コミュニケーションにおいて重要な「ことば」の定義
ディレクショングループ 取締役 プロデューサー 岡田 貴彦自分たちのようにWeb制作の仕事をしていると、特有のことばを普通に使っていることが、よくあります。
例えば、「デモアップ」ということば。社内では、「プロトタイプ・デザインを、画像ベースでサーバにアップロードして、お客様に確認をして頂く」作業を指していますが、お客様とことばの定義が噛み合わず、慌てて説明を加えたりすることも、稀に発生します。
また、普通のことばでも、認識が違うこともあります。
例えば、「今日中」ということばは危険です。作り手は、「今日いっぱい作業に当てられる」と認識している一方、お客様は「今日の夕方、終業時刻まで」だと認識されているかもしれません。(お恥ずかしい話ながら、弊社でも過去に実在しました……。)
デザインの方向性を決める場合にも
- 「もっとやわらかいデザインにして欲しい」
- 「清潔感のあるデザインを希望している」
- 「先進性を表現してください」
など、要望はことばで提示されます。
お互いに日本語で話をしているがゆえに、お互いの認識が一致しているという前提で話をしてしまうケースは少なくありません。一方的に、当たり前だと思い込んでいるケースは、世間一般でも、よくあるのではないかと思います。
Webサイト構築における認識の一致
ごく当たり前の話ではありますが、プロジェクトを進行させるにあたっても、工程やゴール、ことばの定義はとても重要です。お客様と作り手である我々が定義された「ことば」を使って、プロジェクトを進行させることの必要性は言うまでもありませんし、ことばを使いながら、いかに双方の言い分を刷り合わせていくかは、非常に骨の折れる仕事です。
サイトにおける「ことば」の定義の重要性
またサイト内で使われる表現やカテゴリーネームに関しても、情報提供側または作り手の「慣れ」から、思い込みで「ことば」を使ってしまうこともあるかもしれません。
例えば、
- 「製品」・「サービス」・「ソリューション」の使い分け
- 「ケーススタディ」・「導入事例」の使い分け
などカテゴリーネームは、しっかりと意図を持って付けなければなりませんし、日本語表記と英語表記なども、考慮されるポイントとなります。
製品名によるインデックスしかないために、製品を理解していないユーザーが一つ一つページを見ていくしかない「製品情報」ページなども、情報提供側の「慣れ」が生み出す、ありがちな例かもしれません。
サイトの改善はデザインだけではない
実際にサイトを訪れるユーザーに配慮したカテゴリー分けは重要なポイントになりますが、「誰を対象にしているのか」「ユーザーに何を伝えたいのか」「ユーザーにどのようなアクションを希望するのか」を意識しながら、カテゴリーやナビゲーションに細かな配慮をするだけでも、サイトは随分と使いやすくなるものです。
6月21日にはWebアクセシビリティのJIS規格が公示され、アクセシビリティに対する認知や必要性の認識も高くなってきています。情報提供側または作り手の「慣れ」から脱却の延長線上に、Webコンテンツのアクセシビリティ確保もあると言えるのかもしれません。
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