半年後に施行が迫る障害者差別解消法
取締役社長 木達 一仁来年4月1日より「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、いわゆる障害者差別解消法が施行されます。国連で2006年に採択された「障害者の権利に関する条約」を日本は批准しているのですが、そのための国内法整備の一環として2013年6月に公布されたのが、この法律です。
障害者差別解消法は、障害者に対する不当な差別的取扱いを禁止しているほか、行政機関(省庁、地方自治体等)に対しては「法的義務」、事業者(一般企業等)に対しては「努力義務」として、障害者への合理的配慮の提供を求めています。
そしてWebサイトも、障害者差別解消法の対象に含まれます。たとえば、Webアクセシビリティが十分でないことに起因して障害者から合理的配慮を求められた場合、サイトをアクセシブルに作り変えるといった合理的配慮を(行政機関と事業者とで義務の種別に違いはあれど)提供しなければなりません。
「リハビリテーション法第508条」や「障害を持つアメリカ人法」のある米国では、Webサイトのアクセシビリティを訴訟理由とする裁判が少なからず起こっています。障害者差別解消法の施行に伴い、日本でもそういった裁判沙汰が聞かれるようになるかどうかは、わかりません。しかし、国内でWebアクセシビリティ確保の必要性が法的側面から高まるのは、必至と思われます。
詳細は、内閣府障害者政策委員会委員長をお勤めになっている静岡県立大学 石川准教授の講演資料「障害者差別解消法の概要とWebアクセシビリティ」をご覧いただければと思います。
当社では、アクセシビリティを障害者や高齢者のためだけに必要なものではなく、内容と規模を問わずあらゆるWebコンテンツが満たすべき普遍的な品質として認識をし、制作物におけるアクセシビリティの確保・向上に取り組んできました。2010年に開始したウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン (WCAG) 2.0への標準対応は、その一例です。
Webを利用するユーザーもデバイスも多様化した昨今においては特に、アクセシビリティという品質が重要であることはコラム『マルチデバイス対応における「三本の矢」』に書いた通りです。変化著しいWeb環境において、アクセシビリティはいまやWebコンテンツを生かすための最大の武器なのです。そういう意味では、「法律が施行されるから」などという理由からではなく、アクセシビリティがWebにとって必要不可欠であり、またビジネスの持続的成長と不可分との認識から取り組んでいただきたいと思います。
Web担当者の方で、既にアクセシビリティに取り組まれている方も、これから取り組むご予定の方も、是非お気軽にWebアクセシビリティに関するご相談をお寄せ頂ければと思います。長年に渡ってこの分野に注力してきた当社として、何かしら皆様のお役に立てることがきっとあると信じます。
最後に直前のご案内で大変恐縮ですが、来る10月8日に幕張メッセ 国際会議場で催される「アクセシビリティセミナー2015」で、パネルディスカッションに登壇させていただきます。当日は企業のWeb担当者の方向けに、上述のようなアクセシビリティに取り組むべき理由や背景、そしてまた企業のカルチャーとプロセスにWebアクセシビリティを組み込むことの重要性についてお話する予定です。ご都合がつくようであれば是非、参加をお申込みください。
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