プロジェクトマネジメント手法を導入すれば、Web運用は1/3効率化される。
代表取締役 髙橋 仁Web構築は、戦争で言えば組織化・編成や情報・連絡システムを構築するようなものであり、Web運用は、実践!まさに戦いを意味するようなものだと少し前このコラムに書いたことがあります。
もし、Webサイトに経営的な効果を求めるのであれば、Web運用こそ力をいれるべきであると考えています。今日はWeb運用をプロジェクトマネジメントの視点で捉え、効率化への道を探ってみたいと思います。
プロジェクトマネジメントも一種のプロセスマネジメント
プロジェクトマネジメントで有名なものにPMBOKがあります。最近では、ISO14001の構築・運用手法をアレンジして大型のシステム開発に使用し大成功を収めたところもあり、何れもしてもプロセスマネジメントのひとつという事ができます。弊社でもPMBOKの知識体型と、ISO9001の進行プロセス、シックスシグマの問題解決手法を融合させた独特のプロジェクトマネジメント手法を開発しています。それがMiPro-1です。ご希望であれば、どなたでも活用可能です。
ところで顧客企業様のWeb運用をお手伝いさせて頂いている弊社のスタッフから下記のような話を聞く場合があります。
「ABC社のWeb担当者様は大変そう。更新ページは多くないが、社内の調整、決裁、情報伝達がうまくいってないためか、修正が膨大に発生し、その結果非常な労力と時間とコストを掛けている」
一般的に新規Webサイトの構築や大型のリニューアルにおいては、プロジェクトマネジメント手法を導入して構築する傾向にあります。なぜならば、サイトの持つミッションが経営戦略上のどこにポジショニングされるか明確にする必要があったり、組織全体の関わりが多いことやプロジェクトメンバーが多数に及ぶためです。さらに構築委託企業においても、コンセプト、デザイン、システム開発等複数の企業が関わるケースが非常に多く存在します。大型案件は、プロジェクトマネジメント手法を導入しないと危険だという認識も出始めているようです。
しかし、Web運用においては、サイト更新すればいいというような安易な考え方の蔓延や、運用プロジェクトのメンバーが少数であることから、プロジェクトマネジメント手法を導入しない場合が多いのです。
このような環境要因から甘い判断が下され、運用プロジェクトの定義が不明解なままスタートするため、上記のような問題がおこり、不必要な労力と時間とコストを掛ける結果となってしまっているのです。
プロジェクトマネジメントの本質は、共通環境、共通言語を作ること
プロジェクトマネジメントは、一見ワークフローに似ていますが、実は違います。ワークフローはプロジェクトマネジメントの一部でありプロジェクトのプロセスを明記しているだけです。日本文化の強みのひとつといわれるものに「阿吽(あうん)の呼吸」があります。同じ部署内や小さな企業で、お互いの役割を熟知していればワークフローだけでも機能することは可能でしょう。しかし大手企業の場合、他部署は他企業のようであり、また相手の業務内容など理解できるような環境ではありません。さらに社会に公開される情報のため、上下決裁が非常に複雑に絡みます。
このような環境下においては、最初にプロジェクトマネジメント手法を導入し、それぞれの業務を定義し、運用プロジェクトに関わる全スタッフが自他のミッション、作業、スケジュールを把握しなれば、作業がつまらないとこで滞るのです。
言うならば、 「阿吽の呼吸」を短期的に意識的にかつ人工的に作り上げるようなものですね。
プロジェクトマネジメントの一般的な手法は、ミッションの定義、決裁の定義、組織編成の定義、コミュニケーション計画、予算計画、スケジュール計画、変更管理計画・・・・・とプロジェクトをゴールに導くための要素を規定し、それぞれ定義し、進行管理を行います。一見難しそうに見えますが、実はよく建設業で言われる「段取り八分」と同じであり、最初に力を注ぐというやり方。その目的は社内社外問わず、部署間・上下を問わず、全プロジェクトメンバーに共通言語をもつことであり、共通環境をつくる為にあるといっても過言ではありません。
品質工学の田口メソッドがいうように、大切なことは「・・・同じ方向に向いて、同じツールを使うこと」なのです。
Web運用にプロジェクトマネジメント手法を入れよう
運用は継続的であり、定期的でもあります。したがって、非効率な運用を始めるとWeb担当者様が不要なストレスを感じるだけでなく、どんどんコストがかさみます。特に運用プロジェクトは、大きな組織が必要ありませんので初めに決めることはシンプルです。ミッションの定義、決裁者の定義、コミュニケーション計画(情報の伝達の仕組み)、プロジェクト関係者のそれぞれの作業の定義、そしてスケジュールの共通認識程度でも機能します。
最近、特に注意を呼びかけたいのが、プロジェクトメンバーの定義です。制作に外部スタッフを活用する場合特に図のような意識改革が必要であり、情報の共有化策を初めにつくる必要があります。
プロジェクトがうまくいくコツ
社内、外注を問わず、プロジェクトに関わる全員をひとつのプロジェクト組織と認識し、情報を共有しながら全員が同じゴールを目指すこと。
全てのプロジェクトは、初めの認識が結果に大きく影響を及ぼします。初めにしっかり定義するだけで、運用負荷は2/3になり、コストが削減され、メンバーのモチベーションも上がるのです。
最初にプロジェクトマネジメント手法を導入することで、楽しく効果の上がる運用にしたいものです。
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