東欧で進む?デジタルの採用
ユーザエクスペリエンス本部 第一部 部長 フォン フランシス2015年5月、チェコ共和国の美しい都市プラハで行われたUX Konference 2015に招待され、講演しました。
私は、特にアジアと日本の例にフォーカスし、チェコとヨーロッパの聴講者にいくつか新しい経験を伝えようと、マーケットリサーチとユーザーリサーチの関係について話しました。講演では、日本で新しく出てきた技術についてのリサーチ方法とエピソードをカバーしようと思いました。
デジタルの採用はプラハで増加している印象を受け、また、この数年間ヨーロッパのいろいろな国に行って、それぞれの国のデジタルレベルがどのあたりかがよくわかる気がしていました。
以前、2013年に、別のトピックについてプラハで講演したことがあります。当時、話題にした技術とデバイスが比較的新しく、東欧やチェコ共和国ではまだ導入待ちの状態だったので、技術に関する講演のなかのエピソードで聴講者は驚き、興奮していました。しかしながら今回は、カンファレンスの雰囲気が何か少し違いました。
講演はとてもうまく行ったのですが、講演の間、驚いた顔が以前より少ないことに気がつきました。到着したときから、無意識に心の中で再生していたことが突然わかったのはそのときでした。
2013年のプラハでは、あまり顕著ではなく、注意深く考えなかったのですが、最後にここを訪れてから2年弱経った今回、一般の人のデジタル採用のスピードとレベルは圧倒的なものでした。
タクシーに乗ろうとしたときも、スマートフォンのハンズフリーBluetoothのヘッドセットで話をし、大きいほうのファブレットをカーナビとしてチェックしながら、同時にダッシュボードの上のもうひとつのファブレットでソーシャルスマホゲームをしているというドライバーに遭遇しました。プラハで私がタクシーに乗るときは毎度、同じ光景に出合ったので、このドライバーに限ったことではなかったのです。このタクシードライバーたちは実際、同じソーシャルゲームで対戦していたのではないかと思います。
ホテルに戻ると、すべての部屋と朝食会場にフリーWi-Fiが標準装備されているだけでなく、テレビもありました。しかし、このテレビは普通のチャンネルもケーブルテレビのチャンネルさえも映りませんでした。それは、インターネット専用チャンネルのスマートテレビだったのです。
私はスマートテレビとWi-Fiがつながっている自分の部屋に戻り、いくつかの事実を調べました。emarketer.comですぐに見つけたのは、それほど驚くにあたらない数値でした。
中央ヨーロッパ及び東欧のデジタル採用に関する重要な数値:
- インターネット利用者:2008年の1億4250万人から2013年は2億3300万人に増加
- スマートフォン利用者:2009年は1640万人であるのに対し2013年は1億2570万人
- SNS利用者:2008年の7160万人から2013年は1億7360万人に増加
出典:Free Digital Marketing Article—eMarketer
その日を振り返ると、これらの数値は確かにうなずけるものでした。UX Konferenceの参加者はたくさん集まり、スマートコネクトホームや、チェコ共和国の最初のタクシーアプリ、デジタルバンキングの未来までカバーされた膨大な量のトピックは、聴講者と一般の人がデジタルなものに対して抱いている知識と欲求の深さを浮き彫りにしたのです。
そういうわけで、空港に戻るタクシーのなかで、(赤信号で止まっている間)ドライバーがファブレットゲームを操作しているのを見て、東欧もしくは少なくともチェコ共和国のデジタル採用は、拡大しているだけではなく、今や生活に統合された一部であるということを確信したのです。
- ※ このコラムは、2015年8月21日に公開されたコラム“Digital adoption on the rise in Eastern Europe?”の日本語訳です。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。