スマートフォン対応サービスについて
取締役 木達 一仁6月4日より提供を開始したスマートフォン対応サービスにつきましては、その後お問い合わせを多数いただいております。私自身も何社か訪問させていただき、サービスの概要をご説明してきました。ありがたいことに、既にプロジェクトとしてスタートしている案件も複数あり、全体の傾向としてはBtoC向けサイトの案件の比率が高い状況です。スマートフォンを業務に導入する企業が徐々に増えているとはいえ、一般消費者側での普及のほうが急速であり、ゆえにBtoB向けサイトではスマートフォン対応の費用対効果を得にくいことが一因と思われます。本コラムでは改めてスマートフォン対応サービスの概要、また当社がこれに取り組むことの意義についてお話したいと思います。
互換化と最適化
スマートフォンはその高機能さゆえ、デスクトップPC向けにデザインされたWebサイトを表示することがおおむね可能となっています。しかしながら、それでスマートフォン上で何の不都合も発生しないかと言えば、そうは言い切れません。物理的に広い画面上での表示、そしてキーボードとマウスによる入力を前提とするデスクトップPCとはまったく特性を異にするスマートフォンでは、たとえ同等に表示できたとしても使い勝手の悪さが生じ得ます。また、国内では高いシェアを誇るApple社のiPhoneがFlashコンテンツを表示しない件は、IT系メディアで一時期盛んに報じられたため、ご存知の方も少なくないでしょう。
そこで、スマートフォン対応が必要となるわけですが、当社では大きく二種類の考え方に基づいてサービスを提供しています。一つは「互換化」という考え方で、スマートフォンでの閲覧に耐えられるよう、既存のコンテンツに必要最小限の互換性を持たせるものです。例えば、iPhoneで閲覧できるようFlashコンテンツの代替となるコンテンツを提供する、あるいは表示上の問題が発生している個所を洗い出し、それを解消するといった施策がこれにあたります。もう一方の「最適化」という考え方では、スマートフォン向けに特化した情報構造や視覚表現、操作性を提供することを意図します。必然的に互換化のケースよりも費用や時間は要しますが、スマートフォンならではのユーザー体験をもたらすことができるのは、後者の「最適化」です。
とはいえ互換化と最適化、どちらの考え方なり手法を適用すべきかは、ケースバイケースで考える必要があります。最小限の投資で短期間のうちにスマートフォン対応を進める必要があるようでしたら、まずは互換化の対応を行なうことになります。スマートフォン利用者をターゲットとしたキャンペーンサイトを新規に立ち上げるのであれば、最適化の考え方に基づいた設計・構築がなされるべきです。また、必ずしもサイト全体に同じ手法を一律で採用しなければならないわけではなく、例えばトップページと主要なインデックスページのみを最適化し、それ以外のページについては互換化済みのページを表示させるといったケースも考えられます。
このように、対応の深さ(採用する手法が互換化か最適化か)と幅(対象がサイト全体なのか一部のページか)の組み合わせ次第で、スマートフォン対応にかかる費用はさまざまです。逆に言えば、お客様のご予算に合わせて柔軟に施策をご提案することが比較的容易なサービスであるとも言えます。何から着手をすればよいかわからない、といったお客様は、まずは互換化の検討から始めてみてはいかがでしょうか。例えるなら、「互換化」は対スマートフォンにおけるアクセシビリティの確保、「最適化」はユーザビリティの向上であり、前者のほうがより優先度の高い施策と言えるからです。
マルチデバイス対応の先鞭
私の前回のコラム「マルチデバイスの時代に向けて」で書かせていただいたことの繰り返しになりますが、Webへのアクセスに用いられるデバイスは、今後一層多様化するものと予想しています。いずれはBtoB向けとBtoC向けの違いを問わず、さまざまな画面解像度や入力装置を持ったデバイスから、Webサイトが利用されるようになることでしょう。そのときに求められるのは、特定の機器に限らずWebサイトを利用できるようにするための「マルチデバイス対応」です。現在求められているスマートフォン対応とは、いわばマルチデバイス対応の先鞭とも言えます。
マルチデバイス対応の実現に必要とされるのが、デバイス間における相互運用性であり、その相互運用性を実現する鍵は、標準技術の普及にあると私は考えます。当社が2004年より一貫してWeb標準に準拠したサイト構築を推進し、またW3Cに加入するなどして標準化活動に参加・支援をしてきましたのは、マルチデバイス対応がWebサイトの必須要件と位置づけられる時代に備えるという側面もありました。当社がスマートフォン対応サービスを手がける意義とは、まさにその文脈に基づくものです。すなわち、これまで培ってきた、Web標準に準拠した構築手法を最大限に活かすなかで、マルチデバイス時代の到来をも視野に入れた施策をご提供できること。この意義を、ぜひご理解いただければと思います。
10〜11月頃には、スマートフォン/マルチデバイス対応をテーマとしたセミナーも開催したいと考えております。準備が整い次第、当社Webサイトを通じお知らせいたしますので、いましばらくお待ちください。
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