バランススコアカードとWebの活用
代表取締役 髙橋 仁来週から、新卒のメンバーが5名入社します。研修後はできるだけ早く顧客企業様のお近くでOJTを行いたいと考えております。それぞれ素晴らしいスタッフです。ご指導の程、よろしくお願い申し上げます。
バランススコアカード
どの経営者も3〜5年を見据えた戦略というものがあります。しかし、ビジョンと戦略を活動(アクション)に落とし込み、成長と競争力により未来を切り開くプロセスにおいて、悩みのない経営者は皆無です。理由は簡単です。人間である以上、明日が明確に見通せる人は皆無だからです。私も約4年間、プロセスマネジメントを社内に浸透させるために多大な努力をしてきました。その結果、企業としての基盤づくりには大きく貢献できたと思っています。しかし、その過程においては、さまざまな問題が発生したため、大きく心がぶれたり、ゴールを見失いかけた時期もありました。
例えば、ISO9001(品質マネジメント)を導入するにあたっては、「品質管理のための管理」という具合に目的と手段の切り分けができなくなってしまうという問題が発生しました。財務的な問題、顧客満足の問題が置き去りになってしまった時期もありました。具体的には、トラブルを防ぐためにプロセスを追加し人を増やすと確かに品質は高くなりました。しかし過度なプロセス追加のためにコストだけが発生しつづけ、もう一方の顧客のニーズである低価格を維持することが難しくなるという負のスパイラルに突入してしまったのです。
この悪循環から救ってくれたのが、シックスシグマでいう、「ばらつきこそ経営の敵」、「品質が上がり、欠品率が少なくなれば、コストは削減される」という考え方であり、もう一つは、バランススコアカードの「4つの視点」でした。
今日はこのバランススコアカードについて触れたいと思います。
バランススコアカードとはどのようなものか?
バランススコアカードは、ハーバード・ビジネス・スクール教授ロバートS.キャプランとコンサルタント デビッドP.ノートンによって、1992年1・2月号の「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌に掲載された論文、「業績をドライブする指標『バランス・スコアカード』」が、きっかけとなって、世界に広く知れ渡りました。
日本でも2、3年前のデータになりますが、50社近くが何らかのかたちでBSC(バランス・スコアカード)を導入している、あるいは導入を検討しているという報告もあります。
発表当時は、新しい業績評価システムと捉えられていました。それ以前の業績評価システムは、単に生産を中心とする有形資産への投資と、投資の成果や効率を管理する財務的業績評価指標をベースにしていました。情報化が進み、顧客の要求が多様化した現在では、長期的な競争力を確保し、激しい市場競争の中で生き残るための継続的な成長・発展のための指標としてそれだけでは不充分になってきたのです。バランススコアカードは、財務的業績評価指標を補強し、企業のビジョン・戦略を各階層の意識・方向性を具体化していくために、
- 財務的視点
- 顧客の視点
- 社内ビジネスプロセスの視点
- 学習と成長の視点
という4つの視点から業績評価指標を設定し、目標管理と連携させるという考え方です。
また、横浜国立大学の芳川教授は、バランス・スコアカードとは「ビジョンと戦略を活動(アクション)に落とし込み(分解し)、(企業の)成長と競争力により未来を切り開く戦略マネジメントシステムである」と定義しています。非常に納得のいく解説です。4つの視点が、戦略とアクションプラン(行動)との橋渡しをする機能を果たし、アクションプランが戦略上どこに位置するかをチェックする機能を果たすものと解釈します。
バランススコアカードをどのように活用するか?
先日、バランススコアカードの分野で有名な日本フィリップスの高橋氏のお話を伺いました。非常に明解な解説に感動を覚えました。高橋氏は「日本では、難しいと考える人が多く、導入に二の足を踏んでいる企業が多い」とおっしゃっていました。捉え方によって人それぞれでしょうが、私は、こんなにシンプルでかつ抜けがなくダブりのないものはないと思っています。絶賛です。
私は以下のように解釈しています。
1)バランススコアカードの4つの視点をシンプルに捉える
バランススコアカードを経営戦略に活かそうと思うから複雑になるのです。経営戦略にバランススコアカードの4つの視点を活用し、戦略とアクションプラン(行動)にギャップが発生しないように関連付けを明確にし、チェック機能、効果測定に活用しようと思うと非常にシンプルになります。バランススコアカードはあまり細かいところまでこうしなさい、どうしなさいとは言っていません。むしろシンプルです。4つの視点で捉えることと、4つの視点間の関連性を捉えることが重要だと言っています。4つの視点で捉えることにより、戦略とアクションプラン(行動)に明確なつながりを持たせることができ、目的と手段を明確に切り分けできるのです。
2)アクションプランがバランススコアカードのどこに位置しているのか確認する
長い間経営に携わり経営に達観している方には、バランススコアカードは必要ないかもしれません。なぜならば独自のバランススコアカードを体得しているからです。しかし、私のような小僧に近い経営者は、この戦略は正しいか?このアクションプランは経営戦略上どの位置にあり、何のために機能させようとしているのか常に悩みます。このようなことは大企業の中堅幹部のみなさまと同じ立場にあるものと考えます。
例えば、経営サイドから、具体的なアクションプラン(行動)が出された場合、「これは何のため」ということを明確に捉えなければ行動に躊躇し大きな成果が期待できません。このような環境下では、バランススコアカードは極めて有効に機能します。アクションプランひとつひとつを、4つの視点で捉えると経営戦略のどの位置を達成しようとしているか明確になります。
私は、バランススコアカードを新しい経営戦略理論とは捉えていません。極めて実践的で分かりやすい、かつ経営幹部が活用するだけでなく、全従業員が活用できる、有効的な思考プロセスだと考えています。
(実際、弊社でも2年半前から実施してきた全スタッフを対象とする目標管理制度(MBO)にこの4月からバランススコアカードの考え方を導入します。評価指標に苦しんでいたこの2年間がうそのように思えます。頭が整理されました。)
バランススコアカードをWebに活用すると効果は倍増
さて、日本企業におけるWeb活用範囲は、不当に狭いものと認識しています。それは、未だに単なる情報提供ツールと捉えている方が多いからです。また、非常に限られた時間で表現しなければならないテレビCMや、限られたスペースで表現しなければならない印刷物と同一視している方がいるからです。さらに、一旦表現してしまうと可変、追加、変更が不可能な、今までのメディアとも違います。リアルタイム、双方向性という特性も十分活かされていません。
反面、このような事態の多くは私たちに問題があり、活用方法を十分説明しきれていないのだと考えています。
私は、この問題の解決にあたり最も重要なことは、Web活用における「視点」を広げることであり、さらに、企業の持つ企業戦略とWeb戦術をつなげることだと認識しています。もしこれが可能であれば、Webは「経営革新ツール」として変貌することができると考えています。「バランススコアカード」の4つの視点は有益に機能することは間違いなく、Webの活用によって今までの4倍以上の経営効果が出るものと仮説を立てています。
弊社は、1年以上前から、スタッフのITコーディネータ資格取得を推奨し、経営資源を投入し育成しています。なぜならば、ITコーディネータはバランススコアカードを利用したITソリューションを主旨としている資格だからです。すでに取得したスタッフも出ています。
ミツエーリンクスの今後のインターネットソリューションにご期待ください。
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