UX Masterclass
ユーザエクスペリエンスユニット インターナショナルビジネスマネージャー ハモン リーバこのコラムでは、先日参加したカナダ・モントリオールでの国際カンファレンスUX Masterclassと、年2回開催のUXalliance会議について紹介します。
UXallianceについて
前回のコラムでも述べたように、私はミツエーリンクスのユーザーエクスペリエンスユニットで国際コミュニケーションと海外ビジネスを担当しており、その関係で当社のUXalliance(以下、UXa)活動に広く携わっています。UXaは世界各国のユーザーエクスペリエンス(UX)企業によって組織された団体で、国際的なユーザー調査と設計ニーズに基づき、卓越したUXサービスをクライアントに提供することを目的としています。UXa会員になって以来、当社は日本の企業が他国で実施する調査を、自信を持って組織・管理できるようになったと実感しています。同様に、UXaパートナーと共同で、アメリカやイギリスなど他国を拠点とする企業が日本で行う調査も実施しています。こうした連携は、ミツエーリンクスが最新の国際基準を把握し、新たな調査手法を学ぶうえで役立っています。
UXaについての詳細は、前回の私のコラム「UXalliance」、またはUXaのサイトをご覧ください。
UX Masterclassとは?
UX Masterclassは、ユーザーエクスペリエンスをテーマにした国際カンファレンスです。年に2回、UXaの後援のもとでUXaパートナー1社が主催します。ユーザーエクスペリエンスを専門にするコンサルタントが世界中から何百人も集うグローバルなネットワークで、国際的な視点を提供できる独自のカンファレンスとして位置づけられています。イベントは1日がかりで開催され、情報交換や、UXのケーススタディ、手法、ツールを学ぶことに興味を持つ人々が参加します。今回は2010年9月に、カナダ・モントリオールで開催されました。
私たちは、新たな知識を得られると同時に、楽しいイベントになるようベストを尽くしています。プレゼンターのほとんどはお互いをよく知る仲で、UX Masterclass本来の目標以上のものを達成するために、労を惜しまず力を合わせて努力しています。このため、カンファレンスは非常に友好的な雰囲気です。
80分で世界一周?
UX Masterclassが、このような友好的な環境のなかでいかに有効な知識を提供しているかを示すよい例が、「80分間世界一周:グローバルな調査におけるローカルな視点」と題された今年のパネルディスカッションでした。これは今回のモントリオール滞在で最も忘れ難い経験の一つになりました。パネルディスカッションでは、UXa企業の代表者10名が、自国でのユーザー調査とユーザーエクスペリエンスのユニークな側面について8分間の発表を行ないました。私は日本の代表を務め、他にオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、デンマーク、ドイツ、ロシア、スペイン、イギリスの代表者が発表しました。
限られた時間のなかでは多くの内容は発表できないため、いくつかのトピックが取り上げられました。
トピックのなかには、他国でグローバルな調査を実施する際に念頭におくべき実用的な情報もありました。たとえば、カナダでは大きなホッケーの試合があるときはユーザービリティテストのセッションの計画は控え、ブラジルでは参加者の遅刻は珍しくないので、遅刻を見越したスケジュールを立てる、といった内容です。
また、別のトピックでは、自国独特のユーザーエクスペリエンスを参加者と共有しました。私は日本人が開発した動画共有ウェブサイト、「ニコニコ動画」の動画を紹介しました。このウェブサイトはYouTubeをモデルとして開発されたもので、ユーザーコメントが動画の下のコメント欄ではなく、動画の枠内に表示されるという機能が付加されているのが特徴です。(動物の動画を再生中に「すごい!」、「可愛い!」などの大量のコメントが次々と画面内でスクロール表示される模様を紹介しました。)
世界中の様々な国の代表者が参加するセッションを皆で一緒に作り上げるという体験は、刺激的で、とても楽しいものでした。この種の多様性やグローバル性は、UX Masterclassの基礎となっているUXaの理念をよく表していると思います。
モントリオールが開催地に選ばれた理由
UXaでは半年に一度、パートナー企業の拠点でミーティングが行なわれており、できる限り多くのUXa企業の代表者がミーティング参加のために現地に赴きます。ミーティングのもっとも重要な目的には、UXaプロジェクトの質についての議論と改善、現地の傾向とベストプラクティスの共有、各企業で生じた変化の報告、会員候補企業の評価などがあります。基本的に、ミーティングはアメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアの間で、持ち回りで開催されます。特定の会議の場合は、グループ全体をホストすることに意欲的なメンバーがいる国で開催されることもあります。UXaの規模が大きくなるに従い、ホスト役には益々大きな労力が求められるようになっています。
このように、年に2回UXaミーティングが開催されているため、世界各国から多くの専門家を集められる基盤がありました。この利点を活かしてUX Masterclassの開催が決定しました。第1回のUX Masterclassは、今年3月にニュージーランドの会員Optimal Usability社の主催により、同国オークランドで開催されました。同社は初のUX Masterclass開催のためにビジョンを掲げ、その準備のために惜しみなく働き、それに相応しい高い評価を得ました。初開催の成功によって、半年後に継続して第2回を開催する意義について確信が得られました。持ち回りの順番から次回の主催はアメリカ地域の企業となり、カナダの会員であるYu Centrik社が、次回のUXaミーティングに加え、2回目のUX Masterclassイベントでも自ら進んでホスト役を引き受けてくれました。
次回のUX Masterclassの開催地と時期
ここまで読み進めて、今後益々期待されるこのカンファレンスが、次にいつどこで開催されるかが気になっている方もいらっしゃると思います。通常の順番からUX Masterclassは次に欧州で開催されることになり、具体的には2011年4月にSnitker & Co社の主催により、デンマーク・コペンハーゲンで催される予定です。ぜひこのカンファレンスに参加して、そこで何が行なわれているか一緒に体験してみませんか?
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