年前に私たちが「スクリーン・リーダーテスト」というWebアクセシビリティ関連サービスをリリースするきっかけとなった、アクセシビリティ関連セミナーの参加者から寄せられた感想です。Webアクセシビリティをもっと身近なものとしてWebにかかわる方々に認知していただきたいという思いで開始したスクリーン・リーダーテストは、さまざまな企業の方々に、スクリーン・リーダーがどのようにWebサイトの情報を利用者に通知しているかを知っていただけたことで一定の成果を上げることができました。
今回リリースしたサービス「出張アクセシビリティセミナー」は、せっかく身近に感じていただけるようになってきたWebアクセシビリティに関する知識を、お客様サイトのアクセシビリティ改善に生かしていただくことを目指した、いわばWebアクセシビリティに対する取り組みをその先へ進めていただくためのサービスです。本稿では、本サービスをリリースしたきっかけについて簡単にお伝えしたいと思います。
お客様に最適化されたWebアクセシビリティセミナーの利点
私たちが実施しているセミナーではほとんどの場合、Webアクセシビリティの問題点を指摘したり、スクリーン・リーダーの利用者がどのようなことで困っているかを紹介する際、ダミーサイトやサンプルページを使っています。従来のセミナーでも、参加者の方にサンプルコンテンツの問題点や改善方法を理解していただくことは可能ですが、その知識を自社サイトの改善に生かしていただくのはなかなか難しいのが現状です。これは、問題点を含んだ実在のコンテンツを使用できない現状では仕方がないことなのですが、セミナーで学んだ知識をすぐに自社サイトで生かせるようになれば、さまざまなWebサイトのアクセシビリティ対応が進むのではないかと考えました。そしてたどり着いたのが、それぞれのお客様向けに最適化されたアクセシビリティセミナーを実施するという答えでした。
出張アクセシビリティセミナーが目指しているもの
簡単にもうしますと、出張アクセシビリティセミナーが目指しているのは、お客様が自社サイトのアクセシビリティを高めるために、セミナー終了後すぐにでも生かしていただけるような知識をご提供することです。
Webの担当者であれば、セミナーの中でお伝えした改善案をもとに、Webサイトのアクセシビリティの問題を修正していただけますし、これまで自社サイトの利用者にはスクリーン・リーダーなどの支援技術を使っている人はいないと考えておられた方には、スクリーン・リーダーを使ってお客様サイトで買い物などのタスクを実行する様子をご覧いただけば、より具体的にアクセシビリティ対応の重要性を認識していただけるかと思います。
依然として誤解されることが多いのが「アクセシビリティ」という言葉です。Webサイトのアクセシビリティ対応は決して障害者や高齢者だけを対象とした特別なものではありません。さまざまな環境からのアクセスに対して、必要な情報を提供できるようにすることが大切です。このサービスを通して、多くの方にこのようなWebアクセシビリティの重要性について理解していただき、自社サイトのアクセシビリティを高めるためにその知識を活用していただければと思います。そして最終的に、さまざまな環境からアクセスした場合でも、必要な情報を得ることができるWebサイトが増えるような流れを作っていきたいと考えています。
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