サイトワールド2010参加報告
アクセシビリティ・エンジニア 辻 勝利今年で5回目を迎える視覚障害者向けの総合イベント、サイトワールド2010が、11月1日から3日まで、都内のすみだ産業会館 サンライズホールで開催されました。サイトワールドは、視覚障害者が日常的に使用する機器から最先端の技術まで、便利な機器やサービスが紹介されるイベントで、日本点字制定記念日のあるこの時期に毎年開催されています。
開場には、筆者が参加した初日だけでも1600人あまりの人が訪れ、主催者の発表によりますと、三日間で4700人もの人たちが参加されたとのことでした。
本稿では、このサイトワールドがどのようなイベントなのかを簡単にご紹介するとともに、今回初めてサイトワールドに出展したNVDA日本語化プロジェクトの展示ブースの様子をお伝えいたします。
サイトワールドとは
冒頭でも触れましたが、サイトワールドは視覚障害者に関連する機器やサービスなどの最新情報を集めたイベントとして、2006年より開催されております。8階の展示会場では50あまりの国内外の企業や団体が最新の機器やサービスのブースを出展しており、9階のイベント会場では、視覚障害者に関連する発表や会議、映画の上映などが行なわれました。
サイトワールドの目的は、視覚障害者が最新の機器やサービスを実際に体験できる場所を提供すること、また、視覚障害者の持つ文化を社会にアピールすることとされています。私は主に、後述するNVDA日本語化プロジェクトの展示ブースの中でしか会場の様子を確認することができませんでしたが、多くの人たちで会場がにぎわっていることからも、この目的は達成されていたのではないかと感じました。
展示会場について
人気のあるブースでは、機器やサービスの説明を受けるまでに長い時間を要するほどでした。中でも、チャンネル情報や録画予約などを音声ガイドで確認できる最新のテレビに人気が集まっていたようです。
そんな中、今年私が特に注目したのは、有限会社エクストラのブースで紹介されていた、音声・点字PDAのブレイルセンス オンハンドでした。18マスの点字ディスプレイと音声読み上げ機能のある携帯端末で、外出先でもWebの閲覧やメールチェック、予定の管理などが音声と点字の両方で利用できるものでした。オプションのGPS歩行支援システムと組み合わせれば、視覚障害者の外出時のニーズを満たしてくれる素晴らしい機器だと感じました。
NVDA日本語化プロジェクトの展示について
私は今回、過去の当社コラムやアクセシビリティBlogで何度かご紹介している、無料でオープンソースのスクリーン・リーダー、NVDA日本語版を紹介するスタッフとして、このサイトワールドに参加しました。これまで、Web制作者や開発者の方々向けにはNVDAを紹介する機会が何度かありましたが、実際にスクリーン・リーダーを利用されている方々が多く参加されるこのようなイベントで紹介するのは初めてで、いつになく大変緊張いたしました。
展示ブースでは、「無料でスクリーン・リーダーが提供されていることは素晴らしい」、「点字ディスプレイへの表示にも対応してほしい」といったご感想をいただくことができました。私たちのブースには、三日間でおよそ100名の方にお越しいただき、NVDAに興味を持っていただけたと思います。このサイトワールドへの出展をきっかけとして、今後も利用者の方々向けにNVDAをご紹介できる機会を増やしていきたいと思いました。
来年のサイトワールド2011は、今年と同じ11月1日から3日までの間、同じ会場で開催される予定です。視覚障害者向けではありますが、さまざまな支援技術やサービスの情報が集まる機会です。Webアクセシビリティや支援技術に興味のある方は、参加されてみてはいかがでしょうか?
Newsletter
メールニュースでは、本サイトの更新情報や業界動向などをお伝えしています。ぜひご購読ください。