環境マーケティングコミュニケーションの時代へ
事業推進本部ディレクショングループ 田口 公章環境コミュニケーションが企業に与えるインパクト
一般的に、企業の環境保全活動は、地球環境への負荷(インプットとアウトプット)の削減活動というように捉えられていますが、実は本質は他にもあります。企業の環境保全活動の本質は、企業活動におけるステークホルダー(従業員、取引業者、顧客、投資家など)に対して地球環境の尊さを訴えかけ、自らが率先垂範しながら地球環境保全活動の輪を広げていくことです。また、その過程のなかで、製品・サービスの環境的付加価値を高め、投資家を含め新規顧客の獲得や顧客の囲い込みを行い収益に結び付けていくことです。
そこで必要不可欠になってくるのが、企業とステークホルダーとの十分なコミュニケーション(環境コミュニケーション)です。環境コミュニケーションというと何か特別なことのような印象を与えがちですが、環境に潜在的に興味があるターゲットを対象としたマーケティング・コミュニケーションと捉えていただけるとわかりやすくなります。
こうしたマーケティング・コミュニケーションに最適なメディアはインターネットです。インターネットは、マーケティングの原則であるAIDMA(Attention → Interest → Desire → Memory → Action)をすべて機能的に実現でき、しかも双方向の情報伝達が可能なメディアだからです。
また、インターネットには「環境上の優位性」という利点も挙げられます。
既存の環境コミュニケーションは、環境報告書等の「紙ベース」のものが中心ですが、「紙の使用」は、天然資源の利用、廃棄物の発生等、環境上の影響を発生させます。しかしインターネットによる環境コミュニケーションは、紙に比べ環境上の影響は少ないと考えられます。
現代は、大量生産・大量消費型のビジネスモデルの破綻が明確になり、消費者のニッチなニーズに対し少量生産・少量消費型のビジネスモデルを展開しなければならない時代といえます。「環境製品・サービス」というキーワードはまさにそのようなビジネスモデルの展開に向いています。環境に興味がある消費者層を取り込み生涯顧客にまで高めていく活動は、企業に大きなビジネスインパクトを与えると私は考えます。企業で環境や広報、マーケティングを担当されている方は、環境コミュニケーション戦略を一度見直してみてはいかがでしょうか。
環境サイトの現実
いまや、環境保全活動に取り組んでいない大手企業はほとんどありません。しかし、大手企業のWebサイトを拝見すると、非常に残念なことに環境についての扱いがとても小さかったり、他のコンテンツとの整合性の取れていないことがよくあります。これは、企業の環境担当者や広報、マーケティング担当者の視点からすると、「そもそも掲載する内容がない」「何を掲載してよいのかわからない」「取り組みを始めたばかりでアイディアがない」という理由が挙げられると思います。企業の担当者も「コスト削減」「売上・収益の拡大」という企業の至上命題に貢献したいという自覚があるだけに、歯がゆさを感じているというのが現状といえます。
弊社では先日、「本来はセールスツールとして機能させたいが現状のコンテンツは内容が薄いため十分に機能していない」という課題を抱えていらっしゃる企業様に対して、環境コンテンツリニューアルのご提案を差し上げました。その事例をご紹介いたします。
事例:国内大手筆記具メーカー ゼブラ株式会社様の環境対応商品紹介コンテンツ
筆記具・文具業界は、エコマークやグリーン購入法などの背景から、早くから環境対応商品の開発に取り組んでいる業界です。各社とも環境対応商品を豊富にラインアップしており、自社の環境対策についても積極的に情報開示を行っています。このような状況の中で環境サイトが本来果たすべき役割は「他社との差別化、環境対応商品の販売促進、ブランドイメージの向上」であるということが、お客様からのヒアリングからわかりました。
現状と分析
現状の環境サイトを分析した結果、読み手に伝える情報の内容・ボリューム、表現手法の問題が浮き彫りになりました。
- 環境への取り組みをもっとアピールしたいが、取り組みについての記述が十分に表現できていない。
- 商品紹介のページでは商品名の一覧を掲載し、既存コンテンツへのリンクを貼っているだけに留まっている。
- 原材料については、業界に先駆けた取り組みを行っている実績もあるが、コンテンツを要約しすぎているため新規性、技術力が読み手に伝わっていない。
- 工場がISO14001の認証を取得しているがその事実が前面に出ていない。
提案内容
現状分析の結果と経営方針及びサイトへのニーズから、リニューアル企画のベースラインを策定しました。
その際、「効果」「効率」「満足度」の視点から高いユーザビリティを実現することと、運用フェーズでの内部更新の付加軽減といった要件にも配慮しています。
- セールスツールとして機能させるために、商品・素材コンテンツの拡充を行い、なぜ環境活動に取り組んでいるのか、どうして環境対応商品が必要なのか、といったエンドユーザーに対する啓蒙コンテンツを追加する。
- 環境サイトは独立したデザインを採用し、現状の「環境コンテンツ」から「環境サイト」として独立させることで、企業としての環境への取り組み姿勢を印象付け、企業イメージの向上につなげる。
- 独立デザインとすることで独自のナビゲーションを設計できるため、環境サイト内の導線を整備し、かつコンテンツ量の増加に柔軟性を持たせる。
- 商品紹介は品目ごとにカテゴリに分けて検索しやすくする。
- 環境対応商品をすべて掲載、詰め替え対応表や詰め替え方法などの情報を追加することで、環境対応商品に関する情報を網羅する。
ゼブラ株式会社様からの評価
完成した弊社のエコロジーサイトは、当初のこちらの希望を十分に実現した上で、内容・デザイン・使い勝手とも希望以上のサイトが出来たと感謝しています。その要因としては、こちらの検討事項や希望をよく聞いて頂き、それを冷静に判断され、かつユーザーの視点に立ってサイトとしての完成度を最後までよく詰めて頂いたことによると思います。
環境サイトの構築をお考えの企業担当者様へ
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