Ac+C'04キックオフイベント参加報告
シックスシグマ推進本部 木達 一仁9月16日、五反田ゆうぽうとホールにて行われた、Ac+C'04(アックゼロヨン)のキックオフイベントに参加しました。アックゼロヨンとは、「Webアクセシビリティをみんなで創造しよう!」をスローガンに、Webサイトにおけるアクセシビリティとクリエイティビティを考えるためのフォーラムです。弊社では、アックゼロヨンの趣旨に賛同し、また協賛をしています。
今回のコラムでは、私見を織り交ぜつつその模様をご報告したいと思います。
イベントは、主催元である社会福祉法人プロップステーションの竹中理事長のご挨拶に始まりました。日本のウェブサイトをもっとアクセシブルにすることで、障害をお持ちの方にもより積極的な社会参加を可能にする、(本イベントを)そのような国民運動のきっかけにできれば、とお話しされました。
それに引き続き、与党ユニバーサル社会形成促進プロジェクトチーム副座長の浜四津参議院議員と、前述の竹中氏の対談が行われました。全ての人が自立的に社会に参加できる「共生の社会」の実現に向けた政府・与党の取り組みを中心に、意見交換がなされました。浜四津議員からは、全自治体のウェブサイトのわずか数%しかアクセシブルでないという、ショッキングな現状も報告されました。
近隣の地域情報は、日常生活にとって特に重要な部類であると私は考えます。自治体の情報発信におけるアクセシビリティの向上は、ボトムアップよりもむしろトップダウンの動きの中で達成されるべきでしょう。今年6月に改正された障害者基本法とウェブコンテンツJISが、いわば車の両輪となって今後一層強力に牽引することが望まれます。
本来であれば大会宣言を行う予定であった麻生総務大臣は、公務のために急遽イベントは欠席されましたが、ビデオメッセージをお寄せになり、その中でICT(Information and Communication Technology)を一層活用してユビキタス社会、すなわちU-Japanを実現し、活力のある高齢化社会や安心で住み良い社会を目指したいとお話しされました。
総務省、厚生労働省、経済産業省の各省よりご担当者をお招きし、Webアクセシビリティへの取り組みが紹介されたセッションでは、最後の質疑応答の場面で会場より縦割り行政への不安、あるいは省庁間の横断的な取り組みに対する期待が寄せられ、またそれに対し前向きな回答がなされました。
「Webアクセシビリティ実装におけるビジネス&ソーシャルメリット」と題された講演の中で、アンカーテクノロジー株式会社の森川氏は、アクセシビリティを確保する方策としてスタイルシートで視覚表現を実装することにより得られるメリットを、ブランディングの向上、SEO効果の向上、運営の効率化、長期的コストダウン、拡張性と可能性の5項目に大別して紹介。
ちなみにこれらはもちろん、弊社のWeb標準準拠サービスをご利用いただく場合においても期待できるメリットです。ROI(投下資本利益率)をどの程度のタイムスパンで捉えるかにも拠りますが、見栄えをできるだけスタイルシートでコントロールできるようスイッチすることは、十分投資に見合うと考えられます。サイトの構造やページ個々の文書構造に多くの手を加えることなく、ヴィジュアル面のリニューアルが可能になるのですから。
プログラムの最後に行われたパネルディスカッションでは、ウェブアクセシビリティや今年6月に公示されたウェブコンテンツJISをめぐり、活発な議論が行われました。ウェブコンテンツJISやW3Cのアクセシビリティ基準であるWCAGは、準拠することもさることながら、その品質を維持し続けることがより重要であり、また個々のアクセシビリティ要件の具体的な実装方法においては、コンテンツのターゲットや伝えるべき情報に応じて十分検討すべきである、といった意見が交わされました。
私自身、かつてコラム「ウェブコンテンツJISに準拠するには」の中でアクセシビリティの継続的な検証と改善が必須である点を指摘していますが、サイトの運用をインハウスで行うにせよアウトソースするにせよ、運用や保守にある程度のリソースを投入しない限り、たとえ一度は必要十分なアクセシビリティを確保したとしても、簡単に劣化してしまうことでしょう。
また、上述の森川氏より、アックゼロヨン・アクセシビリティアワードがプレオープンした旨、報告がなされました。アクセシビリティに対して積極的な取り組みを行っているウェブサイトの中から特に優れたものを表彰しようという企画で、2005年8月に神戸で表彰式が執り行われます。
今後より多くのウェブ制作者やウェブデザイナーが、アクセシビリティへの配慮を当たり前のようにデザイン工程に組み込み、またクリエイティビティを一切犠牲にすることなくコンテンツを実装していく、そんな流れがアックゼロヨンを通じて形成されていくことを願って止みません。
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