eZ Publish 〜CMS導入の傾向と実績〜
テクニカルディレクター 水上 勇人eZ Publishと導入傾向、外部連携、データ移行
eZ Publishを開発するeZ Systems社が発表する月間最優秀サイト賞(2010年2月〜4月)では、外部連携が特徴であるとコメントされているサイトが、3つのサイトのうち2つありました。ミツエーリンクスでのeZ Publishを利用したサイト構築案件でも、外部連携が増えております。よくある外部連携事例ですと、以下のようなものがあります。
- Google Maps API
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システムでは緯度・経度や住所情報のみを保持して、ビジターが閲覧するページ内には地図を表示する形で利用しています
- Google Analytics Data Export API
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アクセスランキングの生成やサイトへの流入検索キーワードを利用したタグクラウドの生成と表示に利用しています
その他、機能開発に関する初期費用を抑える、あるいはセキュリティ強度をあげるという目的で商用/有償のAPIを利用した事例が数件(メールマガジン配信、個人情報の格納と呼び出し)あります。これらのサイトは、外部連携に関する機能を拡張機能として実装できるeZ Publishの特徴を有効利用できている事例と言えるでしょう。また、外部システムから生成されたCSVファイルやXMLフォーマットの商品情報などのデータをインポートする方法でデータを移行し、サイトを構築するプロジェクトが、過去半年間はほぼ毎月のようにありました。移行対象は数千〜数十万件と幅広いですが、いずれにしても大量のコンテンツを取り扱うサイトとなっております。
人手を介さないデータ移行、データマイグレーション
過去のページや商品情報コンテンツを管理できていない、言い換えれば既存サイト・システムではCSVファイルやXMLフォーマットのデータを出力できない状況において、短期間でスムーズに、ミスなく移行するために、人手を利用せずに実施した事例をご紹介させていただきます。
まず、既存サイトのHTMLファイルを、ロボットを利用して集めます。集めたHTMLファイルを解析してXML形式に変換します。続いて変換したXMLファイルをeZ Publishに一括インポートします。構造化されたHTMLで構成されているサイトの場合、このような既存データの移行も可能です。この方法でデータ移行したサイトは今年に入ってから2例あり、移行件数はそれぞれ5,000件、8,000件ほどありました。ニュースやコラムなど、テンプレート化されているコンテンツかつ数が多いものに対しては特に有効なコンテンツ移行方法となるでしょう。
マルチデバイス向けサイトとデータ出力
続いてシステムに入力された、あるいは移行されたデータの出力に関する傾向を紹介させていただきます。eZ Publishはサイトのデザインや構造とコンテンツデータは別々に管理しており、"1つのコンテンツ・サイトに対して、特定の条件で見せ方を変える"ことができる特徴を持っています。サイトのデザインやレイアウトの差し替えによく利用する便利な特徴ではありますが、今年に入ってからはもうひとつの使い方が増えてきています。それは、1つのCMSで複数のデバイス(PC、携帯サイトやスマートフォン)に対応させるマルチデバイスサイトを構築する使い方です。1つのコンテンツに対して、デバイス別にサイトを分けることでPCサイト、携帯サイト、スマートフォンサイトなどをそれぞれ別々に管理・更新する必要なく、1度の更新作業ですべてのデバイス向けに更新を反映することができるようになります。この傾向はeZ Publishを利用したコーポレートサイト構築に限らず、スクラッチによるサイト構築や機能実装しているサイトでも増えています。ミツエーリンクスでは、eZ Publishを利用したマルチデバイス向けサイト構築をここ半年で4つほどお手伝いさせていただいております。
サイトのパフォーマンス・レスポンスタイム向上とシステム負荷軽減
前回のコラムでも触れましたが、サイトのパフォーマンス・レスポンスタイム向上とサイトやシステムの負荷軽減を目的として、リバースプロキシを導入するケースが増えています。サイト構築をお手伝いさせていただいたサイトのうちいくつかのサイトでは、大量のアクセスや短期間での集中アクセスがあるサイトであり、更新やコンテンツのリアルタイム性を優先するeZ Publishでそのような状況にも対応し得るサイトとなりました。また、旧式な既存サーバを有効活用して、最新の環境を再構築することなくサイトをリニューアルすることができました。ミツエーリンクスでは、過去4ヶ月でリバースプロキシのvarnishを合計5プロジェクトで導入させていただき、更新のリアルタイム性の重視と負荷軽減の両立などそれぞれの導入目的を達成いたしました。
最後に
Webサイト構築、サイトリニューアルに伴いCMSを導入するサイトは増え続けており、今後も増え続けることでしょう。CMSは、企業や組織がWebサイトを通じて実現したいことや目的、課題が具体的であればあるほど、Webサイトの価値を上げるための1つの手段あるいは仕組みとして重要なものとなります。ミツエーリンクスでは、ご要件に対して傾向や実績も考慮たうえで最適なCMSソリューションを引き続き提供させていただきたいと考えております。
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