Webサイトのビジュアル表現
ディレクショングループ アートディレクター 榛葉 幸哉それぞれの国には、その歴史的背景や地理的要因などから独自の価値基準が生まれ文化が育ってきました。
たとえば日本では皆と同じであることを美徳とするような風潮がありますが、欧米では徹底して他者との違い(個性)を重んじるといったようなことがあります。
Webの世界では?というとなかなか面白い現象が起きています。
初期ヒアリング時にクライアントにサイトリニューアルの主旨を尋ねてみると
- 「競合との差別化をはかりたい」
- 「弊社の独自性を打ち出していきたい」
というようなお話をいただくことが多く、これは欧米的な発想に近いと言えます。
ところが、いざコンテンツの中身をどうするか、ビジュアル表現をどうするかという具体的な話になると、
- 「競合のA社がアレをしているからわが社もアレを。」
- 「あの有名サイトみたいな感じで。」
と突然日本的な発想になってしまうことが多いのです。
Webが一つのメディアとして認知され、インフラ環境が整い、ユーザのインターネット環境は大きく変わったといえます。その結果、より多くの情報をWebで扱うようになり、Webサイト構築にはユーザに対してストレスを感じさせることなく企業の膨大な情報をきちんと整理、構築し、ユーザの誘引を促すことが必須条件であり、それに対してはある程度の定義が策定されてきていると感じます。
しかしWebサイトが一様にそのような必須条件に基づき、情報構築に関しては規則正しく統一された直線的なデザインが施されているため、多くのWebサイトが視覚的に同じように見えてしまうことも否めません。
「使い勝手は悪くはないが、インパクトに欠ける・・・」ということで、せっかくよい情報を提供していてもユーザのロイヤリティが上がらないという結果になってしまいます。
視覚から与えるインパクトはユーザの記憶に残りやすい
例えば「カッコイイ」「キレイ」「楽しい」や「驚き」といったユーザの感性にダイレクトに訴えかけるWebサイトに出会うことがあります。
私たちは通常生活の8割の情報を視覚から得ると言われていますが、Webサイトは視覚から得る情報要素がそのほとんどを占めるため視覚からインパクトを与えるサイトがユーザの記憶に残りやすいのです。
そういったビジュアル表現による仕掛けがプラスアルファでついた場合、ユーザに与えるインパクトは非常に高いものとなるはずです。それまでファイル容量の問題やプラグインの有無で敬遠されがちであった表現方法も今日では、よりユーザに直感的な操作感覚を与える存在として表現の可能性を広げています。ユーザにとって自分が欲している情報に対しては貪欲であり、手間をかけてでも「見たい!」と思うのです。
ユーザのニーズが昨日より今日、今日より明日へと日々高くなっていき、その利便性プラスアルファを求めているのは事実であり、その現状がWebサイトのビジュアル表現の在るべき姿を日々進化させているのです。
Webサイトにおいて企業の「差別化」「独自性」を打ち出すためには、その企業の個性(本来あるべき姿)にマッチしたビジュアル表現をあてはめていくことが非常に重要な作業となり、またそれがエンドユーザに対して適切な(もしくは意表をついた)インパクトを与えるのか、2つの間の微調整を行うことがキーポイントとります。
たかがWebデザインされど・・・
私たちは互いにマッチしたビジュアル手法を探り、見つけ出す為、日々まい進しています。
Webサイトのビジュアル表現においてOne of themでは意味がないのです。
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