Web標準準拠と企業の価値
ディレクショングループ 取締役 プロデューサー 岡田 貴彦最近、Web制作業界でも「Web標準」が取り上げられるようになってきました。その背景には、弊社コラムで各担当者が述べているメリットという側面もありますが、同時に企業のホームページが巨大化しすぎてしまい、運用コストや管理体制に莫大な負荷がかかり始めてきているという側面も見逃せません。
企業におけるホームページの位置付け
弊社でホームページのリニューアル・構築を担当させていただく際に、最も苦心するのは、企業におけるホームページの位置付けの曖昧さです。果たす機能から考えると、「企業情報の提供(PR)」であり、「採用情報の提供(リクルート)」であり、同時に「製品紹介(プロモーション)」という側面も持っています。また、管轄部署で考えた場合には、「広報」「マーケティング」「総務(人事)」「社長室(IR)」「営業企画(製品・サービス)」、場合によってはIT戦略の一環として「情報システム部門」である場合もあります。
そこには、企業としての「明確な意思」が存在する場合もあれば、「横並び」的に立ち上げているに過ぎない場合もあります。当然のことながら、これは、企業におけるホームページの位置付けが企業によって千差万別であり、その取り組み方や、予算・体制にも大きな温度差が存在しているということになります。
ホームページの構築は企業における情報の棚卸し
以前、コラム「Web構築、情報のセグメンテーションとラベリング」の最後に、このように書かせていただきました。
このように情報の構造化が高度になればなるほど、その一方で、各情報の提供者が誰なのか、とりまとめは誰なのかなど、Web構築の準備段階・運用段階における体制やプロジェクト管理も膨大なものにならざるを得ません。そういった意味では、情報の構造化は組織の構造化をも要求する作業と言えるのかもしれません。
ホームページのリニューアルの際に、垣間見えるのは、組織としての、プロジェクト管理能力であり、情報管理能力だと言えます。組織内で、情報が共有化されているか、コンセンサスが得られているか、担当者のモチベーションも含めて構築の局面において様々なことが、企業の縮図として目に入ってきます。
つまりホームページのリニューアルプロジェクトは、コーポレートガバナンスの縮図であり、企業の文化を映す鏡のようなものだと言えるでしょう。意識の高い企業では、情報が整理され、担当者のモチベーションも高く、Webサイトの意義・目的を明らかにすることができます。
Web標準準拠という企業にとっての踏み絵
話を戻すと、情報の定義をし直し、構造の再構築をより高い次元で求められる「Web標準準拠」は、より一層企業の管理能力を浮き彫りにするものです。
バラバラのナビゲーション、統一されていない表現、様々なトーンとマナーが存在するページから感じられる企業イメージと、高度な情報整理のなされた「予測可能」で整然としたサイトから感じられる企業イメージの差が大きな結果をもたらすことは明らかだと言えるでしょう。
また、巨大化するサイトを上手くアーカイブ化しながら、運用していくという、かかり続ける「コスト」をどう受け止め、どのように効率化していくのか、どのように限られた予算の中で効果を生み出していくのか、このような様々な課題に対しての解は、「Web標準準拠」にあると言えるのではないでしょうか?
こう考えていきますと「Web標準準拠」は、企業にとっての「踏み絵」のようなものです。
Web標準準拠への対応から垣間見える企業の価値
効果とトータルコストを考慮して、いかに移行を行えるか、他社よりも早くこの流れを上手く掴める企業の価値は、高いと言えるでしょう。なぜならば、そのプロジェクトを成功へと導ける企業は、「意思」を持ち、プロジェクト管理能力・情報管理能力を有し、担当者のモチベーションも極めて高い企業だと言えるからです。
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。