Rich Internet Application(RIA)の新たな潮流
上級執行役員 兼 第一Webインテグレーション本部本部長 橋本 敬Adobe MAX 2008に参加して
昨年のことになりますが、11月16日から19日(現地時間)にサンフランシスコで開催されたAdobe MAX 2008に参加いたしました。基調講演から個別のセッションに至るまで、示唆に富む内容となっており、Flashエコシステムの中でリッチコンテンツ制作やRIA開発を進める上での数多くのヒントを得ることができました。中でも、データの活用方法や可視化については、ちょうど社内のプロジェクトで取り組んでいたこともあり、大変興味深いものでした。また、今回のMAXで強く印象に残っているのは、私たちが業務の中で感じる以上のスピードで、Flash技術がいわゆるクリエイティブシーンからビジネスシーンへと活躍の場を拡げつつあるということです。
RIAをとりまく環境の変化
2002年に生まれたRIAという言葉は、高い表現力と機能性、操作性を持つWebアプリケーションと定義され、これまでは概念的に用いられてきましたが、この1年足らずの間に一気に具現化されてきたと感じています。RIAの急先鋒であるFlashやAjax、Silverlight、JavaFXなどの技術の進歩や環境の整備がその背景にある一方で、人々の生活や業務の中でこれらの技術の利用が、もはや特別なことではなくなったという状況が強力に後押ししているのは疑う余地のないところです。中でもFlashに関しては、Flash Playerの圧倒的な普及率に反して、バージョンの制約や検索エンジンへの対策、ローディングの負荷、あるいはユーザビリティやアクセシビリティ等の観点から、技術の採用までには乗り越えるべきハードルが数多く存在していました。しかし、最近では、こうした技術のデメリットよりもメリットを最大限に活用することに注目し、コンテンツやサービス開発のご依頼を頂くケースが増えており、Flash Playerの普及率のチャートを使って導入のご提案を差し上げていたことが懐かしくすら感じます。こうしたRIAの活用は、実際にはRIAであることを意識させることなく、エンドユーザへのさらなる利便性の提供により関係性を強化することを意図しており、ますます加速していくと考えています。制作や開発を担う私たちにとっても、表現手法や開発技術の制約がなくなったことで、解決すべき課題の本質により近づくことができるという点で、非常にやりがいを感じる刺激的な状況になってきました。
RIA活用のメリット
では、RIAを積極的に活用するメリットはどこにあるのでしょうか。インターネットあるいはイントラネットでの利用によりエンドユーザが異なるため、意味合いや用途は若干異なるかもしれませんが、RIA活用のメリットには主に次のようなものが挙げられます。
- 直感的なインタフェースによる操作性の向上
- 作業(操作)フローの効率化、作業のスピード化
- 正確性の向上
直感的なインタフェースは目新しいものではありませんが、これまで開発要件の比重が高く、デザインがなかなか入りにくかった分野において、RIAを通じてデザインが強化されることになります。業務フローと作業フローを見直し、ムダなく間違いなく操作をするための直感的なインタフェースを構築することはRIAが得意とするところです。Flashを用いたリッチフォームや、社内で利用する業務アプリケーションなど、フローや課題が明確なものについては、導入しやすいと言えます。
また、これはメリットではないのですが、RIAの活用法として注目されているのが「データの可視化」です。売上、顧客、在庫、稼働状況などの経営データをグラフやチャートなどを使ってリアルタイムに表示し、判断のスピード化を図るといった活用法が増えています。
こうしたメリットや活用法の中から、エンドユーザが必要としているものを整理してみると、RIAの最大の特徴は「直感的」であることが改めてわかります。Flash Platformを利用する上では、クライアント、サーバともに使用する技術はほとんど変わらないため、コンテンツやアプリケーションの違いはインタフェースの違いといっても過言ではないと考えています。なぜなら、コンテンツやアプリケーションの違いは、企画や要件の整理、設計に基づくものですが、それを知る由もないエンドユーザが違いを感じるのは、実際に見て、使うインタフェースに集約されると考えるからです。
当社の取り組み Adobe MAX Japan 2009に向けて
こうしたRIA環境の変化の中、当社でもFlash Platformを中心に研究開発を続けています。特に「データの可視化」については、どういうデータを、どういう方法で取得し、加工し、そしてどういう形で可視化するのか、という点に特に注目しています。今回、その成果の一部を、来る1月29日、30日の両日、ホテルグランパシフィック LE DAIBAにて開催される、Adobe MAX Japan 2009にて発表することになりました。Flash Platformの技術とエンターテイメント性の高いインタフェースを用いたコンテンツを用意いたしました。
- ALMARS(アルマルス)
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カンブリアンゲームを模したコンテンツに、みなさまに携帯電話を使って参加していただきます。登録したデータがサーバの中で次々に変化していく様をリアルタイムに楽しむとともに、最後にはその変化の系譜を一覧で見て楽しむことができるというものです。
ぜひミツエーリンクスのブースに足を運んでいただければと思います。
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