Google Developer Day参加報告
フロントエンド・エンジニア 矢倉 眞隆9月28日に、東京国際フォーラムで開かれたGoogle Developer Dayに参加および講演を行なってきました。
HTML5は当たり前のものに
HTML5の盛り上がりを確実なものにしたのは、昨年のGoogle I/Oの基調講演でしょう。しかしながら、そこでのHTML5の取り上げかたは、Canvasというものでグラフ描画などを行なえる、Web Workersを使うとブラウザーがハングアップしないで重たい処理を行なえるといった、各機能の概要とサンプルの紹介、Chrome Experimentsのデモを披露するといったHTML5のインパクトを伝えるものでした。HTML5はこの時点でまだ、これからの技術という印象が強かったのではないでしょうか。
しかし、今年のGoogle I/Oの基調講演では「HTML5の凄さを実例とともに紹介する」という言葉の後、写真加工ソフトウェアやビデオ紹介サイトなど、HTML5を実際に利用したサービスの紹介が行なわれたのです。HTML5に対する熱も、盛り上がりというものではなく、当然のものとしてアプリケーション開発に取り入れられ効果をあげていることに対する興奮に変化していました。基調講演を見ながら、「HTML5は既に使い始める段階に入ったんだ」と、ここ一年での変化の大きさに感心したことを覚えています。
デバイスとの連携でさらに先へ
今回のDeveloper Dayの基調講演でも、Googleの及川氏が各ブラウザーのHTML5関連機能の実装が進んできたことに言及し「実用化に向けたフェーズに入った」と仰っていたことで、改めて「使うこと」を意識させられました。また、「妥協なく機能を実現する段階」と紹介された、ハードウェアアクセラレーションによるグラフィック機能の高速化や音声入力のデモなどは、デバイスの持つ機能とブラウザーの連携という、プラットフォームとしての次の段階に進んでいることを感じさせるものでした。
W3Cでも現在、Device APIs and Policy WGというデバイス関連APIの策定を行なうグループが活発に動いています。HTML WGやWebApps WGで策定されるAPIも引き続き実装などが進められますが、安定度が高まった後はこうしたデバイスAPIに焦点が移っていくのでしょう。HTML5という流行りも凄まじいものがありますが、それ以上の早さと勢いでWebが進みつづけていることに、とてもわくわくしています。
HTML5時代のWebデザイン
さて、Developer Dayでは「HTML5とデザイン」というテーマで講演させていただきました。とはいえ、私は普段コーディングをするわけでも、Photoshopでカンプを作ることもしていません。お話を頂いた当初、「デザイン」についてHTML5やCSS3を絡めどう話すかについていろいろ悩んでいたことを思い出します。
「デザイン」という言葉は一般的に、視覚的な表現というコノテーションを持つように思いますが、それに限ったものではありません。ですから、CSS3だけの紹介をして終わりといったセッションはあまりしたくありませんでした。
タイトルもHTML5を冠しますし、もう少しだけ広く「デザイン」という言葉をとらえ、HTML5時代の技術がどう関わっているのかを説明できないか考えながら、最終的にHTML5、CSS3、パフォーマンス、スマートフォンという4つのトピックを選んでみました。前者を選ぶ理由は説明不要と思いますが、後者ふたつを選んだについては興味ももちろん、Webアプリケーションだけではなく、静的に近いWebサイトでも今後求められてくるものだと思ったことにあります。
こうして自分なりに考えをまとめ、HTML5やCSS3の機能とデザインはどう関わるか、パフォーマンスやスマートフォン対応が今後求められるなか、何を考えるか、どういった技術が関わるかと、基本的なところをおさえたお話をさせていただきました。しかし、目新しい情報などを含められなかったこと、どう新しい技術を使っていくかについて踏み込んだことを言えなかった(見つけられなかった)など、心残りもあります。
HTML5やCSS3を使う時期にあることを実感してはいますが、それらをどう適切に使っていけるか、どう周りに広めていけるか、その手助けには何がよいかなど、考えることはまだまだ沢山あることを実感したDeveloper Dayの発表でした。
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