2010年度の改善活動を振り返って
取締役 山下 徹治東北地方太平洋沖地震発生から1カ月が経過しました。もう1カ月も過ぎたのかというよりは、まだ1カ月しか経っていないのかという気がします。震災当日から今までを振り返ると、本当にいろいろと対処すべきことがありました。それらのことがたった1カ月の出来事だったとは信じられないほどです。しかし、余震や電力需給は引き続き注意が必要な状況が続いており、再び大きな余震が来ることを想定した準備や、夏場の計画停電を想定した対策を早急にまとめなければなりません。まだまだ気を抜けない状況は続きそうです。
さて、毎年3月、4月はマネジメントシステムの1年間の活動を総括し経営層からの評価を受けるとともに、新しい年度の計画を立てる最も重要な時期です。今年は地震の影響で、一時的にスケジュールから数日の遅れが出たものの、最終的には予定通りに経営層による見直しと年度目標、年度計画の策定が完了しました。本コラムでは、2010度のマネジメントシステム活動の総括と2011年度の目標について書こうと思います。
ディレクション業務の平準化が加速した1年
品質マネジメントシステムでは、お客様に提出するドキュメント類の共通フォーマット化が進んだことや、Webベースのプロジェクト管理ツールが導入されるなど、主にディレクション業務とお客様に直接関係する領域での改善が飛躍的に進みました。プロジェクト管理のツールは大型の案件を中心に導入していきましたが、実際に使ったスタッフからの評価も高く2011年度からは全案件で導入することになっています。
2011年度の目標は、受注率の向上、案件フローの全体最適化、外注管理の強化、という3つのテーマを軸に取り組んでいく予定です。案件フローの全体最適化というのは、いくつかの部署や職種をまたがってプロセスを再定義していくことになりますので調整が難しい反面、改善の効果は大きいという特徴があります。目標のいくつかは2年がかりで取り組んでいるものもありますが、決して途中であきらめることなく結果を出していきたいと思います。
セキュリティのルールを分かりやすく
情報セキュリティマネジメントシステムでは、サーバのリプレイスや仮想サーバの導入、ログ監査の強化、基幹サーバの復旧試験の実施などバックエンド側のセキュリティ強化を推進する一方で、ユーザーに対しては、より分かりやすいシステムを目指す活動を強化しました。
マニュアルの表現を見直し、セキュリティの専門用語を極力使わないようしました。また、スタッフに机上整理を促す整理整頓プロジェクトという取り組みでは、その評価基準を分かりやすくすることで、100点満点を取るスタッフが大幅に増加し、不合格となるスタッフは激減しました。
2011年度の取り組みとしては、昨年からの流れを継続し、バックエンド側のセキュリティの強化を図りつつ、ユーザーには分かりやすいルールを提供していくことを目指すとともに、大型地震発生時を想定した事業継続計画の強化についても取り組んでいきます。
Facebookやスマートフォンの流行と個人情報保護
昨年度は、個人情報を取り巻く社会環境に大きな変化が出た1年でした。欧米を中心に成長を続けていたSNS「Facebook」が日本でも流行し、実名をインターネットに公開することへのユーザーの心理的なハードルがずいぶんと下がってきたように思います。また昨年度はスマートフォンが一気に普及しました。スマートフォンは持ち主の行動特性や趣味嗜好を示すデータの宝庫です。こうしたデータを分析し、個々に有益な情報をフィードバックするようなアプリケーションも多く開発され、それをユーザーも受け入れています。
こうした社会環境の変化は、企業が個人情報を取得しても活用の仕方が分からないという現状を大きく変える可能性を秘めています。しかし一方で、情報主体が意図しない個人情報の利用が増加し、トラブルが増えることも予想されます。当社としては、お客様が正しく個人情報を収集する手助けをし、そして当社が管理責任の一端を担うような場合は決して漏洩しないように、セキュリティを確保するというスタンスに変わりはありませんが、今年度は個人情報を収集するシステムを構築する案件が増えることを想定し、シンプルで分かりやすい社内運用体制を整えていきたいと考えております。
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