Web Standards CurriculumですすめるWeb標準の教育
フロントエンド・エンジニア 矢倉 眞隆WebデザインやWeb開発の基礎について解説するWebサイトは数多く存在しますが、体系的なコースとしてまとめられたものはなかなかありません。個人が学ぶのであれば、気になる項目だけ検索して調べるといったやり方でも進められます。しかし、学校の授業や企業での研修ではそうもいきません。また、きちんとしたコース資料が、安価で提供されていることは少ないでしょう。
今回紹介するのは、このような問題を解決するために作成された、Web Standards Curriculumです。
Web Standards Curriculumとは?
Web Standards Curriculumは、Operaの開発者向けコミュニティ“Dev Opera”で公開されている、WebデザインやWeb開発を学ぶためのコース資料です。昨年7月の公開開始から、現在までに50本以上もの記事が公開されています。
Web標準なデザインの基礎であるHTMLやCSS, JavaScriptなどは、それぞれ10本以上の記事があるなど、大変充実しています。他にもインターネットの歴史や色彩理論、タイポグラフィなどの記事もあり、バラエティのあるコースになっています。
(なお、Dev Operaにはカリキュラム以外にも参考になる記事がたくさん公開されています。特に新しいWeb標準の解説や、すこし高等なテクニックなどを知りたい方におすすめです。)
Creative Commonsで配布される自由な資料
Web Standards Curriculumのユニークな点は、全ての資料がCreative Commonsの表示-非営利-継承ライセンスで公開されていることです。このライセンスでは、著作者のクレジットを明記すれば、資料の利用や一部を編集して利用することなどが自由に行なえます。利用許可を取る必要はなく、お金もかかりません。
カリキュラムという名前からイメージできるように、この資料は教育機関での利用を主に想定しています。大学やカレッジのWebコースでは、現在のWeb標準なやり方ではない方法を教え続けていることが多く、またWeb標準への理解が浅いため、Web標準で作成した学生の課題が減点されるという事態も起こっているようです。
問題として挙げられるのが、Web標準など最新のWeb動向を追いかけて、それを教育に取り入れている教員の少なさと、資料の乏しさにあります。前者については解決が難しいように思いますが、後者についてはWeb Standards Curriculumが公開されていることで解決することができます。
ライセンスのおかげで、カリキュラムの記事をそのまま使うこともできますし、記事の一部をベースに独自の資料を作成することも可能なのです。クレジットを明記するだけで利用できますから、教育資料における著作権侵害と権利収入の問題もカバーできます。
日本語への翻訳もスタート
質の高いリソースですので、すでにスペイン語や中国語などへの翻訳がスタートしています。そして日本語版についても、Operaと弊社が協力して翻訳を進めることを4月に発表しています。
発表してからしばらく間が空いてしまいましたが、先日より翻訳作業に着手し、すこしずつ進めています。現在は一月に2本というペースですので、すべて終えるにはまだまだ時間がかかります。翻訳の進め方などもまた手探りの状態なので、なんとか効率のよい方法を探しスピードアップできればとも考えています。
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