「事実を捉える」ことの意味
代表取締役 髙橋 仁昨年の夏だったと思います。親友の紹介で、日本経営品質賞も受賞したある大手メーカの情報戦略室の方と会食する機会がありました。世界に展開する支社の情報を束ねることが大きなミッションなのだそうです。彼は次のような興味深い話を聞かせてくれました。
「コンサルタントと言われる企業はどうも我々には理解できないんだよ。わが社に存在する問題や課題の事実を捉えようとしない。事実も捉えないでどうして提案ができると思う?顧客企業の話も聞かないで予め用意されているパッケージを売ることだけを考えている。これでは我々は困る。それほど事は簡単ではない。」
「まずは、企画書をもってきて!/面白い提案を作って!」と、十分な情報を入手できない段階で何かと結果を急かされる環境にある私たちの業界にあって、彼の言葉は斬新でかつ納得のいくものでした。
彼の取り巻く環境要因を分析すると彼の言葉は容易に理解できます。
- 世界の情報ネットワークを管理・統合するという非常に複雑系の業務を行っている。
- そのため高度な知識が必要な職務である。
- 全社的ビジネスプロセス、情報共有によって、生産性が大幅に向上・改善できる可能性が大である。
- したがって、システムの出来如何によっては顧客満足にも影響を与えかねない。
- 結果的に全社的な業績にも影響を与える。
結果の及ぼす影響が大きい場合や全社的課題に取り組む方は、必然的に彼のようなスタンスになるのではないかと思えます。
シックスシグマとの共通点
彼のお話を伺っているとき、シックスシグマを思い出しました。関連性が大きいからです。
近年、シックスシグマは非常に話題になっており、多くの本が存在していますので研究されている方も多いのではと存じます。何かと難しい部分もありますが、幹の部分であるブレークスルーというプロセスを理解することが大切だと思っています。シンプルに言ってしまえば、
- Define=定義
-
本来あるべき姿を捉える(理想の姿)
- Measure=測定
-
現状の事実を捉える
- Analyze=分析
-
「本来あるべき姿」と「現状の事実」とのギャップ(問題)を特定する
- Improve=改善
-
特定されたギャップ(問題)に改善を加える
- Control=管理
-
定量的に結果を測定し、改善結果をコントロールしていく
それぞれのフェーズには、高度の技術を要するツールや統計的手法が存在しておりますが、改善の精度を上げるためであり、前提としては、上記の幹の部分を押さえることが重要だと考えます。
彼が話されたことは、「Measure=測定 現状の事実を捉える」部分にあたり、改善手段の決定に極めて重要な役割を演じます。コンサルティングとは、問題を解決する手法・手段の提供と捉えれば、一にも二にもまずは顧客企業様の「事実を捉えること」からスタートしなければならないことを改めて感じた瞬間でした。
弊社は、1年半におよぶシックスシグマ研修も終了に近づき、近々6名のブラックベルトがある機関より認定されます。少しでも顧客企業様のご発展のお役に立てるよう、全スタッフの研究と努力は続きます。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。